こいごころ
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#881 [向日葵]
「そうやって考えた時から、もう素敵な先輩にはなってるんじゃないかな」
いっそうにっこり笑って、先輩は車に乗った。
しばらく車をみつめてから、少し足を動かす。
振り向けば、いつもの見慣れた学校があった。
下校している生徒、校舎内でなにか話している生徒、グラウンドからは、運動部の声がきこえてくる。
学校の風景や空気、雰囲気、一気に体に取り込んだ瞬間、胸がいっぱいになった。
:11/08/27 00:15
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#882 [向日葵]
衝動的に、そしてどういう感情で出てくるかわからない涙を、必死に止めた。
それでも、溢れ出すようにして、滴がポタリと落ち、乾いた地面に吸い込まれていった。
こんな大勢の前で泣き顔を見られたくない。
茉里は早足で、道場へと帰って行った。
―――――――――
―――――――――…………
静かな静かな空気の中、卒業式は行われていた。
:11/08/27 00:16
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#883 [向日葵]
:11/08/27 00:19
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#884 [向日葵]
在校生、つまり茉里たちはほぼ椅子に座ったままだったが、ところどころ合わせて立つところがあったりと、少し忙しない。
中には立たない人もいる。
寝ている人すらいた。
でも茉里は最後まで卒業式に参加した。
男子の方を見ても、宗助の姿は見えないけれど、きっと宗助も同じように、誰よりも姿勢良く、そして誰よりもまっすぐ前を向いているに違いない。
:11/09/03 23:14
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#885 [向日葵]
千早先輩から朝に、他の部員も集めて道場前にいるから来てねとメールがあった。
後に会えるはずなのに、茉里は千早先輩がいる場所をじっと見ていた。
「卒業生、退場」
一斉に立ち、茉里たちの学年は、今まで練習した「蛍の光」を歌う。
教室で歌ってた時や予行で歌っていた時とは違う雰囲気が、歌をより一層寂しく響かせる。
なのに卒業生が花道を退場している時、笑顔だった。
:11/09/03 23:15
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#886 [向日葵]
照れくさいのか、やっと卒業出来るという安堵なのか、楽しかったと充実した気持ちからくるものなのか、わからないけれど。
それでも、その清々しい笑顔は、送り出す茉里たちの胸を締めつけた。
思わず歌っている時、声が詰まりそうになって、必死に持ち直した。
全員が退場してしまった後、茉里たち在校生は座るように言われた。
座る時に、宗助が見えた。
宗助もこちらを見ていた。
:11/09/03 23:16
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#887 [向日葵]
見えるはずもないけれど、微笑むと、宗助も微笑んだ。
それだけでドキリとしたので、茉里は落ち着くために素早く座った。
――――――――…………
「せんぱーいっ!」
綾香が道場前に集まった先輩たちのところへ走っていく。
そのまま女子の先輩のところへ突っ込んでいく。
「わっ!綾香ちゃんは元気だねー」
「違いますっ。元気にしとかなきゃ泣きそうなんですっ」
と言った途端、綾香の目が涙で満たされていく。
けれど綾香は耐えていた。
:11/09/03 23:16
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#888 [向日葵]
「可愛いやつめ!心配しなくてもちゃんと遊びに来てあげるわよ」
「来なかったら罰金ですからね」
「そういえば、他の子たちはー?」
「もうすぐ来ると思いますよー。あ、茉里ちゃんは少し遅れるかもー。デジカメ教室に忘れたとかって言ってたから」
集まれば、みんなワイワイと話だすので、ただでさえ声が響く廊下がよりうるさい。
そんな中、千早先輩だけが、何かを考えているかのようにしていた。
:11/09/03 23:17
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#889 [向日葵]
「ねえねえ綾香ちゃん」
「はい?」
「お願いがあるの」
―――――――――…………
少ししてから、宗助がやって来た。
他の部員は道場で盛り上がっているらしく、外まで笑い声がきこえてくる。
入り口にある下駄箱付近に、綾香と千早先輩が談笑していて、宗助は二人に寄っていった。
二人も宗助に気づく。
:11/09/03 23:19
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#890 [向日葵]
「やっと来たね宗助」
「すみません、遅くなって」
一言言ってから、宗助は少し背筋を伸ばしてから、軽く頭を下げる。
「ご卒業、おめでとうございます」
「ありがとう。……ったく、アンタはいつまでも堅いねー」
「……余計なお世話です」
「ところで笹部くん。茉里ちゃん知らない?なかなか来ないんだけど」
:11/09/03 23:19
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