こいごころ
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#567 [向日葵]
栞が屋上にいるのを教えたのはミュシャだった。
もちろん、ミュシャは居場所を知ってたわけではないが、栞の性格を考えた時、そんな予感がした為、イチかバチかで宗助に言ったところ、ビンゴだったのだ。
ミュシャは無言で宗助に訴えたのだ。
決着をつけなさい、と。
「そっか……」
力無く言う宗助に、茉里は首を傾げながらマフラーを巻く。
「さ、暗くなるし帰ろう帰ろーう」
:10/11/14 12:53
:SH05A3
:☆☆☆
#568 [向日葵]
鞄の紐を持つと同時に、宗助が、肩に頭をのせてきた。
彼が甘えてくるのが珍しいのと、何かに傷ついて弱っているのが見てとれた。
「…………ごめん」
ボソリと呟いたその言葉は、誰に向けられたものかわからない。
けれど茉里はなんとなく、自分に言っているのではないとわかった。
理由はきかない。
いずれ彼はポロポロと話し出すだろうから。
だから今の願いはただ1つ。
「寒いから、あったかくして帰ろうね……」
茉里はギュッと宗助を優しく抱きしめる。
:10/11/14 12:54
:SH05A3
:☆☆☆
#569 [向日葵]
願いはただ1つ。
幸せに、笑ってて下さい。
―――――――――…………
涙がいつまでも枯れなかった。
これが枯れた時、今度は違う自分になっているのかしら。
そう思いながら、栞は鞄をとりに教室へ向かった。
すると、まだ教室に明かりが灯っていた。
覗くと、今日喋りかけてきた女の子の中の1人が、ポツリと座っていた。
そして栞を見つけると、優しく笑った。
:10/11/14 12:54
:SH05A3
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#570 [向日葵]
「あ、良かった帰ってきて。あのままどこに行ったかわからなかったから、下校時間まで待っておこって思ってたんだ」
その優しい顔は、どこか華名と、あの人を思い出すような、柔らかなものだった。
栞はその子の手をギュッて握った。
「……ありがとう……」
人は1人では生きていけないという言葉をよく耳にする。
栞はその言葉は嘘だと思っていた。人は本気になれば、1人でも生きていけると思っていた。
:10/11/14 12:54
:SH05A3
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#571 [向日葵]
けれど今、その言葉の意味を知る。
その優しさが、いつか偽りのものになってもいい。
今は、その気持ちの温かさが、私に力をくれるから……。
:10/11/14 12:55
:SH05A3
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#572 [向日葵]
[15] メール
相手の顔が見えないメール。
絵文字や顔文字は入っていても、本当の気持ちは、わからない。
だから返ってこなくなると、不安で、怖くて……。
:10/12/27 22:07
:SH05A3
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#573 [向日葵]
心躍る修学旅行まであと1週間。
行き先はあの某有名キャラクターがいる夢の国。
完全攻略の本まで買って、茉里の頭は1週間後のことでいっぱいだった。
……のだが、その1週間前に、ささいな出来事から、また喧嘩が始まった。
話を聞かされたミュシャは、呆れを通り越して最早笑いが込み上げてきて、机を叩きながら爆笑していた。
「くだらなっ!くっだらないくっだらないくっだらない!」
「連呼しなくてもわかってるわよ馬鹿ー!」
:10/12/27 22:07
:SH05A3
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#574 [向日葵]
机を笑いながらバシバシ叩くミュシャに対し、茉里は怒りながら机を叩く。
自分でもわかってる。
こんなくだらないことで喧嘩するなんて馬鹿らしい。
そうと思っていても、額に1度浮かんだ青筋は消えてはくれないもので……。
「大体ね、普段でもあんまり喋らない奴が、メールで饒舌になるかっていうの。ってかそういう奴がいても嫌だわ」
そう、ことの発端はこの“メール”なのだった。
:10/12/27 22:08
:SH05A3
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#575 [向日葵]
茉里の絵文字いっぱい文字いっぱいのメールに、宗助は短文の文字のみで返信する。
もちろん茉里はそれが嫌ではないし、宗助と話しているみたいで好きだ。
ならば電話をすればいいだけの話なのだが、茉里は短文であっても、返信がくる時間を待っているのが楽しくて仕方ないのだ。
それに口下手な宗助でも、メールでは少し話してくれる量が多くなるかと期待していたのだ。
結果的にはやっぱり話している時と同じだったが。
:10/12/27 22:09
:SH05A3
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#576 [向日葵]
そしてなにが喧嘩へと変わったかと言うと、茉里がいつもの通りそ、の日のメールの最後に「宗助大好き」といれてメールを送ると、返信がこなかったのだ。
宗助は必ず「おやすみ」や「また明日」などと返してくれるはずなのだが返ってはこなかった。
なにか用事があるのかもと、お風呂に入ったり、たまっていた見たかった映画のDVDを見たり過ごしていたが、結局その日に宗助からのメールはこなかった。
あいにく、次の日は日曜。
部活も休みの日で、宗助に問いただすことは出来ず、ならばとかけた電話も、結局は繋がらず仕舞い。
:10/12/27 22:09
:SH05A3
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