こいごころ
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#868 [向日葵]
おお、なんかすごい頑張ってる。
華名ちゃんがなんか言ってくれたのかしら。
「はいはい。私も悪かったから、あんまり無理しなくてもいいわよ」
「別に無理は……」
「宗助はそのままでいいの。あの時は……。私が少し過剰になってただけよ」
茉里はきょろきょろと辺りを見渡す。
「よし」と小さな声を出したかと思えば、宗助を手招きする。
:11/08/20 13:08
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:☆☆☆
#869 [向日葵]
なんのことかと、宗助が茉里に顔を近づけると、一瞬やわらかな感触を頬に感じた。
してやったりと笑う茉里に対し、なにがあったかわからず、きょとんとした顔をする宗助は、次第になにをされたかを理解し、また赤くなった。
「さてと、宗助がゆでダコになる前に、早く日直の仕事しなくちゃだわねー」
「誰がしてるんだ誰が!」
「もちろん私。とっても嬉しい限りだわー」
:11/08/20 13:09
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#870 [向日葵]
「覚えとけ……」
「記憶力はいいほうだから安心して」
言い負かされて、宗助は少しムッとするも、仲直り出来たほうに安心して、ムッとしたくても出来なかった。
―――――――――…………
そう、別にそれはそれでいい。
ただ見てみたい。
こんな機会だから見てみたい。
いや別に大した機会ではないけれど。
:11/08/20 13:09
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#871 [向日葵]
「と思うのは罪かしら、綾香」
「罪というより、それはただただサディステイックだよ茉里ちゃん」
防具をつけてる綾香に、茉里は話しかける。
一方の茉里は、昨日片付けきれなかったコップを洗っている。
「だって、見てみたいじゃない。宗助が私に焦るとこ」
せっかくのカップルイベント、バレンタイン。
ならば宗助が、茉里を誰かにとられてしまうんじゃないかと焦るところを見てみたいと茉里が言い出したのは、つい先ほど。
ちなみに宗助にまだチョコ、ならぬクッキーは渡していない。
:11/08/20 13:09
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#872 [向日葵]
帰りに渡すつもりだ。
そう言ったら宗助が「俺の手伝った意味は……」とグッタリしていた。
「笹部くんが茉里ちゃんのこと好きなのなんて、見てればわかるじゃない」
「よくよく考えてみればね、宗助になにかあったりしたら、焦ってるのっていつも私ばっかりな気がするのよ。たまには私がそれを味わいたい」
「笹部くんも大変ね」
苦笑いを浮かべて、綾香は面を置きに行った。
:11/08/20 13:10
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#873 [向日葵]
んー……。
確かにやりすぎかもしれないけど、やりたいと思っちゃったらやりたくてうずうずするのよね。
泡のついた手を、冷たい水で洗い流し、近くのタオルで拭いた後、ポケットにあるカイロで手を暖める。
すると、綾香が声をあげた。
「千早先輩!」
茉里は考えるより早く、洗面所から道場入り口が見える場所にうつった。
:11/08/20 13:11
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#874 [向日葵]
そこには、正月あった時よりも少し髪が伸びて、大人っぽさがさらに増した千早先輩がいた。
マフラーをまいて、寒さで鼻を赤くしている姿が、大人っぽさの中にあどけなさを残し、彼女の魅力を引き立てていた。
「えへへ、久しぶり。今日はね、防具を取りにきたの。皆はー……まだなんだね」
掃除当番に委員会が重なって、今道場にいるのは茉里と綾香だけだった。
「あとこれ、女子のみんなで食べて」
茉里に渡されたのは、3つほどにわけられた小さな可愛らしい紙袋。
中身は言わずともわかる。
「女子だけでいいんですか?」
:11/08/27 00:12
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#875 [向日葵]
今日は一般的に言えば男子のほうに渡すべきだと思うが。
「もちろん。男子よりも女子の後輩のほうが大事だし」
「それ男子がきいたら泣きますよ」
笑う茉里につられて、千早先輩。
「さて、と、お母さん車に待たしてるから早く行かなきゃ」
「あ、ごめんなさい。運ぶの手伝います」
「ありがとう」
:11/08/27 00:13
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#876 [向日葵]
手伝うほどの荷物なんてなかった。
ただ先輩といたかった。
暗黙の了解かのように、千早先輩は竹刀袋を持たせてくれて、正門まで運ばせてくれた。
綾香は皆が来ては駄目だからと、ついて来なかった。
「ありがとうね。それにしても、まだ寒いわねー」
「あ、よかったらカイロ持ってますんでどうぞ」
「いいよ、茉里ちゃんが寒い……ん?なにか落としたよ?」
:11/08/27 00:13
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#877 [向日葵]
カイロを出す時、一緒に落とした紙切れ。
それは今朝配られた、「蛍の光」の歌詞が書いたものだった。
簡単かつ適当にたたんでいたので、落とした拍子に軽く開いてしまった。
それを見ながら、千早先輩は眩しそうに目を細め、微笑む。
「私たちの、番なのね……」
「先輩……」
:11/08/27 00:14
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