街がスカーレットに染まる時
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#1 [ぎぶそん]
どうもm(__)m
携帯を修理に出して今書いてるのが書き込めないので、暫くはこちらを書いていきます。
よろしくお願いします。
:09/10/13 20:18
:N703iD
:oNHA7wXY
#2 [ぎぶそん]
「その人、どうしても近くにいい物件を見つけられなかったらしくて。
その代わり、もちろん家賃は半分ずつ。少しでも貯蓄したいかなめには申し分ないと思うけど」
電話越しに、毛利佳奈の饒舌な口振りでの催促が続く。
「その人の名前は?」
「伊藤真織。イトウマオリよ」
真織さん。女か。
「分かった。でも、私もずっと住ませてあげるっていう保証はしないよ。トラブルを起こした際は早急に出て行ってもらう」
:09/10/13 20:22
:N703iD
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#3 [ぎぶそん]
現在、現代社会に広く蔓延しているルームシェア。
私も大学の知人からの押し付けにも似た頼みにより、近日中に見ず知らずの人間と同じ屋根の下で暮らすこととなった。
同居人となる伊藤真織さんは年齢は私より一つ下で、この春から私と同じ大学に通うらしい。
電話を切った後、未知の同生活に向けて私は血眼で部屋の片付けに取り掛かった。
テーブルの上に山積みになっているカップ麺や弁当の空や、床に散らばっているプリントをゴミ袋に入れることから始まる。
:09/10/13 20:36
:N703iD
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#4 [ぎぶそん]
同じ週の火曜日。伊藤さんの荷物と思われるものたちが、引っ越し業者のトラックによって運ばれてきた。
業者の人に渡されたのは、大型の段ボール二箱分。やけに少なくない?
そしてそのおまけにと、一つの黒いギターケースも受け取った。
へー。伊藤さんって楽器やるんだ。
少ない荷物なのに宅急便で送らなかったのは、こいつがあるからなのかな。
中身が入ってる様子のそれを、私は落とさないように慎重にリビング隅に置いた。
:09/10/13 20:52
:N703iD
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#5 [ぎぶそん]
今日から一緒に住むことになる伊藤さんって、どんな人なんだろう。
渋々ルームシェアを承諾したものの、内心気にならずにはいられない。
私のこと見て、何と思うのだろうか。
凄く物静かな人だったら、どう付き合っていけばいいのか。
近所迷惑を気にしない、騒がしい人だったらどう出て行ってもらう口実をするか。
この共同生活、差し障りなく穏便に過ごせるといいけど。
そう思いふけっている途中で、部屋のインターホンが鳴った。
:09/10/13 21:09
:N703iD
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#6 [ぎぶそん]
ようやく同居人との初顔合わせかも知れない。
手鏡で身だしなみを確認してから、ゆっくりと玄関のドアを開ける。
「足立かなめさん?」
私の予想は外れ、灰色のパーカーを羽織った背の高い黒髪の男の人がそこには立っていた。
「ええ、伊藤さんの知り合いの方ですか?
彼女ならまだこちらには顔を見せていませんよ」
彼を伊藤さんの身内か恋人と想定した上で話を進める。
「…いえ、俺がその伊藤真織です」
鼻の頭を人差し指で掻きながら、男の人は遠慮がちに言った。
:09/10/13 21:22
:N703iD
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#7 [ぎぶそん]
私はその男の人、ならびに今日から一緒に住むことになる伊藤真織君を部屋に上げた。
上げたという表現も変か。
これから自分の住みかとなる場所に、たった今彼はたどり着いた。
「どういうこと。同居人が男の人だなんて聞いてないよ」
トイレに入ってすかさず佳奈に電話を掛けた私は、やや感情的になりつつ彼女に問いただす。
「だって、尋ねてもないじゃない」
揚げ足を取った様子で佳奈は笑った。
:09/10/13 23:05
:N703iD
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#8 [ぎぶそん]
「いいじゃない。佳奈は会ったことないんだけど、その真織君って子、なかなかの美形らしいし。
どうしてもルームシェアが嫌っていうなら彼氏の一人や二人でも作ることね」
じゃあ佳奈、この後用事があるから、と彼女に告げられた所でお互い電話を切った。
最後の台詞は、最近失恋したばかりの私にはきついよ…。
私は今、とても面倒なことに巻き込まれているのだろうか。
それとも…。
:09/10/13 23:16
:N703iD
:oNHA7wXY
#9 [ぎぶそん]
その日の夕飯は、真織君が近所で買って来たコンビニ弁当を小さなテーブルを囲って食べることとなった。
目の前にいる得体の知れない彼は近寄りがたい雰囲気を醸し出していて、とてもじゃないけど話しかけづらかった。
別に何か話したいとも思わないけど。
テレビも着けず物音一つしない部屋で静かに夕食の時間を過ごす。
「同居人が男って知ってがっかりな顔してる」
脚を立て行儀の悪い格好で黙々と弁当に箸をつけていた彼が、初めて口を割った。
:09/10/13 23:26
:N703iD
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#10 [ぎぶそん]
「勘違いしてもらいたくないから最初に言っとくけど、俺は寝食する為にここにいる訳だから。
あんたに変なことして、ここを斡旋してくれた毛利さんって人に迷惑掛けるつもりもないんで」
白いご飯をばくばくと口に放り込みつつ、彼は言った。
初対面だというのに、初っぱなから生意気な口の聞き方をする彼に苛つく。
一応、私はあなたより一つ年上なんですけど。
ルームシェアと聞いて二人で部屋のインテリアに凝ってみたら時には友達として語り合ったりみたり、少しだけそんな想像をしていた自分が馬鹿みたいだった。
:09/10/13 23:40
:N703iD
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