その妖し淫らにつき -弐-
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#7 [ひえぃ]
「タガメさん!?
…お祭りは…?」
「こんな雨じゃぁねぇ
人間たちも店を閉めてたわ。
ヒョウもキツネも今頃こっちに
向かってるでしょう」
タガメは溜息をもらし
桜の近くに腰を下ろす。
「…御琴姫という人知ってるの?」
桜はタガメの目をみずに
震えながら答えた。
「…御琴姫は
まれに見る人間に近い妖怪で
それはそれは美しく正に誰もが虜になるような
妖しだったわ」
それに加えて
とても強い力を持ち
治癒能力を持つ血族の血で
傷つくもの助けたり優しい心を
持つ妖しでもあった。
:09/07/23 01:53
:PC
:siGeVi8U
#8 [ひえぃ]
「御琴姫が死んだのは
今から600年前…そんな昔の
妖しを何故人間のあんたが知っているの
か…」
「分からない…けど私知りたい…
オロチを…助けたいの…」
「愛してる?」
タガメは静かに
桜に聞いたがすぐにほほ笑んだ。
「聞くまでもないわね…」
桜の瞳からは
薄い色の水滴が頬を伝わり
落ちていった。
「桜、目を閉じて」
:09/07/23 02:03
:PC
:siGeVi8U
#9 [ひえぃ]
「??」
「私はタガメ。
幻熔界の申し子。あんたが望むなら
過去を…過去を見せてあげる…」
過去…
「…一応この力を強める為に
旅に出たんだけど、かなり精神力が必要だから
あんまり長くは見せられないけど…
何かは変わるはずだから……」
額にタガメの細長い指があたり
静かにトッと押されると
体がフワッと揺らぎ暗闇に落ちて行った。
:09/07/23 02:08
:PC
:siGeVi8U
#10 [ひえぃ]
最近、夢とか過去とかこんなのばっかり…
でも次元を過ぎたのはオロチ達と出会って
からなんだ。
私は最後まで立ち会うよ。
どんな結末でも…
ダダンッ!!!!
と聞こえた瞬間に見えた景色は
いつもより深い森の中の湖だった。
桜は声にだそうと喋るが
言葉が口からでてこない。
(…喋れない…私がこの時にはいないモノだから)
「誰か…いるの?」
後ろから急に声をかけられ
振り向くと…
(御琴…姫)
:09/07/23 02:15
:PC
:siGeVi8U
#11 [ひえぃ]
顔が分からなくても一瞬で分かった。
とても綺麗で埃を持っている強い瞳。
なんだか懐かしいそんな気持ちを覚えた。
この妖しが鍵をにぎる大事な…
「…気のせいかしら?何か感じたのに…」
(姿も見えない…)
御琴姫は楽しそうに歌を歌ったり
小さく踊ったり花を摘んだり本当
はたから見れば可愛い女性が遊んでるように
しか見えなかった。
しかし
事態は急に反転する。
:09/07/23 02:22
:PC
:siGeVi8U
#12 [ひえぃ]
「…エニシ…
また私に何かようがあるの?」
御琴姫がにらむその先にはエニシという
金髪の長い髪をした色白の美しい男性が
現れた。
「つれないな。御琴。
そう敵視するな」
「敵視などしていないわ。
でもあなたは人や動物を殺す。
私は傷ついたモノを癒すために
血を流す。この輪廻を繰り返すのなら
私はあなたのものになどならない」
「よくよく気の強い女だな…
そこがまた格別だが…」
:09/07/23 02:29
:PC
:siGeVi8U
#13 [ひえぃ]
エニシは御琴姫に近づくと
無理やり唇を奪った。
「んッ!…やめなさい!」
「…俊正(トシマサ)という男を知った…
意味は…分かるな…」
「!!!」
御琴姫の顔がみるみる青ざめていく。
「なっ…なぜ…」
「…お前は俺から逃げれぬのだ。
一生な。死のうともお前の血は己を死なせて
はくれぬ。治癒という能力も逆さにすれば
呪われたものなのかもな…クククッ」
エニシの低い笑い声と共に場面はグニャと
曲りまた違う場面を映そうとする…
:09/07/23 02:36
:PC
:siGeVi8U
#14 [ひえぃ]
(…ここは…どこかの村?)
「俊正さま…」
「そうかついにエニシに私の正体が
ばれてしまったか…」
(俊正さま…あれがエニシが言ってた男の人…)
「…俊正さま
あなたは逃げてください。
私が彼のものになれば彼はあなたを
見逃すはず…逃げて生きて…」
「何を言う!?
心から愛しているそなたを
置いてなどいけぬ、私が人の子という理由
なら喜んで妖しの血を飲みほしそなたの夫
となろう」
「…そんなあなただから
私は恋に落ちてしまったんです…
愛しています…俊正さま…」
:09/07/23 02:45
:PC
:siGeVi8U
#15 [ひえぃ]
(そうか…御琴姫はヒョウ君の両親みたい
に人間に恋をしてしまったのね…)
寄り添う二人の影が滝のように落ち。
また映像を変えていく。
(タガメさん大事な所だけを映してるんだ)
次に見えてきた景色は
なんとも言えない絶望な焼け野原だった。
「やめてぇぇ!!!
エニシ!!!何故何故このような事を!!!」
「知れたこと…
お前がいつまでたっても俺のものに
ならんからだ」
エニシの下の崩れ落ちているのは
血まみれになった俊正の姿だった。
「俊正さまぁ!!!
俊正さまぁ!!!!!」
「…御琴…すまない…
だが逃げた最果ての地にそなたの
姿が…なかったら…」
:09/07/23 03:00
:PC
:siGeVi8U
#16 [ひえぃ]
「涙がでる最期の言葉は終わりだ。
さよならだよ。俊正」
クッと笑うと
エニシは俊正の心臓を突いた。
「いやぁぁぁぁぁぁ!!!!!!!!!!!」
桜はただ見ているしかなかった。
涙が流れ喉が焼けるように熱い。
こんなヒドイ事が…
「…来い御琴。
お前には俺の子を産んでもらう。
蛇の血を永遠に途絶えさせない
呪われし子をこの世界に放つんだ」
御琴姫は
ボーッとただ俊正の動かない体を
いつまでも見つめていた。
:09/07/23 03:08
:PC
:siGeVi8U
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