こちら満腹堂【BL】
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#532 [ひとり]
「だからお前がいけねんだよ根岸コノヤロォォオ!!!」

恥ずかしさの臨界点を超えてしまったらしい三田さんは、唐突に、叫ぶように俺に食ってかかった。

確かにそうだ、そうなるわ。

『ごもっともです。』としか、返す言葉が見つからない。

「申し訳ない」

「本当にな!!おかげであの日はひろむに一日中ぐちぐち言われて、散々だったんだ」

「・・申し訳ない」

⏰:10/02/11 01:12 📱:F01B 🆔:9n8RKG36


#533 [ひとり]
俺は、不正を暴かれた政治家よろしく、繰り返し繰り返し陳謝した。

「本当に申し訳ないです、そして記憶ないです」

「バカ」

「はい、ごめんなさい」

「・・・・・とにかくだ、そういう訳あって面接はひろむ一人でやったわけ」

「はい」

「で、採る採らないは俺が決めるって言われれば、バックレた俺は何にも言えねぇよ」

「はい」

「蓋を開けてみりゃ『根岸アキです』って訳だ」

「はい」

⏰:10/02/11 01:12 📱:F01B 🆔:9n8RKG36


#534 [りんご]
あげます(・ω・)

⏰:10/02/17 01:57 📱:SH903i 🆔:sXavEeNs


#535 [我輩は匿名である]
あげます

⏰:10/02/17 03:19 📱:SH02A 🆔:NfuyhUpk


#536 [ひとり]
「面接ん時、お前の従兄弟です、『ゆうちゃんが一緒なら安心だから』って言われたんだと、そりゃ断れねぇよ」

「アイツそんな事・・・すいません、ムリに雇ってもらって」

「いや、今日一日見てみたらかなり動けるみたいだし、実際一人増やすのは前々からひろむと話してたことだから、いんじゃね」

三田さんの言葉はありがたかった。が、アキには、軽く釘を刺しておく必要があるだろう。俺をコネにするなんて、裏口入学の〇〇゙やか〇みたいなまねは黙っていられない。

⏰:10/02/20 20:11 📱:F01B 🆔:l7X8LntM


#537 [ひとり]
少し現実(ここ)から意識を離した隙に──

「ゆうちゃん」

「はい?」

それはあまりに急で、自分を呼んでいると気付くのには少し時間がいった。

三田さんは少し冷めかけてきたカレーの残りに手を着けながら、意地悪くニャッとして見せた。

「こないだも思ったけど、ゆうちゃんて呼ばれてんのな、お前」

「まぁ、名前がゆうすけですから」

なんだろ、普段アキにそう呼ばれたところで何とも思わないが、三田さんに『ゆうちゃん』なんて言われると、なんだか不自然で居心地が悪い。

⏰:10/02/20 20:12 📱:F01B 🆔:l7X8LntM


#538 [ひとり]
「ゆうちゃんね〜」

「三田さんだって、下の名前で呼ばれる事くらいあるでしょ」

「そりゃあるけどもよ」

「の・・「のんちゃんはない」

呼びかけた名前は、その主である三田さんの声に被せられて、言いきることが叶わなかった。

「めっちゃ呼ばれてそ」

「俺はまんまだよ」

「まんまって・・望?」

⏰:10/02/20 20:13 📱:F01B 🆔:l7X8LntM


#539 [ひとり]
初めて三田さんの下の名前を呼んだ。疑問系だけど。すると三田さんはなんとも言い表し難い表情になる。

「何ですかその顔は」

「いやー、お前に下の名前で呼ばれるって凄げぇ気持ち悪りぃなと思って」

「失礼以外の何物でもねぇなその言い草」

「いや、マヂでムリだわ」

「わからなくもないですけどね、俺も三田さんに"ゆうちゃん"て呼ばれて凄い居心地悪かったから」

「お互い様じゃねーか」

「はい、変にとちくるっていきなり呼び方変えるとかはやめましょうね」

⏰:10/02/20 20:14 📱:F01B 🆔:l7X8LntM


#540 [ひとり]
俺が言うと三田さんは黙って頷いて、それから確認するように俺の名を呼んだ。

「根岸」

ほら、やっぱこれが今の俺には心地いいんだ。

「三田さん」

呼び返すと、三田さんもしっくりきたらしい。もう一度頷いてみせた。そして

「何このやり取り気持ち悪」

「そっちが始めたことでしょうが」

「いいから、とっととカレー食べちゃいな!!これじゃいつまで経っても片付きゃしないよ!!!!」

「またそうやって母ちゃんキャラに逃げる」

⏰:10/02/20 20:15 📱:F01B 🆔:l7X8LntM


#541 [ひとり]
そうだ、こうやってバカ言い合って、上の名前で呼び合うくらいが丁度いんだ。今までも、これからも。

非生産的かもしれない俺達の繋がりだけど、この関係が変わらずに続けばいい。そんな事を思った。変わらないなんて、そんなん不可能かもしれない、いや、絶対に不可能だけど、それでも強く思ったんだ。遠い先の事なんて想像つかないけど、そこでも俺の隣に三田さんが、アホ丸出しで笑っていてくれたらいいって。そんな事を思ったんだ。

このカレーの残りを食べたら、バスタブに湯を張って二人で入ろう。誘ったら、この人はまた火を噴くほどに照れて真っ赤になるんだろうな。ついでにちょっとイヤらしい事でも仕掛けてやろうか。

ねぇ、三田さん

「あ?」

好きだよ。

⏰:10/02/20 20:33 📱:F01B 🆔:l7X8LntM


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