サークル ー番外編ー
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#121 [柚子]
俺の言った法学部という言葉を意識したのか、弁護士みたいな口調だった。
「てっきり雨に濡れたんだと思ってたけど、違うんだよな?」
俺は窓に目をやった。雨どろこか月がハッキリと見えるくらいの空だった。
:09/06/24 15:04
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#122 [柚子]
「幽霊だと仮定するなら、雨の日に死んだって線もあるな。もしくは水死とか」
「雨って気がするんだけどなー」
独りごとのように呟いた俺に連れは言った。
「よくある怪談なら、その足音はこの部屋に近付いてくるんだろうな」
:09/06/24 15:06
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#123 [柚子]
人の部屋だからなのか、連れはそんな無責任なことを口にし、笑った。
その時はそんなことあるわけないと思い、俺も一緒になって笑った。
笑い話でなくなったのは、四日目の夜だった。
:09/06/24 15:08
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#124 [柚子]
寝転がってテレビを観ていた俺の耳に、またしてもあの足音が響いた。
つけていたテレビの音が消え、代わりに足音が耳に聞こえてきた。
さっきまで快適だった自分の部屋が、全く別の場所のように感じられた。
聞きたくないのに、足音は勝手に俺の耳の中に響いてくる。
:09/06/24 15:08
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#125 [柚子]
エントランスから階段へと歩く足音は、以前も聞いたものだった。
(二階、三階、四階…)
一度も使ったことのない階段のどこをそいつが歩いているのか、何故か手に取るようにわかった。
その足音は、五階で止まった。
:09/06/24 15:09
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#126 [柚子]
ピタリと五階で止まった足音に、連れの言葉を思い出さずにはいられなかった。
“この部屋に近付いてくるんだろうな”
「…ってわけで、マジで俺の部屋まで来られたらたまんないって言うか何とかして下さいよ」
:09/06/24 15:11
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#127 [柚子]
長々と足音の説明を終えた俺を、小動物みたいな女は見つめていた。
心霊サークルなのに怖がりなのか、連れほどの話術のない俺の話を、プルプル震えながら聞いていた。
「あの…どうするかは空さんか亮太さんに聞いてみないとわからないです」
「はぁ?」
:09/06/24 15:13
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#128 [柚子]
声が大きかったのか、その女はまたプルプルと震えた。
(チワワだな)
チワワみたいな女は、何度もドアを振り返りながら、次の部員の登場を待っているようだった。
「あんた、名前は?」
:09/06/24 15:13
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#129 [柚子]
肩を震わせながら俺の顔を見つめる姿は、実家で飼っているチワワそっくりだった。
犬のクセに果物が好きなそのチワワは、毎日のように缶詰の果物を与えられていた。
中でも桃缶が好物で、お袋の
:09/06/24 15:15
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#130 [柚子]
「はーい、桃よー」
という言葉を聞くと、飛び上がって喜んだ。
いつしか、最初に付けた名前ではなく桃という言葉に返事をするようになってしまったくらいだ。
今では最初に付けた名前も忘れてしまうくらい、桃という名前が定着してしまった。
:09/06/24 15:16
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