こいごころ
最新 最初 🆕
#511 [向日葵]
「なんかそれって、誰でも宗助にアピールしたら、宗助は誰にでもオーケー出してた感じですよねー」

その解釈に、茉里は眉を寄せる。
あまりに失礼な解釈の仕方だ。
例えばそこまでの道程になにかあったのかとか考えないのだろうか。
それとも茉里の説明がだめだったのか?

「茉里さん。宗助は、本当に茉里さんのこと、好きなんですか?」

神社に少しだけある灯りが、彼女の笑みを悪魔に見せる。
そして茉里は気づく。

これはもう、いい子でいるつもりがないと言っているんだ。

⏰:10/07/07 02:30 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#512 [向日葵]
だからわざと、意地悪なことを言ってくる。

「栞ちゃんって……私が嫌いなのね」

自分でも驚くほど冷静な声を出して、茉里は栞の勝負を真っ向から受ける。

「茉里さん、誤解しちゃいけませんよ。嫌いなんじゃないんです。―――大嫌いなんです」

笑みを浮かべていた栞の顔が、冷たいものに変わる。

「消えてほしいと思うくらいに……ね。だって、邪魔なんですもの」

言い返さなきゃ。
そう思うのに、過去の記憶が邪魔をする。

⏰:10/07/07 02:30 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#513 [向日葵]
電話に出れば、相手はクソ親父の浮気相手で、茉里を邪魔扱いした。

[あなた、ついて来ないでね]

胸の中が、煮えるように熱くなる。
醜い汚い感情が覆いつくし、それはやがて、自分を追い込むものとなる。

私は邪魔者。
私さえいなければ、宗助は、先輩を。
いや違う。そうじゃない。
宗助は、私を好きだと想ってくれたからそばにいてくれる。

そばに……。
―――――――いてくれるのかな……。

⏰:10/07/07 02:31 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#514 [向日葵]
だって父さんだってそうだった。

私たちが世界でいちばん大好きだって言ってくれてたのに。
大好きだって、愛してるって……。

なのに、裏切った―――――。


裏切った。
裏切った。

裏切り者。
うらぎりもの。
ウラギリモノ。

お前なんか―――――――…………。

「そういうアンタだって邪魔者で消えてほしいのよ」

⏰:10/07/07 02:31 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#515 [向日葵]
声が聞こえた。

この声……。
そうだあの時も、救われた。
その凛とした声が、闇に一筋の光を与えてくれた。

茉里は、栞の少し後ろに立っているミュシャを見た。
茉里があまりに遅いから、探しに来てくれたらしい。

茉里はぼんやりとミュシャをみつめる。
ミュシャはその美しい顔を怒りで歪めていた。
怒った顔は、尚も美しい。

「アンタだっていなけりゃ、今頃は茉里と、下で待ってるヘタレ彼氏と可愛い妹で年越してるわよ」

⏰:10/07/07 02:32 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#516 [向日葵]
「……宗助を悪く言わないで」

「アンタもアイツを侮辱してるようなもんよ。アイツが選んだ彼女を邪魔扱いしてるんだからね」

言い負かされた栞を放って、ミュシャは茉里のそばまでくると手を繋ぎ、待ち合わせの場所へと向かった。

茉里は、まだぼんやりとしている。

「しっかりなさい」

ミュシャが言う。

「茉里もアイツも間違ってなんかない。茉里は、アイツを信じなさい。アイツとアンタの父親は違うんだから」

その言葉に、茉里は醜く汚い感情を砂のようにさらさらと消せるようになった。

「うん……ありがとう、ミュシャ」

⏰:10/07/07 02:33 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#517 [向日葵]
そう言ったあと、茉里はちらりと後ろを伺う。
栞がちゃんとついて来てるかどうか確かめたかったのだ。

距離は少しあいてはいるが、ちゃんとついてきているようだった。

なんとなくホッとしている茉里を、ミュシャはお人よし、とため息をつく。

笑っていてね、茉里。
茉里が笑っていると、私はそれだけで嬉しいから。

誰よりも幸せでいて。

そしていつも、耳にタコが出来るくらい、のろけ話を聞かせてね。

⏰:10/07/07 02:33 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#518 [向日葵]
――――――――…………

「じゃあまたね」

「うん。またメールするからっ」

そう言って、ミュシャと別れた茉里たちは、宗助の家へ帰っていた。

少し前を華名と栞が歩き、茉里の横には宗助がいる。

「ったく、アンタはよくどこかに消えるな。夏祭りといい……」

「だって、いつの間にか宗助が手を放してたんだもん」

頬を軽く膨らませながらも、茉里はさっき言った栞の言葉が頭を離れてはいなかった。

⏰:10/07/28 01:03 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#519 [向日葵]
今はこんなに親しげでも、宗助がいつか離れてしまったら……。

考えれば考えるほど悲しくなり、足どりが重くなった。
同じ歩調で歩いていた宗助は異変に気づき、華名たちと茉里を交互に見て、ふうとため息をつく。

「華名、先に帰っててくれ」

「どうしたのお?」

「散歩に行ってくる」

「ならあたしも!」

栞の言うことに、宗助は無言で首をふる。
無言であった為に、いつもより強く拒否された気がして、栞は近づいてこようとした足を止めた。

⏰:10/07/28 01:03 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


#520 [向日葵]
茉里の手を優しくとると、少し前に通った交差点まで戻り、曲がった。

歩いて少しすると、右手側に公園が見えてきた。
滑り台とブランコと砂場しかない、簡素な公園だ。

ブランコ前にある鉄棒のような場所に、2人で腰をかける。

「また、栞がなんか言った?」

それもあるが、栞にああ言われるまでもなく、茉里はずっと宗助に対して不安を抱いていた。
今までのような恋人ではない宗助だから不安になる。
決してそれは、宗助のせいじゃない。

いつまでも弱い、自分の心のせいだ。

⏰:10/07/28 01:04 📱:SH05A3 🆔:☆☆☆


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194