こちら満腹堂【BL】
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#411 [ひとり]
「お前が追っかけるからまた顔ぶつけただろ」

いつもよりも低くかすれた声で三田さんがボソッと不満を漏らす。

そんなん言ったって

「今のはただ単に三田さんがセルフで起こしたアクシデントでしょ、俺関係ないですよ」

「関係ある、大あり」

「てか本を正せば、三田さんが俺から逃げるのがいけないんじゃないですか」

⏰:10/01/14 21:15 📱:F01B 🆔:eoTDsMHM


#412 [ひとり]
「な・・・・テメェが・・」

話の流れとして返したその一言に、なにやら今までとはちょっと違う反応が返ってきた。が、よく聞き取れない。

「はい?」

散々避けられていた鬱憤から苛立ちを含んだ声で聞き返すと、三田さんは突然凄い怒気を放ちながら、俺を怒鳴りつけた。

「先に逃げたのはテメェだろ!!!!!!」

意表を突いたその怒声に、俺の体は自然現象として一気に粟だった。

こんな風に怒鳴る三田さんを見るのは、初めてだ。

⏰:10/01/14 21:15 📱:F01B 🆔:eoTDsMHM


#413 [ひとり]
「・・・・・・・・俺が?」

怒鳴られた事に対しては正直驚きを隠せない俺だったが、それより何より聞き捨てならない台詞だ。

逃げた?先に?何から?

「あんた何言って・・・」

「っるせぇ!!先に背中向けたのはテメェだ!!!!それを今更とやかく言われる筋合いはねぇっつってんだ!!!!」

今は一体何時なんだろう。目の前のこの人の怒鳴り声は、騒音被害だって警察に届けられても文句は言えないぞっていうボリュームだ。

そしてそれだけに留まらず、三田さんはまた信じられない行動に出た。

⏰:10/01/14 21:16 📱:F01B 🆔:eoTDsMHM


#414 [ひとり]
「もう今更俺に構うな!!」

捨て台詞としてそれだけ言うと、脱兎のごとくまた駆けだしたのだ。

「ちょ、三田さん!!!」

当然俺はその後を追った。ここまで来て、あんな意味のわからない事言われて、『はいそうですか』なんて引き下がれるか。

にしても俺達こんな事ばかり、もう何回繰り返してるんだ。

こんなに好きなのに。

逃げないでよ。

俺はなりふり構わず全力で走った。

⏰:10/01/14 21:17 📱:F01B 🆔:eoTDsMHM


#415 [ひとり]
今まで通ったこともないような場所を道から道へ。右へ左へ。

多分三田さん、俺をまくために自分でもわからないで滅茶苦茶に走ってるんだと思う。

にしても速いな。なんなんだよその脚力は。

少しでも気を抜けば、見失ってしまうだろう。


「三田さ・・・・待って!!!!」

「待たない!!!!」

⏰:10/01/14 21:17 📱:F01B 🆔:eoTDsMHM


#416 [ひとり]
「ちょ・・・マヂで・・・話聞けって!!!!」

「タメ口きくな!!!」

距離を詰められず、一定距離を保ったまま走り続ける。

「お願いだから!!!!」

「来るな!!!!」

クソっ脇腹痛ってぇ。

「逃げんな三田コラァ!!!!」

「テッメ・・・!!呼び捨てしてんじゃねぇ!!殴られてぇのかコラァ!!!!」

大声上げながら全力疾走する俺達は、きっと端から見たら異様な二人なんだと思う。

⏰:10/01/14 21:18 📱:F01B 🆔:eoTDsMHM


#417 [ひとり]
「上等だ・・こいよ三田ぁぁあ!!!!」

売り言葉に買い言葉。
すると三田さんはピタッと足を止め瞬間こちらに振り向いた。

「え?」

まさか止まるなんて思ってなかったから。"車は急に止まれない"。"根岸も急には止まれない"。勢いのついている俺は、立ち止まった三田さん目掛けてグングン距離を縮めた。そして遂に───



「ぐっ───!!!!?」

⏰:10/01/14 21:19 📱:F01B 🆔:eoTDsMHM


#418 [ひとり]
浮遊感。

スローモーションで展開する視界。

脳みそを直接掴まれて揺さぶられたような衝撃。



あ、俺殴られた。



それに気付いた時、俺の体は冷たいコンクリの道路と仲良しになっていた。

⏰:10/01/14 21:19 📱:F01B 🆔:eoTDsMHM


#419 [ひとり]
それから遅れて、左頬にぐっと熱が集まるのを感じた。

うわぁ〜口ん中絶対切れてるってコレ。

横っ飛びに倒れ込んだ地面に唾を吐けば、予想通り。街灯の光を受けた唾液に混ざって、赤いものが目について。

⏰:10/01/14 21:53 📱:F01B 🆔:eoTDsMHM


#420 [ひとり]
カッとなった俺はゆっくり立ち上がると、対峙した三田さんの右頬へ、めり込む程のパンチを見舞った。

ゴッ

骨と骨のぶつかり合う音。


「っ──痛てぇだろコラ」

流石と言うか何というか。体格差からみたら俺が断然優位な筈なのに、三田さんは拳の衝撃をまともに喰らっておきながら、ぐらつくだけに留まった。

⏰:10/01/15 09:09 📱:F01B 🆔:ShyQlI2A


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