吸血鬼死重奏
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#85 [渚坂]
「……由から離れろ!」
不覚にも睡魔に負けそうになっていた意識の中で大きな声が響いたかと思うと、いきなり襟を引っ張られ私は魔王から体ごと唇を剥がされた。
「ふぉ……?」
と、同時に急に引っ張られせいで覚束ない足はバランスを崩し、また情けない声を上げながら私は盛大に後ろに倒れ込んだ。……と思ったら、私は後ろから抱き抱えられるようにしっかりと受け止められていた。肩にしっかりと私を掴む温かい手の感触を感じる。
:10/01/24 11:48 :F905i :mTQM6q/E
#86 [渚坂]
「闇ノ宮、今だ!!」
頭のすぐ上から何者かの声が降り注ぐ。かと思えば、それかららは全てがドラマのように一瞬で片付いた。
私が一回瞬きをする度に草陰から私と同じ制服を着た人たちがぞろぞろと飛び出し、待ってましたと言わんばかりに魔王を取り囲んだ。
この間僅か2秒程度。
そして、輪の一歩外で腕組みをした少女が口を開いた。彼女の名前は闇ノ宮 サラ。腰まで伸びた長い髪が特徴の私の同級生で、もちろん吸血鬼である。
「目標は魔王。体は三國 誰太のだから力の加減は各自でお願いね!」
その言葉を合図に生徒たちが掌を魔王に向けた。
:10/01/24 11:49 :F905i :mTQM6q/E
#87 [渚坂]
それからのことは……、なんと言えばいいのだろうか。本当に私は私の目を疑った。この世にこんな不思議が存在したなんて……。つまり、彼らの掌からは常識じゃ考えられないような大量の高エネルギーを放ったわけで……。
「ふぇ……」
常識じゃ考えられない事態に開いた口が塞がらない。私の間抜け面の目の前で数多の光線は魔王を包みこんだ。
:10/01/24 11:50 :F905i :mTQM6q/E
#88 [渚坂]
「もう大丈夫だから」
呆気にとられていた私に、優しい声が舞い降りた。少しだけ首を後ろに回し、私を支えてくれていた人物の顔を見上げる。
「綾辻……?」
見上げたすぐそばに、彼のチャームポイントであるオレンジ色の髪が緩やかに風になびいていた。魔王にやられた時はどうしようかと思ったけど、無事でよかった。私の肩を掴む綾辻の温かい手に心の中のしこりが溶けていくような安堵を感じる。
「お前だいぶ血抜かれたみたいだな。顔が死んだ魚みたいだ……、ってそれはもともとか!あはは!」
……この口の悪さと軽快な笑い声は綾辻に間違いない。一瞬でもと安堵した私が馬鹿でした。
:10/01/24 11:51 :F905i :mTQM6q/E
#89 [渚坂]
「うっさい!で、あれなに?」
未だ光を放ち続ける生徒たちを指差す。
「ああ、あれは対魔王用の結界だってさ。R.B.で変換した力を変換力って言うんだけど、その力を応用させて超高濃度高圧縮の光を作って結界にしてるって話」
あれを作るのは俺には無理だ、と付け加えて綾辻は苦笑いした。……そうね、あんた不器用そうだし。
:10/01/24 11:52 :F905i :mTQM6q/E
#90 [渚坂]
魔王に視線を戻すと黄色い壁のようなものが彼と生徒たちを仕切っていた。綺麗なガラス細工のように、キラリと光を反射し魔王を閉じ込めている結界。
その結界を作り出した力に、やっぱり彼らは人間ではないのだ、ということをまざまざと見せつけられたような気がして私は一種の恐れを感じた。
:10/01/24 11:53 :F905i :mTQM6q/E
#91 [渚坂]
「あれもR.B.の力……」
「ああ……、詳しいことは後で説明してやっから今は俺たちに任せて寝てろ」
そう言って綾辻は私の頭をくしゃくしゃと撫でた。目の当たりにしたR.B.の力に恐怖する一方で、妙に心地よい綾辻の体温が頭から体中に染み渡り、彼の優しさが私を満たしていくような幸福な錯覚を覚えたのだった。
:10/01/24 11:54 :F905i :mTQM6q/E
#92 [渚坂]
:10/01/24 12:00 :F905i :mTQM6q/E
#93 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age
:22/10/07 15:54 :Android :GR1soPvw
#94 [○○&◆.x/9qDRof2]
↑(*゚∀゚*)↑
:22/10/18 01:19 :Android :h3l12Mig
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