サークル ー番外編ー
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#25 [柚子]
空さんと亮太さんの真剣な眼差しにたじろぎながら、私は自転車の話を始めた。
最初に誰かが後ろに乗っていると感じた時の話をした時点で、私が抱えていた不安は消えていた。
私の話を聞いても、二人の真剣な表情には変化がなかったから。
:09/06/23 16:50
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#26 [柚子]
「その一回だけのことだろうと、次の日にまた自転車で大学に行ったんです」
空さんと亮太さんだけでなく、私の話を笑う人は誰もいなかった。
「行きは何も起こりませんでした。だから安心して、帰りも自転車に乗ったんですけど…」
:09/06/23 16:52
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#27 [柚子]
「また誰かが後ろに乗っているような気配がした?」
そう言ったのは、優さんだった。
私は首を縦に振り、言葉を続けた。
「行きは何もないんですけど、帰りは…」
:09/06/23 16:53
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#28 [柚子]
必ず背後に誰かの気配を感じる気味が悪いその自転車に、私は今も乗っている。
実家からの仕送りだけで一人暮らしをしている私には、新しく自転車を買い換える金銭的な余裕がない。
あの自転車だって、リサイクルショップで安く買ったものだ。
:09/06/23 16:54
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#29 [柚子]
心霊の類いが好きな友達にそれとなく相談した私は、その時初めてこのサークルの存在を知った。
「学祭でコックリさんの店出してたサークルだよ」
と言われても、何のことだかわからなかった。
:09/06/23 16:56
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#30 [柚子]
でも今、私の話を笑わずに聞いてくれている彼らを見ていると、相談して良かったと思える。
信じてもらえないかと思っていたのに、亮太さんは
「その自転車が見たい」
と言ってくれた。
:09/06/23 16:57
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#31 [柚子]
「今日も乗ってきたから、自転車なら駐輪場にありますよ」
私が言い終わると同時に、亮太さんと空さんが立ち上がった。
食べかけのロールケーキを残して、自転車を置いた場所まで案内した。
黒いシンプルなママチャリが、私の自転車だ。
:09/06/23 16:58
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#32 [柚子]
「この自転車です」
自転車を指差すと、亮太さんは黙って自転車を見つめていた。
空さんは
「へー。シンプルだし乗りやすそうだね」
:09/06/23 17:00
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#33 [柚子]
と、見当違いにも聞こえる感想を述べた。
自転車を眺めていた亮太さんが言葉を発したのは、五分ほど経ってからだった。
「この自転車、しばらく貸してくれないか?」
:09/06/23 17:00
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#34 [柚子]
「え…」
私は亮太さんの顔を見た。
「実際に乗ってみたいし、二、三日預かりたい」
「私この自転車がないと大学通えないんです」
:09/06/23 17:02
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