虹色のオセロ

蕾夢、泣きすぎ。

肩のところがあんたの涙で冷たいよ。

「ごめんね、いきなりいなくなって。怖かった？」

蕾夢は頷いた。

「そっか。ごめんね？」

また頷いた。

しばらくすると泣き止んでくれて、一緒にお菓子を食べる事に。

お腹いっぱいだからごちそうさましたのに、お菓子は全然食べられちゃうんだよね。

子供と女の別腹って不思議。

ビスケットにプリントされた動物で遊びながら食べていると、蕾夢の機嫌は元通り。

「これは？」

「キリンさん。言ってみ？」

「きりんしゃん。」

「そう。こっちはお猿さん。」

「おしゃるしゃん。」

おしゃるしゃん、って。

さ行が弱いんだね、子供は。

「…栄之助みたい。」

「え？」

「ううん。何でもない。はい、あーん。」

ビスケットにプリントされていた猿が栄之助に似てた。

なぜか笑えて、なぜかシュンとした。

だからその猿を蕾夢の口に運んであげた。

「美味しい？」

「おいち。」

おいち、ってさ。

よかったね～栄之助。

「ななみちゃんもあーん。」

やばっ！

可愛い、可愛すぎる！

今までの元カレがしてきた【あーん】の中で一番胸キュンなんですけと！

「あー…ん！蕾夢がくれたビスケット、美味しい～」

そう言うと、蕾夢は本当に可愛い笑顔で笑ってくれた。

癒されるわぁ～。

お菓子タイムが終了して、歯磨きタイム。

蕾夢が持って来たカバンにちっちゃな歯ブラシが入ってた。

「自分で歯磨きできんの？」

蕾夢は首を横に振った。

ってことはー、私の役目？

子供の歯を磨くなんて初めてだから超緊張！

初Ｈの時より緊張してるし。

あーって開けてる口に、そっと歯ブラシを入れ、優しく磨いた。

怖い…喉突きませんように。

「はい、終わり～。」

最後の方はもうなげやり状態だったけど一応磨けたかな。

時計は20:45。

あと少しだ～！

あと少しでにいにが帰って来ますよ～！

「ななみちゃん。」

「はあい？」

「らいむ、ねむい。」

げぇー。

あと少し我慢してよぉ。

「限界？」

「ねむいー。」

やばい、ぐずってきた。

仕方ない…寝かせるか。

仁士が来たら、また起こすか抱っこして連れて帰ってもらえばいいや。

「じゃあ寝よっか。」

「ななみちゃんもぉ。」

「え、私も一緒に寝るの？」

「うん。」

仕方ないなぁ。

まぁ、いっか。

添い寝のフリでいいんだし。