柚子 ー短編・中編ー
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#29 [柚子]
セックスと呼ぶ行為をしなくなったことと、夜中に夢にうなされた渚が叫び声をあげて飛び起きる以外は、以前の生活に戻っていた。
指輪は見つからないままだったが、プロポーズの仕切り直しを考えていた時期でもあった。
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#30 [柚子]
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#31 [柚子]
数日後、証人として裁判に呼ばれた俺は、犯人の顔を見て愕然とした。
正確には犯人たちだ。渚と俺を襲ったのは、まだ二十歳にも満たない大学生三人だった。
「海でいちゃつくカップル見てるとムカつくから」
:09/06/28 13:07
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#32 [柚子]
というのが、彼らの動機だった。
全く悪びれる様子もない彼らは、俺の財布から盗んだ金を使ったと答え、指輪に至っては女にやったといかにも気だるそうに答えた。
傍聴人席にいた彼らの両親らしき人物が頭を下げる横では、友達らしき女がガムを噛みながらニヤついた顔をしていた。
:09/06/28 13:08
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#33 [柚子]
あまりの怒りに手が震え、自分が証言した内容もはっきりと覚えていない。
ただただ早くその場を立ち去りたかった。
渚には、もう終わったとだけ伝えた。
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#34 [柚子]
“もう終わった”そう思っていた。
それが間違いだったと気付くのは、事件から一ヶ月が過ぎた頃だった。
その日会社を出た俺は、いつものように渚へ電話をかけた。
:09/06/28 13:11
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#35 [柚子]
「一緒に夕飯でも食べないか?」
俺の誘いを渚は断った。
理由は体調不良だった。
「スーパーでお粥でも買って行こうか?」
:09/06/28 13:12
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#36 [柚子]
という提案も、寝てれば治ると思うからと断られてしまった。
「そっか。それじゃ仕方ないな。ゆっくり休めよ」
ありがとうと渚は言った。それが俺の聞いた渚の最後の言葉だった。
:09/06/28 13:15
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#37 [柚子]
あの日、少しだけでも渚の顔を見に行けば良かった。
そう後悔するのは、その日から二日経った後だった。
体調が治らないのか、メールすらない渚を心配した俺は渚の部屋に行った。
:09/06/28 13:17
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#38 [柚子]
チャイムにも反応がないので、渚から貰った合鍵を使い中に入った。
玄関には、渚が出かける時にいつも履いていた靴がきれいに並べられたままになっていた。
「渚?寝てるのか?」
:09/06/28 13:20
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