こちら満腹堂【BL】
最新 最初 🆕
#768 [ひとり]
なんて。俺とあの人がいくら頑張ったところで、それは絶対ないんだけど。まぁ、いざとなれば養子縁組み?


「ってそりゃないか。」

「うん、あれはないなって何時も思うんだぁ。」


俺の思わず漏れてしまった呟きに、アキは何度も頷いていた。

「え、ごめん何が?」

「だからーパレードの最後にド〇モのおっきいオブジェがでてくること。なんか一気に現実に引き戻された気分になるんだよねぇ。」

.

⏰:10/12/24 11:01 📱:F01B 🆔:SRkq9zXQ


#769 [ひとり]
「もちっと余韻に浸らせてって話しだよー」


口では謂いながら、観るだけ観るとさっさと立ち上がるアキ。
見れば周りもサクサクと後片付けに励んでいる。


「随分と忙しないな」

「皆また今から乗り物乗ったりおみや買ったりするからねー」

.

⏰:10/12/26 08:56 📱:F01B 🆔:sQ7DWHS.


#770 [ひとり]
「貪欲だ、貪欲だぞ日本人」

「せっかく来たならギリギリまで楽しまなきゃ損でしょー」


て事は、もれなくお前も・・・


「さぁーて、ぢゃー行きますか!」


来たッッ!


「いやぁー今日はもうちょっと・・・」

⏰:10/12/26 09:05 📱:F01B 🆔:sQ7DWHS.


#771 [ひとり]
ここまでがワンセット。ここがゴール地点。そう信じて疑わなかった俺。浅はかだったのか。俺が浅はかだったのか。


「なんつーかホラあれだよ・・あのーアレだ。お前には話してなかったかも知れないが、実のところ俺にはパレードの後に園内に留まると出るという持病の発作が・・・」


アキの白けきった視線が痛くないと謂えば嘘になるがこの際そこは無視だ。帰りたい。もうぶっちゃけ帰りたいんです。

⏰:10/12/26 10:18 📱:F01B 🆔:sQ7DWHS.


#772 [ひとり]
「ゆうちゃん・・」

「いや、なんかもう、ゴホッ、ほら出始めtゲホッゴホッ」

「ゆうちゃんてば・・」

「く、苦し、ゴホゴホッ!ガヘッ!うぅ息がで「ゆうちゃん!!!」


俺の迫真の演技は、アキの一声で遮られた。嗚呼、駄目なのか。またあの無意味なGをかけて体力を消耗するだけ消耗する非生産的なマシーンに俺を乗せるのか。



「安心してよ、もう帰るから」

.

⏰:10/12/26 10:28 📱:F01B 🆔:sQ7DWHS.


#773 [ひとり]
それは思いがけない台詞だった。『もう帰る』?自分の耳を疑ってしまう。


「アキ、帰るってのはアレか。舞浜駅から東京駅まで乗り継いでそこから今度は中央線で・・」

「うん、帰る。明日一限あるし、それにこの荷物じゃちょっとね」


そう謂って、さっき買い込んで来た土産物のしこたま詰まった袋を持ち上げて笑ってみせる。

.

⏰:10/12/26 10:33 📱:F01B 🆔:sQ7DWHS.


#774 [ひとり]
「そっか。なら、よし。帰ろう」

「うん」

「荷物かして、持つ」

「ありがと」


長い、長い道のりだった。だがしかし、止まない雨はない。明けない夜はない。俺はミッションを完遂したんだ。そう、【アキの誕生日を祝う】というミッションを・・・・・

.

⏰:10/12/26 10:38 📱:F01B 🆔:sQ7DWHS.


#775 [ひとり]
・・・・祝う・・・祝う・・・・いわ・・・・ん?


俺はここへ来て、遅蒔きながら気付いてしまった。




【祝っていない】ことに。


確かに三田さんの命令で無理くりとらされた休みに、アキが行きたいと謂うネズミーランドに保護者として付いて来た。

.

⏰:10/12/26 10:42 📱:F01B 🆔:sQ7DWHS.


#776 [ひとり]
でもそれだけ。気の利いたプレゼントもなければ、一言の『おめでとう』もない。てか逆にプレゼントされちゃってるし。・・・・なんてことだ。


帰ろうと謂って歩き始めた途端に俺が立ち止まったもんだから、アキは不思議そうに俺を振り返った。


「ゆうちゃん?」


「アキ」


「なぁに?」


.

⏰:10/12/26 10:47 📱:F01B 🆔:sQ7DWHS.


#777 [ひとり]
「誕生日おめでとう」


「ゆうちゃん・・」


遅すぎるこのタイミング。でも謂わないよりは謂ったほうがいいに決まってる。


「プレゼントすれば、何がほしい?」

.

⏰:10/12/26 10:51 📱:F01B 🆔:sQ7DWHS.


★コメント★

←次 | 前→
↩ トピック
msgβ
💬
🔍 ↔ 📝
C-BoX E194.194