<<来栖>>
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#31 [nanoka]

「どうぞ」

そう言ってグラスを置くのが蒼井さんの普段の出し方だった。

でもその時は違っていた。

⏰:09/10/18 02:29 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#32 [nanoka]

「薄い水色のワンピースを着た女性ですか?」

そう言って蒼井さんがグラスを置くと、うつ向いていた加藤さんは驚いた顔で蒼井さんを見上げた。

「視えるのか!?」

⏰:09/10/18 02:34 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#33 [nanoka]

「はい」

蒼井さんには全部わかっているようだった。

「そうか。やっぱり連れて帰ってしまってたか」

全く意味がわからずに間抜けな顔で蒼井さんに助けを求めていると目が合った。

⏰:09/10/18 02:38 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#34 [nanoka]

「彼に話してあげても構いませんか?」

蒼井さんが訊くと、加藤さんは思い出したように俺の方に振り向いた。

「あぁ。悪い悪い。お兄ちゃんいたの忘れてた」

⏰:09/10/18 02:40 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#35 [nanoka]

話したことで気が楽になったのか、加藤さんはそう言って少し笑顔を見せた。

「蒼井くんはな、霊が視えるんだ」

「へっ?」

⏰:09/10/18 02:43 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#36 [nanoka]

結婚して子どももいる人とは思えない常識離れした発言に、何とも間の抜けた声が出てしまった。

「俺も多少霊感があるみたいでたまに憑かれるんだ。その度に蒼井くんにはお世話になっててな」

⏰:09/10/18 02:47 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#37 [nanoka]

?マーク全開の俺に、加藤さんはさっきの話の続きをしてくれた。

雨が止まないかと川の方を眺めていた加藤さんは、川の反対側に人影を見つけたらしい。

それが蒼井さんの口にした薄い水色のワンピースの女性のようだ。

⏰:09/10/18 02:50 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#38 [nanoka]

「最初は逃げ遅れた子だと思ったんだ。雨も激しかったし川を渡れなくなったのかと思ってな」

でもすぐにそれがこの世のものではないと気付いたらしい。

「他の客も川の方を見ていたけど、それに気付いているのは俺だけみたいだった」

⏰:09/10/18 02:54 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#39 [nanoka]

元々、心霊関係の話が好きだった俺はすっかり加藤さんの話に夢中になっていた。

「この世のものじゃないって言ってもやっぱり気になって見てたんだ。そしたら…」

「そしたら…?」

⏰:09/10/18 02:57 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#40 [nanoka]

ついさっき常識離れした発言などと思ったことも忘れ続きを急かした。

「その女と目が合ったんだよ。一瞬な」

目が合った瞬間、全身に鳥肌が立ったと加藤さんは言った。

⏰:09/10/18 02:59 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


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