あの場所まで
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#22 [ミツバ]
「島まで行こうか」

優介がそう提案したのと同時に紗代里もそう言おうとしていたので、やっぱり気が合うなと思いながら頷いた。

「一番高い所まで行きたいな」

紗代里は島の方を向いて優介の腕を引いた。

賑わうはずの駅前には梅雨のせいか人がいなかった。

⏰:09/07/03 16:38 📱:D904i 🆔:sF4vWAHo


#23 [ミツバ]
降りてからも降るしとしと雨に少し嫌気を差しながらも、ピチョンと静かに聴こえる音は嫌いではない。

紗代里はそのまま腕を絡めて水溜まりを避けながら歩いた。

一緒に優介も同じように歩く。

⏰:09/07/03 16:51 📱:D904i 🆔:sF4vWAHo


#24 [ミツバ]
ひと昔前の商店街のような少し古くなった店達を通り過ぎ、島へと続く橋がある。

すぐ左側には海が見える。

灰色の空と同じように、海もまた綺麗な色ではなかった。

⏰:09/07/03 17:08 📱:D904i 🆔:sF4vWAHo


#25 [ミツバ]
波打つ黒い海を紗代里は歩きながら見つめた。

「また夏に来よう」

優介は前を向きながら言った。

「そうだね、花火大会もあるしまた来よう」

紗代里一度優介の方へ顔だけ向いて再び海の方へ目を向けた。

⏰:09/07/03 17:17 📱:D904i 🆔:sF4vWAHo


#26 [ミツバ]
訂正

>>15
『おもちゃながらにフィルムを入れると〜』

>>25
『紗代里は一度優介の方へ〜』

所々すみません

⏰:09/07/03 17:28 📱:D904i 🆔:sF4vWAHo


#27 [ミツバ]
見つめた先の海岸に人はいなかった。

脇を通るはずの車道にさえポツリ、ポツリと2台の車しか橋を渡りきるまで走っていなかった。

江の島に着くとすぐに年月を重ね薄く古くなってしまった青銅の鳥居が見えた。

⏰:09/07/04 14:08 📱:D904i 🆔:2xlbwZBE


#28 [ミツバ]
青銅の鳥居は干物屋や魚屋、先へ続く参道を守っているかのように小さきながらも堂々と立っていた。

魚の生臭いような匂いが強まった。

店先に立つおばちゃんは雨に負けじと元気よく声を張っていた。

⏰:09/07/04 14:12 📱:D904i 🆔:2xlbwZBE


#29 [ミツバ]
ここまで来ると観光客もチラホラいた。

紗代里は口を広げ、いっぱいに空気を取り込む。

鼻から吐くと体内にある酸素に塩気を足したような気分になった。

⏰:09/07/04 14:16 📱:D904i 🆔:2xlbwZBE


#30 [ミツバ]
「磯のいい香りがする」

紗代里は言った。

「そうだな」

優介も大きく息を吸い込んだ。

すると、ずっと奥にある朱色の鳥居に先ほどの白い帽子を被る人が微かに見えた。

⏰:09/07/04 14:19 📱:D904i 🆔:2xlbwZBE


#31 [ミツバ]
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「おじいちゃんとおばあちゃんはエスカレーターに乗って上がるからね」

薄紫のカーデを羽織り、おばあちゃんはまだ小さい紗代里に言った。

「わかった!さよちゃんはお父さんと歩くから競争ね!」

夏の終わり、紗代里が小学生に上がる頃一度来ていた。

半袖に半ズボン元気よく少女は駆け出した。

⏰:09/07/04 14:30 📱:D904i 🆔:2xlbwZBE


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