<<来栖>>
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#355 [nanoka]

まだお金を貸してほしいとも言われていないのに勝手に説明をする俺を見て彼女が笑った。

笑うとわずかに八重歯が覗く可愛い子だった。

「金銭的なことじゃないので安心して下さい」

⏰:09/10/31 14:23 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


#356 [nanoka]

そう言うと彼女は立ち上がり歩きはじめた。

地下鉄の駅のすぐ側にある電話ボックス。彼女はそこで足をとめた。

「家に帰れなくなっちゃったの」

⏰:09/10/31 15:04 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


#357 [nanoka]

「えっ?家族と喧嘩でもした?家に電話かけたい?」

俺の質問に彼女は首を横に振った。

「これ…」

彼女が指差したのは一枚の張り紙だった。

⏰:09/10/31 15:06 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


#358 [nanoka]

この子を探しています。って駅とかでたまに配られているあのビラが電話ボックスに貼られていた。

そこに載っている写真は目の前にいる彼女そのものだった。

失踪時の服装と書かれた部分も彼女の着ている服と同じだった。

⏰:09/10/31 15:09 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


#359 [nanoka]

「え…これ、君のこと?」

張り紙から目を離し振り向くと彼女はいなくなっていた。

近くを探してみたけどどこにも彼女の姿はなかった。

⏰:09/10/31 15:11 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


#360 [nanoka]

次の日、蒼井さんに彼女の話をすると

「その子多分生きている人間ではないですね」

と、悲しそうな顔をした。

「遺体がまだ見つかってないんでしょう。亡くなった場所から離れられないことがありますから」

⏰:09/10/31 15:15 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


#361 [nanoka]

「えっ?えっ?」

「後ろの方、拓真くんの力を抑えるのやめたみたいですね」

「ちょ…ちょっと待って下さい。俺が視たのって幽霊なんですか!?」

⏰:09/10/31 15:19 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


#362 [nanoka]

「はい。後ろの方が頷いてますから間違いないと思います」

「え、でも普通の子でしたよ?血も出てなかったし、白いワンピースも着てませんでしたよ」

俺の反論を蒼井さんは笑顔で流した。

⏰:09/10/31 15:22 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


#363 [nanoka]

「幽霊っていってもみんながみんなそんな姿じゃないですよ」

「そ、そうなんですか?」

「むしろ生きていた頃の姿で現れることのほうが多いくらいです。ホラー映画や怪談話は別ですけど」

⏰:09/10/31 15:24 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


#364 [nanoka]

「じゃああの子はもう…」

「家に帰りたくて自分の姿が視えた拓真くんに助けを求めたんでしょうね」

「遺体が見つからないと、帰れないんですか?」

⏰:09/10/31 15:26 📱:P906i 🆔:aBgdcliI


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