サークル ー番外編ー
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#125 [柚子]

エントランスから階段へと歩く足音は、以前も聞いたものだった。

(二階、三階、四階…)

一度も使ったことのない階段のどこをそいつが歩いているのか、何故か手に取るようにわかった。

その足音は、五階で止まった。

⏰:09/06/24 15:09 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


#126 [柚子]

ピタリと五階で止まった足音に、連れの言葉を思い出さずにはいられなかった。

“この部屋に近付いてくるんだろうな”

「…ってわけで、マジで俺の部屋まで来られたらたまんないって言うか何とかして下さいよ」

⏰:09/06/24 15:11 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


#127 [柚子]

長々と足音の説明を終えた俺を、小動物みたいな女は見つめていた。

心霊サークルなのに怖がりなのか、連れほどの話術のない俺の話を、プルプル震えながら聞いていた。

「あの…どうするかは空さんか亮太さんに聞いてみないとわからないです」

「はぁ?」

⏰:09/06/24 15:13 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


#128 [柚子]

声が大きかったのか、その女はまたプルプルと震えた。

(チワワだな)

チワワみたいな女は、何度もドアを振り返りながら、次の部員の登場を待っているようだった。

「あんた、名前は?」

⏰:09/06/24 15:13 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


#129 [柚子]

肩を震わせながら俺の顔を見つめる姿は、実家で飼っているチワワそっくりだった。

犬のクセに果物が好きなそのチワワは、毎日のように缶詰の果物を与えられていた。

中でも桃缶が好物で、お袋の

⏰:09/06/24 15:15 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


#130 [柚子]

「はーい、桃よー」

という言葉を聞くと、飛び上がって喜んだ。

いつしか、最初に付けた名前ではなく桃という言葉に返事をするようになってしまったくらいだ。

今では最初に付けた名前も忘れてしまうくらい、桃という名前が定着してしまった。

⏰:09/06/24 15:16 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


#131 [柚子]

「桃果です」と答えた女の声は聞き返してしまいそうなくらい小さな声だった。

(桃…果?)

あまりの偶然に、俺は声をあげて笑った。

突然笑い出した俺は、さらに桃を怖がらせたらしい。少し潤んだその目も、犬の桃にそっくりだった。

⏰:09/06/24 15:17 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


#132 [柚子]

しばらくして笑いのおさまった俺は、桃の目の前に両手を差し出した。

「え…」

戸惑っている桃の目の前で、その両手をバチンと思いっきり叩いた。

⏰:09/06/24 15:18 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


#133 [柚子]

ビクンと肩が震え、みるみる涙目になる桃の姿に、俺はまた笑いが込み上げてきた。

犬の桃も、俺に寄ってきては同じことをされて、泣きそうな表情をしていた。

「ごめん、ごめん」

⏰:09/06/24 15:19 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


#134 [柚子]

笑いながら、事情を説明しようとした時だった。

ドアの開く音と同時に、数人の話し声が聞こえてきた。

(タイミング悪いな…)

そう思いながら、ドアに目をやった。

⏰:09/06/24 15:21 📱:P906i 🆔:fPMxZ4Vo


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