― 短編箱 ―
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#217 [栢]

パパが倒れてから
毎晩、夜空を見上げては

お願い‥お願いと
泣きながら祈った。


「おもちゃも、お菓子も、
美知‥がまんするからぁ‥」

大好きなパパ
だけどずっと目を閉じてるの
笑ってくれないの‥

⏰:09/10/29 17:05 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#218 [栢]
パパに会いに行っても
いつもみたいに
お星様の話をしてくれない。

パパはお星様の専門家
いわゆる、 天文学者だった


"今見えるお星様の光はね
何万年も、何億万年も前の
昔の光なんだよ"

そんなことを教えてくれた。

⏰:09/10/29 17:47 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#219 [栢]

まだその時は幼すぎて
よく理解していなかったけど

夜星に魅了されたのは確か。


何度も何度も
掴もうとしたのに
お星様は、逃げてしまう

「美知‥
お星様に、嫌われちゃった」

泣きじゃくって
もうお願いなんてしないって決めた
だってパパ
元気にならないんだもん

⏰:09/10/29 18:22 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#220 [栢]

その日から
夜空を眺めるのをやめた


そんな私を見かねてか
お兄ちゃんが近寄ってきた。

「美知?
今日はお星様にお願いしないの?」

お兄ちゃんは6つ上の中学生

「もう、お願いなんてしないの」
しょぼくれながら
指で細い髪をくるくら巻き取った

⏰:09/10/29 18:26 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#221 [栢]

お兄ちゃんは
どうして? と優しく尋ねて
私と目線を合わせた

「だって、
パパにあげたかったのに‥
お星様、掴まらないんだもん」

大きな瞳に涙を溜めて
巻き取った髪をスルリと放す


お兄ちゃんの手が
私の頭を包むように撫でた。

⏰:09/10/29 18:31 📱:D905i 🆔:LGfwOJL.


#222 [栢]

「じゃあ、美知
お星様の絵書いて
パパにプレゼントしようよ」

クレヨンと画用紙を手渡され
私はは浮かない顔をした

「美知‥下手くそだもん」

ふてくされて全てを放り投げた

パパに似て
いい言い方をするなら
こだわりが人一倍強かった

⏰:09/10/30 15:57 📱:D905i 🆔:d6Zud4xA


#223 [栢]

そしてお兄ちゃんは
パパに似て優しかった

「兄ちゃんがお星様書くよ!
だから、美知は色塗って?
美知色塗り上手でしょ?」

緩く笑ったその笑顔が
パパに似すぎてて
どこかキュッと痛くなる

だけど、
パパが笑ってくれた気がした

⏰:09/10/30 16:03 📱:D905i 🆔:d6Zud4xA


#224 [我輩は匿名である]

私は目を輝かせて
お兄ちゃんが書いた下書きを
丁寧に縁取って
一生懸命色を塗った

いつの間にか時間が過ぎ
11時になっていた

思った以上の完成度に
満足して
お兄ちゃんと私は
2人で一枚の毛布にくるまり
眠りについた

‥ぱぱが笑う夢をみた

⏰:09/11/02 17:23 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#225 [栢]

―‥朝
聞き慣れない声で目が覚めた

「美知ちゃん!起きて!」

「まだ眠い‥よ」

眠たい目を擦って
ぐずり気味の私に
そう言って起こしたのは
パパのお姉ちゃん
つまり、おばさんだった。

明らかに隠し切れていない動揺を
私は感じざるを得なかった

⏰:09/11/02 17:27 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


#226 [栢]

お兄ちゃんは
すでに着替えていて
ぱたぱたと騒がしかった

訳もわからずに着替えさせられ
乱暴にラップに包んだ
おにぎりを手渡され

車に乗せられた。

わかってた‥
だって夢でパパが
にっこり笑ったんだもの
手を振って‥。

⏰:09/11/02 17:30 📱:D905i 🆔:j2q9RMHc


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