星とぽんず。
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#301 [七瀬]
視聴覚室は、3階にある。
一気に長ーい階段を上って、激しく息を吐いた。
「松田」
『‥はあ、はぁっ
‥‥??‥‥林原ぁ‥?』
そこには、のんびりと階段を降りてくる林原のすがたが。
「なにやってんの?」
:09/07/27 21:39
:N703iD
:tagz6t3s
#302 [七瀬]
なにやってんの、って‥。
『‥‥急いでんの!
見たらわかるじゃんっ!』
息を整えて言った。
「そう」
『‥そうですとも』
「そりゃ、ごくろーさん」
『‥ありがとう‥‥ございます‥』
:09/07/27 21:42
:N703iD
:tagz6t3s
#303 [七瀬]
なんか‥
『‥はぁ』
あきれた。
新学期早々、忘れ物、遅刻――しかけだったけど、今は急いでも完全遅刻―
それプラス、相変わらずの林原に相変わらず流されちゃうあたし。
:09/07/27 21:45
:N703iD
:tagz6t3s
#304 [七瀬]
「急がなくていいの?」
でも、いやじゃないんだよなー。
『‥いや‥急いでも遅刻だし、なんか気ぃ抜けたよ。あんたとしゃべってたら』
「そう」
むしろ、うれしいと思う
自分がいることを
やすやすと
認めてしまった。
:09/07/27 21:49
:N703iD
:tagz6t3s
#305 [七瀬]
『‥ん?林原も移動教室なの?』
あたしの横を並んで歩く
林原。
「ん。視聴覚室。松田もだろ?」
あ、そっか。
2学期から、
学科別の授業が始まる。
あたしと林原と歩志は、 電気工学。
:09/07/27 21:54
:N703iD
:tagz6t3s
#306 [七瀬]
1〜3組は、その授業についての説明があるから、
今、視聴覚室に集まっている。
『ってか、林原が授業遅れるなんて珍しい。なにしてたの?』
「トイレ」
と、
『トイレって‥』
:09/07/27 21:57
:N703iD
:tagz6t3s
#307 [七瀬]
林原らしいところを
また発見してしまい
一人で笑っていると
――なぜかツボに入ってしまった―
「‥しょーがねーじゃん。朝、牛乳飲んだら、腹壊しちまったんだから」
ブスッとしながら、
林原は言った。
‥やっぱ、
気にしてるのかな。
:09/07/27 22:01
:N703iD
:tagz6t3s
#308 [七瀬]
身長なんて、
『関係ないよ!』
林原は林原だもん。
『朝から、トイレ行きまくってても、林原は林原だから』
「うっせーな」
ちっちゃくても、
ちっちゃくても。
林原は林原。
:09/07/27 22:04
:N703iD
:tagz6t3s
#309 [七瀬]
でも、いつか。
林原が大きくなって、
身長もだけど、
"男"として、大きくなる日が来るんだろうな‥。
近ごろ、あたしは
林原の身長が少し伸びただけでも、
ちょっぴり遠く感じるのに
何年後かしたら、
まったくの他人になってしまいそうで…怖い。
:09/07/27 22:08
:N703iD
:tagz6t3s
#310 [七瀬]
「松田はなんで?」
『水着を忘れてて、貸してもらおうと…』
「うん」
『なによ』
「すっごく松田らしい」
『あほー』
こうやって、笑える時間が大切に思えた。
:09/07/27 22:11
:N703iD
:tagz6t3s
#311 [七瀬]
――ガラガラっ―
『失礼しまーす‥』
遅れて、林原と二人で
ドアを開けると、
「遅刻だ」
案の定、
怖い顔が待ち構えていた。
ひぇぇえ〜‥。
:09/07/28 08:56
:N703iD
:6aPx6RXw
#312 [七瀬]
「お前ら」
低い声が、
よりいっそ低い。
「俺の授業に、仲良く遅れてくるとはいい度胸だな」
殴られるっ!
殺されるっ!
「すいません」
「すっすいません!」
サッと頭を下げる林原に続いて、あたしも下げた。
:09/07/28 08:59
:N703iD
:6aPx6RXw
#313 [七瀬]
「‥まあいい。席に着け」
――ほっ
ひと安心。
言われたとおり、
出席番号順に座った。
ん?
ここで一つ、あたしは
気付いてしまった。
:09/07/28 09:02
:N703iD
:6aPx6RXw
#314 [七瀬]
出席番号順‥
出席‥番号‥順‥‥
と、いうことは。
前を向くと、
手を振る歩志と、
そのうしろで、
これでもかってくらいに、不機嫌な林原が。
ありゃりゃ。
どーしましょ。
:09/07/28 09:06
:N703iD
:6aPx6RXw
#315 [七瀬]
「じゃあ、8班は、八田、林原、福元、本谷、松木」
うん。
呉越同舟とは、こういうをいうのかしら?
「9班は、松田、三田、森岡、八下、山下、」
あたしは、
ギリギリセーフ?だった。
ま、お二人共、仲良く
やってくださーい。
あたしは逃げる。
:09/07/28 09:12
:N703iD
:6aPx6RXw
#316 [七瀬]
「これから一年間、共に過ごすチームだ。仲良くするように」
―――――――――
―――――
―――
「最悪」
「んな嫌がらなくても。
俺はうれしーけど?林原くんと同じ班」
「‥‥」
:09/07/29 22:29
:N703iD
:D5qFWnKo
#317 [七瀬]
「まあ、仲良くやろーよ」
「触んな」
「‥はぁ。あれ見てみ?」
「‥‥‥」
「さっきから、ぽんずちゃん、こっちばっか見てる」
「‥‥‥‥」
:09/07/29 22:37
:N703iD
:D5qFWnKo
#318 [名無し]
:09/07/30 18:29
:F801i
:xLfwmF7g
#319 [七瀬]
名無しさん
アンカー
ありがとうございます^^
:09/07/30 21:24
:N703iD
:tNFNnoDg
#320 [七瀬]
「ね、仲良く仲良く」
「‥わかった。でも」
「でも?」
「俺、負けねーから。
授業も剣道も、松田のことも」
「フッ‥望むところ」
:09/07/30 21:27
:N703iD
:tNFNnoDg
#321 [七瀬]
―――――――――
―――――
―――
「楽しみだねー。遠足」
1学期の終わりごろから、歩志と昼ご飯を食べるのが日課となっていた。
『…うん』
「どうしたの?ぜんぜん楽しそうに見えない」
:09/07/30 21:30
:N703iD
:tNFNnoDg
#322 [七瀬]
『ううん!そんなことないよ。めちゃめちゃ楽しみ』
ただ‥気がかりなんです。さっきの歩志と林原が。
「‥ふぅん。ならいーけど」
そうやって、
箸を口に運ぶ歩志。
「ね」
『うん?』
:09/07/30 22:16
:N703iD
:tNFNnoDg
#323 [七瀬]
「なにを、そんなに気にしてるわけ?」
運びかけてた箸が止まる。
『‥それは‥』
あたしの口も止まる。
「やっぱ気になる?林原くん」
:09/07/30 22:19
:N703iD
:tNFNnoDg
#324 [七瀬]
『そっそれは‥歩志が林原に突っかかるような態度とるから‥』
「それは誤解だよ」
誤解?
「むしろ突っかかってくるのは林原くん」
いや‥部活といい、さっきといい。
突っかかっているのは、あんたのほうだと思うんですけど‥。
:09/07/31 14:21
:N703iD
:Hvrvfru.
#325 [七瀬]
「さっきも俺、"最悪"って言われちゃったし」
『え!林原に!?』
「"負けない"って、宣戦布告されちゃったし」
うーんー‥
こりゃ重症だ。
「ぽんずちゃんからも言ってよー」
:09/07/31 14:25
:N703iD
:Hvrvfru.
#326 [七瀬]
『う、うん‥わかった!』
このとき歩志が、
ぺろっと舌を出したのを、
あたしは気にも止めませんでした。
―――――――――
―――――
―――
「いや、対抗的な態度とってるのは、あいつだろ」
:09/07/31 14:30
:N703iD
:Hvrvfru.
#327 [七瀬]
『え』
「あのバカにしたような目とか、見下ろしてる感とか」
支離滅裂。
どっちが、ほんとのことを言っているのか‥。
「ってか、松田」
『は、はい!?』
「なに吹き込まれたの?」
:09/07/31 14:34
:N703iD
:Hvrvfru.
#328 [七瀬]
『な‥なにって‥』
さっきの、昼休みのときの歩志との会話を説明した。
『林原が"負けない"って、宣戦布告したとか、どうとか‥』
「した」
‥したんかーいっ!!
:09/07/31 14:37
:N703iD
:Hvrvfru.
#329 [七瀬]
『ほ、ほほ‥ほんとにしたの!?林原が!??』
少し詰め寄ると、
「うん‥した」
ちょっと、
目を反らした林原。
な‥
『なんでっ!なんで、そんなことしたのよーっ!』
:09/07/31 14:40
:N703iD
:Hvrvfru.
#330 [七瀬]
「だって‥」
口籠もる林原。
『"だって"!?』
「林原ー。もうそろそろ休憩おわりー」
あたしが般若になったとき剣道部のコーチの声が聞こえた。
タイミング悪ーい‥。
:09/07/31 14:44
:N703iD
:Hvrvfru.
#331 [七瀬]
「あと松田!お茶なくなった!」
え、さっき炊いたばっかなのに。
『わ、わかりましたー』
半泣きになりながら、
講堂裏にいる林原を放ってコーチのもとへ向かった。
:09/07/31 14:48
:N703iD
:Hvrvfru.
#332 [七瀬]
こちらは
一人残された林原くん。
「お前が好きだからに決まってんじゃん」
顔が真っ赤です。笑
―――――――――
―――――
―――
「柚子ちゃん!」
『あ、はづきちゃん』
:09/07/31 14:50
:N703iD
:Hvrvfru.
#333 [七瀬]
「部活の帰り?」
『うん。
はづきちゃんも?』
はづきちゃんは、あたしが剣道部のマネージャーをしてることを知っている。
「うん」
ちなみに、はづきちゃんはクッキング部の副部長。
ふわふわした髪からは
甘いバニラエッセンスの
香りが微かにした。
:09/07/31 14:54
:N703iD
:Hvrvfru.
#334 [七瀬]
「あ、これ」
カバンから、白いものを
取り出したはづきちゃん。
「今日、作ったの」
キッチンペーパーに
包まれたそれは、はづきちゃんの髪と同じ香りがした。
「柚子ちゃん、食べて」
『え、いいの?』
:09/07/31 14:58
:N703iD
:Hvrvfru.
#335 [七瀬]
「うん。部活終わりって、お腹空くでしょ?」
にこっとほほえんだ。
はづきちゃん‥。
あなたは神です。
『ありがとう!』
紙を開くと、香りがより一層、濃くなった。
「これはね、紅茶のスポンジケーキ」
:09/07/31 15:01
:N703iD
:Hvrvfru.
#336 [七瀬]
それから、はづきちゃんはそのケーキの作り方を説明し始めた。
『へー、おいしー』
正直、食べるのに夢中で、はづきちゃんの話をあまり聞いていなかった。
が、次の瞬間
いやでも、耳に入ってしまうことになる。
「あゆの大好物なの」
:09/07/31 15:10
:N703iD
:Hvrvfru.
#337 [七瀬]
活発に動いていた
頬が止まった。
「今日もあげよっかなーって思ってて、待ってたの」
あ、だから、あたしが講堂出たときいたんだ。
『ご、ごめんなさい!
あたしが食べちゃって』
あわてて、残りのケーキをはづきちゃんに渡した。
:09/07/31 15:15
:N703iD
:Hvrvfru.
#338 [七瀬]
すると、はづきちゃんは、はっとしたように首を振った。
「ううん!気にしないで!あゆ、部活長引くみたいだったし、それに‥」
頬が赤らむ。
「また作って、あゆに持っていけばいいだけだし‥」
――ズキン
なにこれ。
:09/07/31 15:19
:N703iD
:Hvrvfru.
#339 [七瀬]
『‥は‥はは‥そっか』
そう言うのが、精一杯だった。
そんなあたしに気付いてるのか、そうでないのか。
わからないけど、はづきちゃんは話を進めた。
「前に言ったと思うけど、わたしとあゆは小さいころの幼なじみなの」
:09/07/31 15:21
:N703iD
:Hvrvfru.
#340 [七瀬]
あたし、なんて、
ヤな子なんだろう。
「ほら、あゆんちって、建築事務所でしょ?」
せっかく
できた友だちなのに。
「わたしの家も、あゆのところで創ってもらって、それからかな?わたしの家とあゆの家が仲良くなり始めたの」
はづきちゃんの話、聞きたくない。
:09/07/31 15:25
:N703iD
:Hvrvfru.
#341 [七瀬]
『そうなんだ』『へー』
『そう』
あたしは相づちを打つしかできない。
「あゆがりんご好きだって言うから、小さいころ、ママと一緒にアップルパイ作って持っていったの」
"そうなんだ"
「じゃあね、あゆ、アップルパイ食べれないんだって」
"へー"
:09/07/31 15:30
:N703iD
:Hvrvfru.
#342 [七瀬]
「あゆね、りんごは好きだけど、加工されたりんごは嫌いなんだって。生のりんごしか食べれないの」
"そう"
「おかしいでしょ?」
思い出すように
楽しそうに。
クスクス笑う
はづきちゃん。
:09/07/31 15:32
:N703iD
:Hvrvfru.
#343 [七瀬]
「柚子ちゃんも、そう思わない?」
そんな言い方しないで。
自分だけしか知らなかったような言い方。
あたしも知ってたよ。
歩志がりんご飴食べれないの。
でも、悔しい。
あたしが知る前から、
はづきちゃんは知ってたんだ。
:09/07/31 15:36
:N703iD
:Hvrvfru.
#344 [七瀬]
悔しい悔しい悔しい。
やだやだやだやだ。
そんな歩志、
思い出さないで。
見ないで。
:09/07/31 15:37
:N703iD
:Hvrvfru.
#345 [七瀬]
「柚子ちゃん?」
――ハッ
「大丈夫?顔‥青いけど」
あたしは、驚きを隠せずにいた。
『うん‥大丈夫だよ』
自分の中に、
こんなに汚い感情があったなんて。 キ モ チ
:09/07/31 15:40
:N703iD
:Hvrvfru.
#346 [七瀬]
―――――――――
―――――
―――
「ふつうじゃないの?」
『そう…なのかな』
Lサイズのポテトも三人で、食べたら、あっという間になくなる。
「そうだよそうだよ!まりの言うとおりだよ!」
:09/07/31 15:47
:N703iD
:Hvrvfru.
#347 [七瀬]
炭酸の抜けたコーラって、価値が一気に下がる気がする。
「ってか、なんなの!?
その"はづき"とかいう女は!」
そうわかっていながらも、ストローを加える。
「柚子!負けちゃだめだよ!」
まず…
氷が溶けて、薄まったコーラはまずさが増して、苦かった。
:09/07/31 15:51
:N703iD
:Hvrvfru.
#348 [七瀬]
「ちょ、落ち着いて。三咲」
「こーゆー、緊急事態に落ち着いてられる!?まり」
三咲は、かれこれ20分ほど前から、ずっとこの調子。
冷静なまりとは、正反対に興奮しっぱなしだ。
「こーなったら!あたしが一肌ぬ…」
:09/07/31 15:56
:N703iD
:Hvrvfru.
#349 [七瀬]
「落ち着きなさい、三咲」
めずらしく、真剣なようすのまりに、三咲はおとなしく座った。
「でも、まりぃ。やっぱ、あたしはムカつくよぉ!」
「ムカついても、しゃーない。とりあえず、柚子の話を聞こうじゃないの」
二人の視線が、
またあたしに注がれる。
:09/07/31 15:59
:N703iD
:Hvrvfru.
#350 [七瀬]
『いや‥だから、
さっきも言ったとおり、なんだけど‥‥』
「心の中に、今まで知らなかったいやな感情があって、どうすればいいかわからない‥んでしょ?」
『うん‥』
「あのね、柚子」
ふぅ、と一息入れるまり。
:09/07/31 16:03
:N703iD
:Hvrvfru.
#351 [七瀬]
「さっきも言ったんだけどそれはふつうのことだよ。あたしだって、好きな人のことをそんな風に言われたら腹が立つ。嫉妬するよ」
―――嫉妬?
『しっ‥と』
「そ。嫉妬」
:09/08/03 16:26
:N703iD
:xQiMWEfo
#352 [七瀬]
胸が熱くなる。
あたし‥嫉妬してたんだ。
「でも、以外だったなぁ。柚子はてっきり、林原くんが好きだと、ミサは思ってたのにぃ」
「それはあたしも同感」
「ねぇー!」
同意したまりに、
三咲は興奮を増す。
:09/08/03 16:30
:N703iD
:xQiMWEfo
#353 [七瀬]
「そしたら、いきなり
"好きな人ができた"とか言って呼び出されるしー」
「しかも、その好きな人は林原じゃない」
「びっくりだよねー」と、同時にうなずく二人に、
『あたしが、いちばんびっくり』と苦笑するあたし。
ほんと、何ヵ月前までは、こうなるなんて思っても、みなかった。
:09/08/03 16:34
:N703iD
:xQiMWEfo
#354 [七瀬]
ましてや、嫉妬なんて‥
「でも」
まりが、あたしを見る。
「油断大敵だよ、柚子」
その目は真剣そのもの。
「その子、そぉーとー柚子の好きな子が、好きなんだよ」
"その子"とは、はづきちゃんで、"柚子の好きな子"
ってーのが歩志。
:09/08/03 16:38
:N703iD
:xQiMWEfo
#355 [七瀬]
隣で、うんうんと
縦に首を振る三咲。
「だねー。ぼぉーっとしてたら、取られちゃう。
ましてや、柚子は鈍感なんだからー」
『鈍感?あたしって、鈍感なの?』
「え、気付いてなかったの?」
口をそろえて、言う二人。
:09/08/03 16:42
:N703iD
:xQiMWEfo
#356 [七瀬]
目を広げるあたしに
向かって、
「ま、そういうとこが、柚子らしいか」
まりは笑う。
「うんうん!柚子はそれでいーの!」
『あ、ありがと』
みょーに納得できないけどま、いっか。
二人に話して、すっきりした。
:09/08/03 22:02
:N703iD
:xQiMWEfo
#357 [七瀬]
あたしは、決心した。
高校入って、
新しくできた友だち。
念願だった、かわいい
女の子の友だち、
はづきちゃんを
大切にする。
そして、もう一つ。
歩志を、あきらめない。
:09/08/03 22:06
:N703iD
:xQiMWEfo
#358 [七瀬]
まりや三咲の言うとおり、ほんとうに、はづきちゃんが歩志を好きだったら、
この二人の決意をつらぬくことは難しい。
だけど決めたの。
あたし、
けっこう好きみたい。
アイツも。
はづきちゃんのことも。
:09/08/03 22:08
:N703iD
:xQiMWEfo
#359 [七瀬]
そして、もういっこ。
ちゃんと言うんだ。
林原に。
はっきりさせなきゃ。
いつまでも、林原に
依存してちゃいけない。
だって、林原も
けっこう好きだから!
:09/08/03 22:11
:N703iD
:xQiMWEfo
#360 [七瀬]
あたしの決断は
まちがってなかった。
そう思える日が来るまで、そう思える日を作るために
優柔不断で、アイツと林原に、うじうじしてた
過去のあたしは捨てます!
松田柚子、まだ暑さの残る日の想いだった。
:09/08/03 22:15
:N703iD
:xQiMWEfo
#361 [七瀬]
―――――――――
―――――
―――
「‥んだよ、それ」
部活終わりの、日が暮れて少し涼しくなってきた日。
「そんなの、ねーだろ」
辺りも、暗くなり始めている。
『ごめん、林原』
あたしは言った。
:09/08/04 17:03
:N703iD
:JmkDUx7w
#362 [七瀬]
『あたし、決めたの』
強く強く。
決心したことを、ちゃんと林原に聞いてもらうんだ。
『あたしは、やっぱり‥』
「アイツか」
林原の目が、あたしを捕らえる。
「八田歩志か」
:09/08/04 17:05
:N703iD
:JmkDUx7w
#363 [七瀬]
なにも言わず、
コクンとうなずく。
「‥ら」
小さく響く声。
「俺、ぜってー認めねーから!」
次は、大きく響いたと思ったら、
林原はだんだん小さくなっていった。
:09/08/04 17:08
:N703iD
:JmkDUx7w
#364 [七瀬]
『‥』
言った。
あたしは告った。
イ
"林原の気持ちには答えられない。好きな人がいる"
これでもかってくらい
大きく見開かれた目と、
わなわなと震える唇が
今でも、頭に残る。
:09/08/04 17:11
:N703iD
:JmkDUx7w
#365 [七瀬]
これで、
よかった‥んだよね?
あたしは
まちがってないよね?
頭に浮かぶ疑問符たち。
すっきりさせるつもりが、よけいにむしゃくしゃするのは、なぜだろう。
あたしには、わからない。
:09/08/04 17:14
:N703iD
:JmkDUx7w
#366 [七瀬]
―――――――――
―――――
―――
「どうしたの?」
『えっ?』
いきなりのことに、
少し声が上ずる。
「元気ないけど」
『そっ、そう?』
:09/08/04 21:33
:N703iD
:JmkDUx7w
#367 [七瀬]
「うん。すっごい悩んでるように見える」
うっそー。あたし、
そんなに顔に出てたかな?
『いや、そういうわけじゃないんだけど』
ほんとは
そういうわけであります。
「‥もしかして」
:09/08/04 21:36
:N703iD
:JmkDUx7w
#368 [七瀬]
グッと、
顔を近付ける歩志。
ちょうど練習を終えて、
今は、休憩時間。
男の子が運動しているときよりもしたあとの、汗をかいたすがたに、
きゅんとしてしまうのは、あたしだけじゃないはず。
『かっ‥顔近いよっ!』
少し押すと、やっと
元の位置に戻す歩志。
:09/08/04 21:42
:N703iD
:JmkDUx7w
#369 [七瀬]
「来てないから?」
目を反らして言うアイツ。
『‥へ』
「林原くんだよ。林原くん!」
あ‥うん。
実は、ここ一週間ほど、
林原は部活に来ていない。
:09/08/04 21:45
:N703iD
:JmkDUx7w
#370 [七瀬]
おととい、廊下で見かけたし、昨日、学科別授業にも出ていたし、
学校には来てるみたいだけど。
理由は‥たぶんあたし。
「心配?」
『‥‥うん‥』
:09/08/04 21:48
:N703iD
:JmkDUx7w
#371 [七瀬]
心配だよ。
心配に決まってんじゃん。
「‥そんなに心配なんだ。林原くんのこと」
ぽつりと言って、
歩志は練習を再開した。
今のあたしには、歩志の不機嫌そうな表情よりも、
林原が気になって気になって、しょうがなかった。
:09/08/04 21:58
:N703iD
:JmkDUx7w
#372 [七瀬]
―――――――――
―――――
―――
松田‥松田‥――
『林原?』
松田‥――
『どこ?林原ー?』
ここだよ、ここ‥――
『ここって、どこよー?』
:09/08/06 00:15
:N703iD
:DEW.EFwE
#373 [七瀬]
白く広い廊下。
前も後ろも、
右も左も、だれもいない。
人一人いないと、こんなに広くて静かなんだ、と感じると、ともに
松田‥――
林原の声が耳に響く。
『もー!
"ここ"って、どこ!?』
:09/08/06 00:19
:N703iD
:DEW.EFwE
#374 [七瀬]
答えない林原に、苛立つ。
お前のすぐ側――
『えっ?』
俺は離れていかないよ――
あたしの、
不安を包み込むような声。
ずっと、側にいる――
すがたが見えないけれど、林原がいるんだって、思う。
:09/08/06 00:23
:N703iD
:DEW.EFwE
#375 [七瀬]
たとえ、お前の心が、
他の奴のものだとしても―
なんで、そんな優しい声してるの‥‥林原‥。
だって、松田は俺の‥――
「―――‥‥い」
:09/08/06 00:27
:N703iD
:DEW.EFwE
#376 [七瀬]
松田は俺の‥――
ほほえむ林原を最後に
「起きなさい!!」
一気に、現実に戻される。
『う‥〜〜ん〜‥』
「柚子!遅刻遅刻!!」
『もぉ‥休むぅ‥』
ダメ元でも、寝呆けてた
あたしは言ってみる。
:09/08/06 00:31
:N703iD
:DEW.EFwE
#377 [七瀬]
「なに言ってんの!!
いいから、起きなさい!」
あー、やっぱりお母さんには通じないよね‥。
体を起こそうかなと、思いながらも、布団の誘惑に勝てず、渋るあたしも、
次の、お母さんの言葉で
飛び起きることとなる。
「遠足!今日遠足よっ!」
:09/08/06 00:35
:N703iD
:DEW.EFwE
#378 [七瀬]
‥‥‥‥遠足。
『ええぇぇえ!??』
うそーうそーうそー!!!
『なんで、起こしてくんなかったのよぉ!!!!』
あわてて、布団を蹴り飛ばし、体を起こす。
「‥お母さんも、お寝坊しちゃった」
:09/08/06 00:38
:N703iD
:DEW.EFwE
#379 [七瀬]
『‥‥‥』
年甲斐もなく、舌を出す
我が母に、疲れた瞬間。
「とりあえず!早く顔洗ってらっしゃい!」
言われたとおり、階段を降りて、洗面所へ向かった。
『あ‥お姉ちゃん』
「ごめん。今、混んでるから」
:09/08/06 00:46
:N703iD
:DEW.EFwE
#380 [七瀬]
パシャパシャと、顔を洗う我が姉のすがたと
「いやぁ〜〜柚子ごめん。次は、パパが並んでるんだぁ」
こんなときでも、ほんわか穏やかな、我が父。
『ま‥まさか‥』
「そのまさかだよ」
お姉ちゃんが、タオルに
顔を押しつけ、言った。
:09/08/06 00:50
:N703iD
:DEW.EFwE
#381 [七瀬]
「家族全員寝坊」
なんか‥中国語みたい‥。
「でも、めずらしいなぁ。しっかり者のお姉ちゃんまで、寝坊するなんて」
「あたしだって、寝坊ぐらいするわよ、寝坊ぐらい」
へらへら笑うお父さんと、てきぱき動くお姉ちゃん。
:09/08/07 20:00
:N703iD
:Rtsevn3Y
#382 [七瀬]
「でも、柚子は最悪ね。よりによって、こんな日に寝坊するなんて」
と、一言言って、お姉ちゃんは「いってきます」と出ていった。
うん。まったくそうだよ。
指定の時間に来ないあたしを心配したマッキーがかけた電話で、
お母さんが起き、
お姉ちゃんが起き、
お父さんが起き‥あたしも叩き起こされた。
:09/08/07 20:06
:N703iD
:Rtsevn3Y
#383 [七瀬]
「朝ごはん、さっさと食べて、着替えなさい」
目玉焼きの乗ったお皿を、コトンと置いて、お母さんは言う。
「駅まで、送っていったげるから」
『はぁい‥』
遅刻しました松田柚子は、直接現地で1-2のバスと、合流することになった。
:09/08/07 20:11
:N703iD
:Rtsevn3Y
#384 [七瀬]
電話に出たお母さんに、
マッキーは苦笑しながら、「休みますか」と聞いたそう。
しかし、うちのお母さん。
すかさず「行かせます。なにがなんでも」と。
「柚子、パパは先に行くな。お母さんごちそうさまー」
洗い物をするお母さんに、まだ口にウィンナーを詰めながら、お父さんはお姉ちゃんに続いて、家を出た。
:09/08/07 20:16
:N703iD
:Rtsevn3Y
#385 [七瀬]
さ、あたしも
早くしないと‥。
イスから立ち上がり、
自分の部屋へ急いだ。
―――――――――
―――――
―――
「じゃあ、気をつけて。
いってらっしゃい、柚子」
『うん。ありがと』
「まぁ、待ち合わせは12時の昼ご飯時だから、今から行っても余裕で間に合うと思うから」
:09/08/07 20:20
:N703iD
:Rtsevn3Y
#386 [我輩は匿名である]
「ぽいずん」
:09/08/07 22:40
:F904i
:FZTnqMX.
#387 [七瀬]
匿名さん
「ぽんず」と「ぽいずん」なんか似てますねー^^
:09/08/07 23:25
:N703iD
:Rtsevn3Y
#388 [七瀬]
ガタンゴトン
ガタンゴトン…
ひとり旅…
とか言っちゃって。
ほんとは
近所の山を登るだけ。
あまり高くない山。
んで、てっぺんでお弁当食べて、集合写真なんか撮っちゃって。
ちょっと遊んで帰る。
:09/08/07 23:40
:N703iD
:Rtsevn3Y
#389 [七瀬]
んー‥遠足というより、
ピクニックだな、こりゃ。
あたしは、けっこう冷めてた――ふりをしていた―
遠足の内容もわかりきっていたし――2週間前から、しおりをずっと読んでいたから―
おやつだって、そんな‥‥――限られた値段のなかで精一杯選びました―
‥‥とりあえず、すごく楽しみでした。かなり前から。はい、すみません。
:09/08/07 23:45
:N703iD
:Rtsevn3Y
#390 [七瀬]
いろんなことを考えながらいつもより長い時間乗った電車を降りた。
ミーンミンミンミン…
蝉の鳴き声が、耳を支配する。
―着いたら、ここに電話するのよ―
今朝、お母さんに渡された紙切れをポケットから取り出す。
:09/08/07 23:49
:N703iD
:Rtsevn3Y
#391 [七瀬]
切符を通して、外に出るとすぐ横に公衆電話があった。
くしゃくしゃになった紙を開いて、10円玉を握る。
ボックスのドアを開けるともわ〜んと、熱気が顔にかかった。
あっつい‥。
なんだ、ここは。
熱帯雨林か!?
暑さに耐えて、緑色の受話器に手を掛けた。
:09/08/07 23:54
:N703iD
:Rtsevn3Y
#392 [七瀬]
――カラン―
10円玉を通して、紙切れに書かれたとおりに、押してみる。
「090…」
プルルルルルルル…
しばらくすると、
繋がって
「はい」
ぶっきらぼうな声が聞こえた。
:09/08/07 23:58
:N703iD
:Rtsevn3Y
#393 [七瀬]
『ま、松田です』
「ああ松田。早かったな。今どこにいるんだ?」
『――駅の公衆電話の中です』
「わかった。迎えに行くから待ってろ」
電話が切れ、20分ほどすると、
「松田!」
マッキーがやってきた。
:09/08/08 18:37
:N703iD
:ndZ1OwLY
#394 [七瀬]
『あ‥すいません』
「ったくお前は。こんなときに遅刻するバカがいるかったく‥」
『‥あたしも今まで、そう思ってました‥』
「まぁ‥来たんだから、よしとするか」
ぶつぶつ文句を言われながらも、あたしとマッキーは山を登った。
:09/08/08 19:34
:N703iD
:ndZ1OwLY
#395 [七瀬]
:09/08/08 20:00
:N703iD
:ndZ1OwLY
#396 [○○&◆.x/9qDRof2]
(´∀`∩)↑age↑
:22/10/01 22:30
:Android
:rYsbLV12
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