<<来栖>>
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#455 [nanoka]
一ヶ月くらい経って、俺はある変化に気付いた。
あのもやが少し小さくなっていたのだ。
蒼井さんの言うように少しずつだけど、彼女は元気になっているように思えた。
:09/11/10 16:52
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#456 [nanoka]
何より彼女が蒼井さんの顔を見た時に見せる笑顔が、その証拠だった。
「蒼井くんといるとすごく気分が楽になるの」
と、口癖のように彼女は言っていた。
:09/11/10 16:54
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#457 [nanoka]
俺はそれが蒼井さんの霊を寄せつけない体質のせいだと知っていたけど、蒼井さんの姿を見た彼女が
「蒼井くん!」
と、すごく可愛らしい笑顔を見せると何だか俺まで嬉しくなった。
:09/11/10 16:57
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#458 [nanoka]
二ヶ月が経つ頃には、もやの大きさが定まらなくなってきていた。
風船みたいだと思った。
膨らんだりしぼんだり絶えず大きさが変化しているそのもやは一番大きい時でも野球のボールくらいまで小さくなっていた。
:09/11/10 17:00
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#459 [nanoka]
三ヶ月が経つ頃には他にも変化が起きていた。
悪い変化ではない。いい方の変化だ。
まずは亮太たちが来栖の常連さんになったこと。
:09/11/10 17:18
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#460 [nanoka]
病院の帰りだけではなく、ちょこちょこ店に顔を出してくれるようになった。
それからもう一つ。
亮太たちの仕事を俺が手伝うことになったことだ。
:09/11/10 17:20
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#461 [nanoka]
手伝うと言っても、俺は霊の依頼を亮太たちに伝えるという仲介役みたいな感じなのだけど。
あのマンションの遺体のように俺一人では何もしれあげられないことが多いけど亮太たちのおかげで、彼らの依頼を聞くことができるようになった。
:09/11/10 17:23
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#462 [nanoka]
そんな風に色んなことが順調に進んでいたある日、俺は蒼井さんからある秘密を聞くことになった。
いつものように蒼井さんと店の片付けをしていた時だった。
何気なく俺は蒼井さんに訊いた。
:09/11/10 17:25
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#463 [nanoka]
「そういえば蒼井さん明日も枢先生のとこ行くんですか?」
深い意味はなかった。ただもし行くなら俺も行こうかなくらいの気持ちでそう訊いた。
それなのに蒼井さんは急に黙ってしまった。
:09/11/10 17:27
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#464 [nanoka]
しばらく一人で何か考えるようにグラスを拭いていた蒼井さんは不意に顔を上げ俺を見た。
「拓真くんにはほんとのこと話しておきます」
深刻な言葉とは裏腹に蒼井さんの顔は笑っていた。
:09/11/10 17:31
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