死に至る病
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#116 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「わーい、一番乗りだよぅ!」


直央は例のベンチに腰掛けた。

隣を手でばしばし叩いて、早くここに座れと急かした。


僕はちょっと笑って、座った。


「やっぱりここは最高だな。木陰だし、ほら、他のベンチより背もたれが豪華じゃないか?」

僕は言った。

⏰:09/08/07 22:24 📱:N03A 🆔:Nti4.WFk


#117 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「え〜、そうかなぁ。ベンチは他のと変わんないよぉ」

直央は首を傾げた。


まあ、どっちでもいいや。

僕は空に両手をかざして、大きく背伸びをした。


それにしても、いい気持ちだ。

青空の下はいい。

⏰:09/08/07 22:24 📱:N03A 🆔:Nti4.WFk


#118 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
やっぱり人間はお日様の光を浴びて幸福を感じるようできてるんだな、なんて思ったり。

「おーい渉ちゃ〜ん、寝ちゃダメですよぉ。まだお弁当食べなきゃいけないよぅ〜、お昼寝はそのあと〜っ」

「はいはい」


直央はベンチに重箱を置くと、僕に開いてみるよう言った。

⏰:09/08/07 22:25 📱:N03A 🆔:Nti4.WFk


#119 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
重箱は桃色の可愛らしいキャラクター物(直央が好きなやつだ。名前はド忘れした)で、ものすごい大きい。


中身はなんだろう。

直央の自慢げな表情からして、かなりの自信作に違いない。

⏰:09/08/07 22:39 📱:N03A 🆔:Nti4.WFk


#120 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
もしかしたら、僕の大好物のハンバーグが入ってたりして。

ここは王道に肉じゃがもありえる。

美味しい予想が浮かぶ。


しかし僕は同時に、なにか大切な事を忘れている気がしてならなかった。

⏰:09/08/07 22:40 📱:N03A 🆔:Nti4.WFk


#121 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「どーしたのぅ?」

僕がなかなか蓋を開けないので、直央が不安そうに言った。

「いや…、なんだったかな…」

「なにがっ?」

「何でもない。……うーん…」


思い出せない。

⏰:09/08/07 22:43 📱:N03A 🆔:Nti4.WFk


#122 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
「おーいっ!」

僕が悩んでいると、直央が誰かに反応してぶんぶんと手を振った。

そっちを見る。

直央に気づいた男女は、こちらに向かって歩いてきた。

見慣れた顔。

天野湊(あまのみなと)と野村りこ(のむらりこ)だった。

⏰:09/08/08 13:41 📱:N03A 🆔:edlBdonc


#123 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
二人とも弁当箱を片手にしていた。

きっと食べる場所を探していたのだろう。


「よっす、直央ちゃんに渉。イイトコ陣取ったねー。あたしらいつもの場所が一年生に取られちゃってさ。困ってたんだ」

りこはポニーテールを揺らしながら言った。

彼女の白いワイシャツに木漏れ日が映って、ゆらゆらと泳いで揺れていた。

⏰:09/08/08 18:56 📱:N03A 🆔:edlBdonc


#124 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
りこは僕のいとこだ。

僕達が小さい頃から家族ぐるみで仲がとても良かった。

今でもしょっちゅう遊びにきたり泊まりをしたりする。

この間はキャンプに行った。

同い年ということもあり、一人っ子の僕にとって、りこは兄弟同然だった。

⏰:09/08/08 19:13 📱:N03A 🆔:edlBdonc


#125 [chimu◆Hi9o8eIXuA]
小さい頃、男まさりのりこには散々喧嘩で負かされてた。

駆け足も速くて、テレビゲームも強くて、恥ずかしいがりこに憧れてた。

それがいつしか立場逆転、りこはある日突然女の子らしくなった。

理由は恋の病。

相手はりこの隣に立つ、天野湊だった。

⏰:09/08/08 19:14 📱:N03A 🆔:edlBdonc


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