<<来栖>>
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#41 [nanoka]

「これはヤバいと思って、気付いていないフリをしたんだ。俺は何も視えてないぞーってな」

「それで?どうなったんですか?」

あまりに俺が興味津々なのが面白かったのか、加藤さんはわざと続きを焦らすような話し方をした。

⏰:09/10/18 03:03 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#42 [nanoka]

「目は逸らしているんだけど、どうしても意識はそっちに行ってしまってな」

「わかります!って俺は全く視えないですけど…」

「視えない方が幸せだよ。な、蒼井くん」

⏰:09/10/18 03:05 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#43 [nanoka]

加藤さんに同意を求められた蒼井さんは、例のお得意の微笑みを返した。

「そのまま10分くらい経ったかな。雨が止んで太陽が照り出したんだ。そしたら誰かが虹だ!って叫んだのが聞こえてきて、俺もつられて川の方に目をやっちゃってな」

⏰:09/10/18 03:10 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#44 [nanoka]

「思わず叫びそうになったよ。あの女が川を渡って来ようとしてたんだ」

「うおっ!怖っ!!」

話を聞いてるうちに俺まで鳥肌が立ってきて、手のひらで腕を擦った。

⏰:09/10/18 03:12 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#45 [nanoka]

「水面に目から上だけ出てる状態で泳いでる姿を見た時は、いい歳して泣きそうになったよ」

「それって加藤さんに近付いて来てたんですか?」

「多分な。とにかく見ちゃいかんと思ってひたすら無視してたよ」

⏰:09/10/18 03:17 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#46 [nanoka]

「完全に雨が上がって子どもに一緒に泳ごうって手を引かれて川を見た時かな、聞こえたんだ」

「な、何がですか?」

心霊好きなのに怖がりな俺はちょっとビビりながら訊いた。

⏰:09/10/18 03:21 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#47 [nanoka]

「ねぇ、視えてるの?って声が耳元で」

加藤さんの話に完全にビビってしまった俺が、今日は電気つけたまま寝ようと決意している間に、加藤さんのグラスが空になっていた。

「次はどうします?」

⏰:09/10/18 03:25 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#48 [nanoka]

蒼井さんの問いに

「いや、今日はもうやめとくよ。話してスッキリしたし」

と、加藤さんが答えると蒼井さんは自分の手首からブレスレットのような物を外して加藤さんに渡していた。

⏰:09/10/18 03:29 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#49 [nanoka]

よく見るとそれは数珠だった。透明で硝子みたいな玉でできた数珠。

「見つかってしまったみたいなので、しばらく隠れましょう」

蒼井さんは店の入り口を見ながら言った。

⏰:09/10/18 03:34 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


#50 [nanoka]

「隠れんぼか」

加藤さんは小さく笑うと、数珠を手にはめ眺めた。

「今は僕がいるので店の中に入れないでしょうから、外に出てからはその数珠に隠してもらって下さい」

⏰:09/10/18 03:37 📱:P906i 🆔:Fnj.Jafo


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