<<来栖>>
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#475 [nanoka]

黒いもやは消えていた。

呆然としていると、枢先生の声が聞こえた。

「亮太くん…?と空に優ちゃん?」

枢先生は驚いた顔で亮太たちを見ていた。

⏰:09/11/10 17:50 📱:P906i 🆔:bCXhyViA


#476 [nanoka]

「行こうか」

蒼井さんに囁かれ、枢先生から目を離した。

蒼井さんはすでにドアの前にいた。慌てて後を追うと

「詳しいことは車で話すから」

⏰:09/11/11 02:26 📱:P906i 🆔:l/Kchu/.


#477 [nanoka]

そう言われた。

事態が飲み込めなかったけど前を歩く蒼井さんの背中が小さく見えて、俺は黙ってついて行くことにした。

車までの距離がやけに長く感じた。

⏰:09/11/11 02:29 📱:P906i 🆔:l/Kchu/.


#478 [nanoka]

蒼井さんが車のドアを閉めたのを確認すると、俺は口を開いた。

「何で声かけなかったんですか?せっかくあの塊が消えたのに」

「消えたからだよ」

蒼井さんは言った。

⏰:09/11/11 02:32 📱:P906i 🆔:l/Kchu/.


#479 [nanoka]

「悪い夢を見ている人を起こしちゃいけないという話を覚えてるかな」

俺の返事を待たず蒼井さんは続けた。

まるで俺にではなく別の誰かに話しているみたいだった。

⏰:09/11/11 02:34 📱:P906i 🆔:l/Kchu/.


#480 [nanoka]

「彼女は夢を見ていたんだ、悪い夢を。夢から覚めたら夢のことなんて忘れてしまう。今の彼女は僕が誰かわからない」

「蒼井さん…」

「拓真くんのこともわからないと思う…というよりもあの塊に取りつかれた間のことは多分ほとんど…」

⏰:09/11/11 02:37 📱:P906i 🆔:l/Kchu/.


#481 [nanoka]

俺は蒼井さんがあの塊を指で潰した時のことを思い出していた。

蒼井さんはどんな気持ちで…。

「蒼井さん、やっぱり病院に戻りましょう」

⏰:09/11/11 02:39 📱:P906i 🆔:l/Kchu/.


#482 [nanoka]

「でも…」

「別に忘れててもいいじゃないですか。また知り合いになれば」

顔を上げた蒼井さんと目が合った。

⏰:09/11/11 02:41 📱:P906i 🆔:l/Kchu/.


#483 [nanoka]

蒼井さんの真似をして微笑んでみたけど、うまくできたかはわからなかった。

だから言葉を続けた。

「素敵じゃないですか。一生のうちに二度も運命の出逢いを体験できるなんて。しかも同じ相手と」

⏰:09/11/11 02:44 📱:P906i 🆔:l/Kchu/.


#484 [nanoka]

俺の言葉が蒼井さんに届いたかはわからない。

でも蒼井さんは車を降り、病院に向かって歩きはじめた。

その背中はさっきよりも誇らしげに見えた。

⏰:09/11/11 02:45 📱:P906i 🆔:l/Kchu/.


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