― 短編箱 ―
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#184 [栢]
今日から大学生になるわけで、
ハルトは地元を離れることになった
もう、お隣さんも終わり。
「引っ越しって‥
まだ終わってなかったの!?
もう4月じゃん(笑)」
「荷物はあっちに届いてる
だから、整理手伝って(笑)」
雑用ねー‥はいはい
どことなく清々しい顔をしてる
そんな風に見えた
:09/10/25 18:03 :D905i :Bcm9GRAE
#185 [栢]
やっぱりあたしと隣って
やだったのかなぁ 、
ずしりとした物がのしかかる
もう会えないのかななんて
珍しく恋しく思う
「ちゃんと電車賃払うし!
帰りも送るからっ
俺の新しい部屋、見たいだろ?」
にこにこ嬉しそうだ
離れちゃうのを寂しがってるのは
あたしだけなんだなぁ‥
:09/10/25 18:06 :D905i :Bcm9GRAE
#186 [栢]
結局行くことになって
ハルトの新しい部屋は
すごくきれいで
周りの風景もいいとこだった
「隣の部屋、女なんだぜ♪」
なんでそんな嬉しそうなのよ‥
今までが嫌だったみたいに
笑わないでよばか、
隠れていた気持ち
:09/10/25 18:13 :D905i :Bcm9GRAE
#187 [栢]
やきもち‥?
―‥まさかね。
今まで彼氏できたって
妬いたことないし、
つまれた荷物の山
募る切なさ
気付いちゃいけない想い
あぁ、目眩がする。
:09/10/25 18:18 :D905i :Bcm9GRAE
#188 [栢]
あたりはもう暗かった。
なんだか早く帰りたい
「適当に箱開けて荷物出してー‥
服はそこのタンスでー‥」
ハルトの声が耳の奥で渦を巻く
鼻がつんとする。
服に染み付いた匂い
もう懐かしくなってる
:09/10/25 18:22 :D905i :Bcm9GRAE
#189 [栢]
「もうあれだなー、」
時計の音があたしを突き刺す
沈黙なんて‥似合わないのに
「なんかやっと解放されたって感じ
窮屈な生活も終わりだ(笑)」
ぐっと伸びをして
幸せそうな顔してるの?
それすら見たくない
あたしどうしちゃったんだろう
:09/10/25 18:25 :D905i :Bcm9GRAE
#190 [栢]
「全く、いちいちメイは煩いからなぁ
隣の子は
おしとやかな子であってほしいわ」
この場から消えたい
だめだ‥来る。
「もうおさらばだしなぁ、
案外呆気ないな(笑)」
悔しい‥弱い自分、
急に息が苦しくなる
この雫がこぼれたら
ハルトは馬鹿にして笑う?
:09/10/25 18:30 :D905i :Bcm9GRAE
#191 [栢]
―だめ‥、ばれる‥!
すべてを放り投げて駆け出した
体が動くままに。
ただ 訳の分からぬ気持ちが
あたしを狂わせた
「‥メイ!?
おい!どこ行くんだよ‥!」
すぐさまあたしの腕を掴んだ
止めて‥見られたくない
思い切り振り払って
真っ暗な夜に出た
:09/10/25 18:35 :D905i :Bcm9GRAE
#192 [栢]
ハルトごときに泣くなんて‥
どうかしてる
見知らぬ道を歩く
街灯が寂しそうに消えかかってる
何しに来たんだろう、あたし
「も‥、わけわかんない」
目の奥が火傷しそうに熱い
まだひんやりした空気が包む
:09/10/25 18:39 :D905i :Bcm9GRAE
#193 [栢]
月がぼんやりしてる
切ない、ばか
気付いていたのに
気付いちゃいけない気がするんだ
だってそうでしょ?
ただ辛いだけよ、こんなの
普通に学校とかで知り合ってたかった
幼なじみなんて、嫌。
:09/10/25 18:42 :D905i :Bcm9GRAE
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