柚子 ー短編・中編ー
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#19 [柚子]
「それを君が知っているんじゃないかと思って、意識が戻るのを待ってたんだ」
刑事の言葉に、俺は記憶の糸を辿ろうとしたが、頭に鈍い痛みを感じただけで、何も思い出せなかった。
「すいません…」
:09/06/28 12:36
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#20 [柚子]
俺が謝ると、刑事は手を横に振った。
「いや、いいんだ。後ろから突然殴られたんだから、犯人の顔を見ていなくても仕方ない」
黙ったままの俺に、刑事は捜査についての簡単な説明をしてくれた。
:09/06/28 12:37
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#21 [柚子]
「今はDNAとか指紋とか技術が発達しているから、きっと犯人の手がかりが見つかるはずだ」
必ず自分が犯人を捕まえてみせる、そんな強い口調だった。
「膣内に犯人の精子でも残っていればいいんだが…」
:09/06/28 12:43
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#22 [柚子]
精子という言葉を口にした刑事は、すぐにハッとした顔で俺を見た。
「気にしないで下さい。覚悟はしてましたから。それにそんなことで彼女への気持ちは変わりませんから」
俺の言葉に、刑事は少しだけ笑顔を見せた。
:09/06/28 12:47
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#23 [柚子]
「プロポーズするつもりだったんです」
そう言って俺は指輪を入れていたポケットを触った。
「…あれ?」
服は倒れた時のままなのに、ポケットに入れていたはずの指輪がなくなっていた。
:09/06/28 12:50
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#24 [柚子]
「どうしました?」
刑事が心配そうに俺を見ていた。
「いや…指輪が…あの海でプロポーズするつもりでポケットに入れていたんですけど…」
:09/06/28 12:50
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#25 [柚子]
「現場にいる刑事に聞いてみます。他になくなった物は?」
手帳に何か書き込みながら刑事はそう訊ねた。
「他は…あ…」
:09/06/28 12:56
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#26 [柚子]
財布に入っていたはずの、万札が二枚なくなっていた。
指紋が残っているかもしれないからと、財布を預かる代わりに刑事は名刺を置いていった。
中村恵太と名前の印字された名刺には、ボールペンで携帯の番号が書かれていた。
:09/06/28 13:03
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#27 [柚子]
「何か思い出したことがあれば、何時でも構いませんので連絡して下さい」
と言っていた中村刑事から犯人が捕まったと連絡があったのは、事件から二週間ほど経った日だった。
渚も俺も事件のショックから少しずつだが立ち直りかけていた矢先のことだった。
:09/06/28 13:04
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#28 [柚子]
セックスと呼ぶ行為をしなくなったことと、夜中に夢にうなされた渚が叫び声をあげて飛び起きる以外は、以前の生活に戻っていた。
指輪は見つからないままだったが、プロポーズの仕切り直しを考えていた時期だった。
:09/06/28 13:05
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