こいごころ
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#501 [向日葵]
「ミュー……」
茉里がミュシャの腕の中で呟く。
「ただ好きってだけで、そばにはいれないの?いてくれないの?好きなだけじゃ、皆、去っていってしまうの……?」
そんなことないと言いたかった。
でもそれこそ安っぽい言葉になると思った。
「それだけで、好きってだけで、そばにいてくれたらいいね……。いつか茉里に、そんな人が出来たらいいね……」
しばらくの間、お互いの鼻をすする音しか聞こえなかった。
茉里がミュシャの胸に擦り寄るように顔をうずめる。
:10/06/09 00:21
:SH05A3
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#502 [向日葵]
「ありがとう……ミュー……」
涙で濡れた、か細い声で、茉里はそう言った。
―――――――――…………
それからは一緒に帰るようになったし、何かあれば私に絶対言うようになったわね。
回想から戻ってきたミュシャは、未だ華名から質問責めをうけている宗助を見ながら思う。
「宗兄ったら宗兄いーっ、いい加減言って頂戴よおー」
:10/06/09 00:21
:SH05A3
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#503 [向日葵]
「男のくせにだらしないぞ彼氏ー」
ミュシャも茶々をいれる。
すると宗助はぴたりと動きを止め、急に立ち上がった。
「あーわかったよ!言えばいいんだろ!好きだからだよ!好きだからそばにいたいってただそれだけだよ!悪いかこの野郎!」
半ばヤケを起こして言ったように思うが、屋台からの灯りでわずかに照らされた宗助の顔が徐々に赤らんでいくのを見れば、言ったことは嘘ではないようだった。
華名は頬に手を添えて、「まあっ!」とでも言うように驚きながらも、自分ではまだ想像も出来ないような恋人たちに対し、憧れの眼差しを向ける。
:10/06/09 00:21
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#504 [向日葵]
一方でミュシャは、軽く驚いていた。
あ……、そうか、だから茉里は惹かれたんだ。
笹部はそういう奴だから、諦めようとしても、諦めなかったんだ。
たとえ今この言葉を茉里が聞いていなかったとしても、何かを感じとっていたのかもしれない。
フッと、落とすように笑む。
自分が思っているよりも、案外この2人は大丈夫なのかもしれないな。
:10/06/09 00:22
:SH05A3
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#505 [向日葵]
茉里が大好きだ。
同性愛とかではなく、友達として、親友として、大切な人として……。
だから、たとえ不安を取り除くことが出来るのが、不器用な宗助でも心からの安心は出来なかった。
けれど、自分は案外心配症だったらしい。
空を見上げれば、綺麗な星が瞬いていた。
それに向かうように、白い息を吹きかける。
あれからずいぶん時が進んだんだなあ……。
:10/07/07 02:27
:SH05A3
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#506 [向日葵]
そしてはたっと気づく。
「茉里ったら、遅いわね」
―――――――――…………
「あー、やっぱり電話かかってきてたー……」
一方茉里は、やっと携帯を見て、ミュシャからの電話通知と、受信メールに気づいた。
人の群れから離れ、今はおみくじが沢山ついている木の下にいる。
宗助と手が離れていたことにまったく気づかず、お参りをした後これからどうするかを訊こうとしたら、後ろは知らない人たちばかりで、しばし固まった。
:10/07/07 02:28
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#507 [向日葵]
「茉里ちゃん……?」
がやがやとうるさい人声の中に、澄んだ声が茉里を呼んだ。
茉里はその方を向く。
「やっぱりぃ!久しぶりだねえっ」
「千早先輩!」
千早先輩は駆け寄ってくると、嬉しそうに満面の笑みを浮かべ、茉里の手をとってぶんぶんと振り回した。
されるがままになっていた茉里は、後ろに視線をずらすと、誰か男の人が立っていた。
「彼氏さん……ですか?」
「え?あ、うんそう。元カレ。まあ今カレだけどね。より戻したの」
:10/07/07 02:28
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#508 [向日葵]
照れながら笑う千早先輩は幸せそうで、茉里も笑顔になる。
「茉里ちゃんも、宗助とうまくいってる?」
「宗助があんな感じなので、あんまり今までと変わらないと言うか……」
「まあ宗助がいきなり甘々になってもねえー」
キャラキャラと笑う千早先輩を、後ろの方にいた彼氏が呼ぶ。
それに返事した千早先輩は、「じゃあまたね」と爽やかに去っていった。
:10/07/07 02:28
:SH05A3
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#509 [向日葵]
先輩には沢山迷惑をかけた。
引っ張たいたり、暴言を吐いたり。
それでも、こんな後輩を許してくれる先輩が、茉里はすごく素敵に見えた。
「あちらはどなたですか?」
急に背後から栞が出てきた。
驚いた茉里は、文字通り跳びはねる。
「び、びびびっくりしたー!」
「先輩なんですか?仲がずいぶんと良いんですね」
「う、うん、色々とお世話になってて……」
「宗助が好きだった人ですよね?」
:10/07/07 02:29
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#510 [向日葵]
なんでそれを?
驚きを隠せず、栞をじっと見れば、にこりと微笑まれる。
「宗助のことはなんでも知ってますよ。何歳までおねしょしてただとか、初恋は誰だとか」
「は、はあ……」
「でも不思議。あれだけ一途な宗助が、何故茉里さんと付き合うようになったんですか?」
何が言いたいのかわからないが、とりあえず自分がアピールしまくったと茉里は説明した。
アピールして、宗助が振り向いてくれたんだと。
しかし栞は、理解出来ないように首をかしげる。
:10/07/07 02:29
:SH05A3
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