柚子 ー短編・中編ー
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#51 [柚子]
と、彼女は俺の不能さを責めなかったが、彼女とはそれっきりになった。
彼女からの連絡を俺が無視したからだ。
彼女を紹介した同僚も、何も言ってこなかった。
:09/06/28 14:56
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#52 [柚子]
渚がいなくなって、二度目のクリスマスだった。
定時に仕事を終えた俺は、酒を買いに帰宅途中にあるコンビニへ寄った。
雑誌を立ち読みしてから、ビールとつまみ、缶コーヒーをカゴに入れレジへ向かった。
:09/06/28 14:58
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#53 [柚子]
クリスマスにも関わらず、レジにいたのは若い女だった。
(クリスマスにバイトなんて恋人いないのかな)
ちょっとした好奇心から、店員の顔に目をやった。
:09/06/28 14:59
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#54 [柚子]
その瞬間、フラッシュバックするみたいに記憶が蘇ってきた。
裁判の日に、傍聴席でガムを噛んでいたあの女だった。
予期せぬ偶然に全身に鳥肌が立った。
:09/06/28 15:00
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#55 [柚子]
だが、さすがに
「あの日裁判所にいただろう?」
とは聞けず、そのまま会計を済ませ車に乗った。
気持ちを落ち着けようと、買ったばかりの缶コーヒーを口に含んだ。
:09/06/28 15:01
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#56 [柚子]
缶コーヒーを飲みながら、改めて彼女に視線を戻した時だった。
レジに若い男が現れた。
彼の姿を見た彼女は壁にかけてある時計に目をやり、笑顔を見せた。
:09/06/28 15:07
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#57 [柚子]
どうやら上がりの時間らしく、レジの点検をする彼女を遠目に眺めていた俺に、ある考えが浮かんだ。
(あの女をつけてみよう)
何故そんなことを思ったのかわからない。
:09/06/28 15:08
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#58 [柚子]
クリスマスにまっすぐ帰宅するのが嫌だったのかもしれない。
それともそれもまたただの好奇心だったのかもしれない。
彼女が出てくるのを待っていると、すぐに彼女は店から出てきた。
:09/06/28 15:14
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#59 [柚子]
店を出た彼女はカバンから携帯を取り出し、誰かと電話を始めた。
話ながら歩く彼女の後を車で追った。
かなり不審な車だったと思うが、彼女は全く気に止める様子もなく電話を続けていた。
:09/06/28 15:16
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#60 [柚子]
ほんとは気付いて欲しかったのかもしれない。
俺があの時の事件の被害者だと思い出した彼女が、俺に謝る…そんな考えが頭の片隅にあった。
俺はただ謝ってほしかったのだ。それは裁判に出たあの日から変わず俺の中に存在している気持ちだった。
:09/06/28 15:20
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