星とぽんず。
最新 最初 🆕
#301 [七瀬]
 
視聴覚室は、3階にある。

一気に長ーい階段を上って、激しく息を吐いた。



「松田」

『‥はあ、はぁっ
‥‥??‥‥林原ぁ‥?』

そこには、のんびりと階段を降りてくる林原のすがたが。


「なにやってんの?」
 

⏰:09/07/27 21:39 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#302 [七瀬]
 
 
なにやってんの、って‥。


『‥‥急いでんの!
見たらわかるじゃんっ!』

息を整えて言った。


「そう」

『‥そうですとも』


「そりゃ、ごくろーさん」

『‥ありがとう‥‥ございます‥』

⏰:09/07/27 21:42 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#303 [七瀬]
 
 
なんか‥


『‥はぁ』

あきれた。

新学期早々、忘れ物、遅刻――しかけだったけど、今は急いでも完全遅刻―


それプラス、相変わらずの林原に相変わらず流されちゃうあたし。
 

⏰:09/07/27 21:45 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#304 [七瀬]
 
 
「急がなくていいの?」

でも、いやじゃないんだよなー。


『‥いや‥急いでも遅刻だし、なんか気ぃ抜けたよ。あんたとしゃべってたら』

「そう」


むしろ、うれしいと思う
自分がいることを

やすやすと
認めてしまった。

⏰:09/07/27 21:49 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#305 [七瀬]
 
 
『‥ん?林原も移動教室なの?』

あたしの横を並んで歩く
林原。


「ん。視聴覚室。松田もだろ?」


あ、そっか。

2学期から、
学科別の授業が始まる。

あたしと林原と歩志は、 電気工学。

⏰:09/07/27 21:54 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#306 [七瀬]
 
1〜3組は、その授業についての説明があるから、

今、視聴覚室に集まっている。


『ってか、林原が授業遅れるなんて珍しい。なにしてたの?』

「トイレ」


と、

『トイレって‥』
 

⏰:09/07/27 21:57 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#307 [七瀬]
 
林原らしいところを
また発見してしまい

一人で笑っていると
――なぜかツボに入ってしまった―


「‥しょーがねーじゃん。朝、牛乳飲んだら、腹壊しちまったんだから」

ブスッとしながら、
林原は言った。


‥やっぱ、
気にしてるのかな。
 

⏰:09/07/27 22:01 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#308 [七瀬]
 
身長なんて、


『関係ないよ!』

林原は林原だもん。


『朝から、トイレ行きまくってても、林原は林原だから』

「うっせーな」


ちっちゃくても、
ちっちゃくても。

林原は林原。

⏰:09/07/27 22:04 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#309 [七瀬]
 
でも、いつか。


林原が大きくなって、

身長もだけど、
"男"として、大きくなる日が来るんだろうな‥。


近ごろ、あたしは
林原の身長が少し伸びただけでも、

ちょっぴり遠く感じるのに

何年後かしたら、
まったくの他人になってしまいそうで…怖い。

⏰:09/07/27 22:08 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#310 [七瀬]
 
 
「松田はなんで?」

『水着を忘れてて、貸してもらおうと…』


「うん」

『なによ』


「すっごく松田らしい」

『あほー』


こうやって、笑える時間が大切に思えた。

⏰:09/07/27 22:11 📱:N703iD 🆔:tagz6t3s


#311 [七瀬]
 
 
――ガラガラっ―


『失礼しまーす‥』

遅れて、林原と二人で
ドアを開けると、


「遅刻だ」

案の定、
怖い顔が待ち構えていた。


ひぇぇえ〜‥。
 

⏰:09/07/28 08:56 📱:N703iD 🆔:6aPx6RXw


#312 [七瀬]
 
「お前ら」

低い声が、
よりいっそ低い。


「俺の授業に、仲良く遅れてくるとはいい度胸だな」

殴られるっ!
殺されるっ!


「すいません」

「すっすいません!」

サッと頭を下げる林原に続いて、あたしも下げた。

⏰:09/07/28 08:59 📱:N703iD 🆔:6aPx6RXw


#313 [七瀬]
 
 
「‥まあいい。席に着け」


――ほっ

ひと安心。


言われたとおり、
出席番号順に座った。



ん?

ここで一つ、あたしは
気付いてしまった。

⏰:09/07/28 09:02 📱:N703iD 🆔:6aPx6RXw


#314 [七瀬]
 
 
出席番号順‥
出席‥番号‥順‥‥


と、いうことは。


前を向くと、
手を振る歩志と、

そのうしろで、
これでもかってくらいに、不機嫌な林原が。


ありゃりゃ。
どーしましょ。

⏰:09/07/28 09:06 📱:N703iD 🆔:6aPx6RXw


#315 [七瀬]
 
 
「じゃあ、8班は、八田、林原、福元、本谷、松木」

うん。
呉越同舟とは、こういうをいうのかしら?


「9班は、松田、三田、森岡、八下、山下、」

あたしは、
ギリギリセーフ?だった。

ま、お二人共、仲良く
やってくださーい。

あたしは逃げる。

⏰:09/07/28 09:12 📱:N703iD 🆔:6aPx6RXw


#316 [七瀬]
 
 
「これから一年間、共に過ごすチームだ。仲良くするように」

―――――――――
―――――
―――


「最悪」

「んな嫌がらなくても。
俺はうれしーけど?林原くんと同じ班」


「‥‥」
 

⏰:09/07/29 22:29 📱:N703iD 🆔:D5qFWnKo


#317 [七瀬]
 
 
「まあ、仲良くやろーよ」


「触んな」


「‥はぁ。あれ見てみ?」

「‥‥‥」


「さっきから、ぽんずちゃん、こっちばっか見てる」

「‥‥‥‥」
 

⏰:09/07/29 22:37 📱:N703iD 🆔:D5qFWnKo


#318 [名無し]
>>1-100
>>101-200
>>201-300
>>301-400
>>401-500
>>501-600
>>601-700
>>701-800
>>801-900
>>901-1000

⏰:09/07/30 18:29 📱:F801i 🆔:xLfwmF7g


#319 [七瀬]
名無しさん


アンカー
ありがとうございます^^
 
 

⏰:09/07/30 21:24 📱:N703iD 🆔:tNFNnoDg


#320 [七瀬]
 
 
「ね、仲良く仲良く」


「‥わかった。でも」

「でも?」


「俺、負けねーから。
授業も剣道も、松田のことも」


「フッ‥望むところ」
 
 

⏰:09/07/30 21:27 📱:N703iD 🆔:tNFNnoDg


#321 [七瀬]
―――――――――
―――――
―――


「楽しみだねー。遠足」

1学期の終わりごろから、歩志と昼ご飯を食べるのが日課となっていた。


『…うん』

「どうしたの?ぜんぜん楽しそうに見えない」
 

⏰:09/07/30 21:30 📱:N703iD 🆔:tNFNnoDg


#322 [七瀬]
 
『ううん!そんなことないよ。めちゃめちゃ楽しみ』


ただ‥気がかりなんです。さっきの歩志と林原が。

「‥ふぅん。ならいーけど」

そうやって、
箸を口に運ぶ歩志。


「ね」

『うん?』
 

⏰:09/07/30 22:16 📱:N703iD 🆔:tNFNnoDg


#323 [七瀬]
 
 
「なにを、そんなに気にしてるわけ?」

運びかけてた箸が止まる。


『‥それは‥』

あたしの口も止まる。


「やっぱ気になる?林原くん」
 
 

⏰:09/07/30 22:19 📱:N703iD 🆔:tNFNnoDg


#324 [七瀬]
 
『そっそれは‥歩志が林原に突っかかるような態度とるから‥』

「それは誤解だよ」


誤解?

「むしろ突っかかってくるのは林原くん」


いや‥部活といい、さっきといい。

突っかかっているのは、あんたのほうだと思うんですけど‥。

⏰:09/07/31 14:21 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#325 [七瀬]
 
 
「さっきも俺、"最悪"って言われちゃったし」

『え!林原に!?』


「"負けない"って、宣戦布告されちゃったし」

うーんー‥
こりゃ重症だ。


「ぽんずちゃんからも言ってよー」
 

⏰:09/07/31 14:25 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#326 [七瀬]
 
 
『う、うん‥わかった!』


このとき歩志が、
ぺろっと舌を出したのを、

あたしは気にも止めませんでした。


―――――――――
―――――
―――

「いや、対抗的な態度とってるのは、あいつだろ」
 

⏰:09/07/31 14:30 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#327 [七瀬]
 
 
『え』

「あのバカにしたような目とか、見下ろしてる感とか」

支離滅裂。
どっちが、ほんとのことを言っているのか‥。


「ってか、松田」

『は、はい!?』


「なに吹き込まれたの?」 

⏰:09/07/31 14:34 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#328 [七瀬]
 
 
『な‥なにって‥』

さっきの、昼休みのときの歩志との会話を説明した。


『林原が"負けない"って、宣戦布告したとか、どうとか‥』


「した」

‥したんかーいっ!!
 

⏰:09/07/31 14:37 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#329 [七瀬]
 
『ほ、ほほ‥ほんとにしたの!?林原が!??』


少し詰め寄ると、

「うん‥した」


ちょっと、
目を反らした林原。


な‥

『なんでっ!なんで、そんなことしたのよーっ!』
 

⏰:09/07/31 14:40 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#330 [七瀬]
 
 
「だって‥」

口籠もる林原。


『"だって"!?』


「林原ー。もうそろそろ休憩おわりー」

あたしが般若になったとき剣道部のコーチの声が聞こえた。


タイミング悪ーい‥。
 

⏰:09/07/31 14:44 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#331 [七瀬]
 
 
「あと松田!お茶なくなった!」

え、さっき炊いたばっかなのに。


『わ、わかりましたー』


半泣きになりながら、
講堂裏にいる林原を放ってコーチのもとへ向かった。 
 

⏰:09/07/31 14:48 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#332 [七瀬]
 
 
こちらは
一人残された林原くん。


「お前が好きだからに決まってんじゃん」

顔が真っ赤です。笑


―――――――――
―――――
―――

「柚子ちゃん!」

『あ、はづきちゃん』

⏰:09/07/31 14:50 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#333 [七瀬]
 
「部活の帰り?」

『うん。
 はづきちゃんも?』

はづきちゃんは、あたしが剣道部のマネージャーをしてることを知っている。


「うん」

ちなみに、はづきちゃんはクッキング部の副部長。

ふわふわした髪からは
甘いバニラエッセンスの
香りが微かにした。

⏰:09/07/31 14:54 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#334 [七瀬]
 
 
「あ、これ」

カバンから、白いものを
取り出したはづきちゃん。


「今日、作ったの」

キッチンペーパーに
包まれたそれは、はづきちゃんの髪と同じ香りがした。


「柚子ちゃん、食べて」

『え、いいの?』

⏰:09/07/31 14:58 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#335 [七瀬]
 
「うん。部活終わりって、お腹空くでしょ?」

にこっとほほえんだ。


はづきちゃん‥。
あなたは神です。


『ありがとう!』

紙を開くと、香りがより一層、濃くなった。


「これはね、紅茶のスポンジケーキ」
 

⏰:09/07/31 15:01 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#336 [七瀬]
 
それから、はづきちゃんはそのケーキの作り方を説明し始めた。


『へー、おいしー』

正直、食べるのに夢中で、はづきちゃんの話をあまり聞いていなかった。


が、次の瞬間
いやでも、耳に入ってしまうことになる。


「あゆの大好物なの」
 

⏰:09/07/31 15:10 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#337 [七瀬]
 
活発に動いていた
頬が止まった。


「今日もあげよっかなーって思ってて、待ってたの」

あ、だから、あたしが講堂出たときいたんだ。


『ご、ごめんなさい!
あたしが食べちゃって』

あわてて、残りのケーキをはづきちゃんに渡した。

⏰:09/07/31 15:15 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#338 [七瀬]
 
すると、はづきちゃんは、はっとしたように首を振った。

「ううん!気にしないで!あゆ、部活長引くみたいだったし、それに‥」

頬が赤らむ。


「また作って、あゆに持っていけばいいだけだし‥」


――ズキン

なにこれ。

⏰:09/07/31 15:19 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#339 [七瀬]
 
 
『‥は‥はは‥そっか』

そう言うのが、精一杯だった。


そんなあたしに気付いてるのか、そうでないのか。

わからないけど、はづきちゃんは話を進めた。


「前に言ったと思うけど、わたしとあゆは小さいころの幼なじみなの」
 

⏰:09/07/31 15:21 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#340 [七瀬]
 
あたし、なんて、
ヤな子なんだろう。


「ほら、あゆんちって、建築事務所でしょ?」

せっかく
できた友だちなのに。


「わたしの家も、あゆのところで創ってもらって、それからかな?わたしの家とあゆの家が仲良くなり始めたの」

はづきちゃんの話、聞きたくない。

⏰:09/07/31 15:25 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#341 [七瀬]
 
『そうなんだ』『へー』
『そう』

あたしは相づちを打つしかできない。


「あゆがりんご好きだって言うから、小さいころ、ママと一緒にアップルパイ作って持っていったの」

"そうなんだ"

「じゃあね、あゆ、アップルパイ食べれないんだって」

"へー"

⏰:09/07/31 15:30 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#342 [七瀬]
 
「あゆね、りんごは好きだけど、加工されたりんごは嫌いなんだって。生のりんごしか食べれないの」

"そう"


「おかしいでしょ?」

思い出すように
楽しそうに。


クスクス笑う
はづきちゃん。
 

⏰:09/07/31 15:32 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#343 [七瀬]
 
「柚子ちゃんも、そう思わない?」


そんな言い方しないで。

自分だけしか知らなかったような言い方。

あたしも知ってたよ。
歩志がりんご飴食べれないの。


でも、悔しい。

あたしが知る前から、
はづきちゃんは知ってたんだ。

⏰:09/07/31 15:36 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#344 [七瀬]
 
 
悔しい悔しい悔しい。


やだやだやだやだ。

そんな歩志、
思い出さないで。



見ないで。
 
 

⏰:09/07/31 15:37 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#345 [七瀬]
 
 
「柚子ちゃん?」


――ハッ

「大丈夫?顔‥青いけど」


あたしは、驚きを隠せずにいた。


『うん‥大丈夫だよ』


自分の中に、
こんなに汚い感情があったなんて。  キ モ チ

⏰:09/07/31 15:40 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#346 [七瀬]
―――――――――
―――――
―――


「ふつうじゃないの?」

『そう…なのかな』


Lサイズのポテトも三人で、食べたら、あっという間になくなる。


「そうだよそうだよ!まりの言うとおりだよ!」
 

⏰:09/07/31 15:47 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#347 [七瀬]
 
炭酸の抜けたコーラって、価値が一気に下がる気がする。

「ってか、なんなの!?
その"はづき"とかいう女は!」

そうわかっていながらも、ストローを加える。

「柚子!負けちゃだめだよ!」

まず…

氷が溶けて、薄まったコーラはまずさが増して、苦かった。

⏰:09/07/31 15:51 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#348 [七瀬]
 
 
「ちょ、落ち着いて。三咲」

「こーゆー、緊急事態に落ち着いてられる!?まり」


三咲は、かれこれ20分ほど前から、ずっとこの調子。

冷静なまりとは、正反対に興奮しっぱなしだ。


「こーなったら!あたしが一肌ぬ…」
 

⏰:09/07/31 15:56 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#349 [七瀬]
 
「落ち着きなさい、三咲」


めずらしく、真剣なようすのまりに、三咲はおとなしく座った。


「でも、まりぃ。やっぱ、あたしはムカつくよぉ!」

「ムカついても、しゃーない。とりあえず、柚子の話を聞こうじゃないの」


二人の視線が、
またあたしに注がれる。

⏰:09/07/31 15:59 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


#350 [七瀬]
 
 
『いや‥だから、
さっきも言ったとおり、なんだけど‥‥』


「心の中に、今まで知らなかったいやな感情があって、どうすればいいかわからない‥んでしょ?」

『うん‥』


「あのね、柚子」

ふぅ、と一息入れるまり。 

⏰:09/07/31 16:03 📱:N703iD 🆔:Hvrvfru.


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194