こちら満腹堂【BL】
最新 最初 🆕
#1 [ひとり]
BLが嫌いだ
BLってなぁに?
BL?おいしいの?

とゆう方は回れ右でお願いします。


誹謗中傷は受け付けません。

.

⏰:09/12/06 20:03 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#2 [ひとり]
たとえば切り傷や火傷がいくつもある筋張った手だとか

たとえば雨の日には斬新な外ハネをみせるその癖毛だとか

たとえば酒と煙草でややしゃがれたその声だとかを


意識し始めたのはいつからだったろうか


.

⏰:09/12/06 20:09 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#3 [ひとり]
思い出そうとしたところでそれは酷く曖昧で

『今日この日を以て』なんてはっきりしたことはなく

ただぐだぐだのらくらした日々の中で、徐々に俺を侵食して今に至ったんだろう。


.

⏰:09/12/06 20:14 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#4 [ひとり]
自分でも気付かない程に緩く、静かに、確実に。


今はもう、後戻りしたくても道がわからないくらいまで来てしまった。


手遅れ。どうしてくれるんだ、



アホ。

.

⏰:09/12/06 20:20 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#5 [ひとり]
「アホ!?!?ちょ、おま、店長に向かって何て口のきき方すんだろねこの子は!!!!」

「あ、すんません、声出てましたか」

「出てたよ!確実傷付いたよ今!!もう嫌だ!!!!誰コイツ採用したのー!!ひろむっお前か!!!!」

「いや、お前もいたかんね」

.

⏰:09/12/06 20:31 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#6 [ひとり]
ここは厨房
今は4時

俺達は仕込みをしている。

大鍋から立つ湯気が熱ちぃ。

.

⏰:09/12/06 20:43 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#7 [ひとり]
「ハイ、確かにいましたよ三田さん。」

「え!?マヂでか!?!?」

「ホラみろ、てか店長のお前がいない訳ねーだろさ」

「そっすよ、テンチョー」

「・・・お前の"テンチョー"て何か響きがムカつくんだけど」

「そっすか?テンチョー」

.

⏰:09/12/06 20:48 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#8 [ひとり]
「もういいってそれ」

そう笑いながら俺の横でアホほどジャガイモの皮を剥いているのは店長の三田さん。

俺の、好きな人。






男だけど。

.

⏰:09/12/06 21:59 📱:F01B 🆔:p.xQ3Rrk


#9 [ひとり]
「まぁ下にアホ呼ばわりされないように励みたまえよ」

と口を挟むのは弘(ヒロム)さん
三田さんの幼なじみで、共同経営者だ。


「ひろむのその発言が既に俺をバカにしてると思いまーす」

「いいから早よ芋むけ」

「・・・・」


二人の何気ないやりとりにも、自分には入り込めない空気を感じて黙ってしまう俺は、マヂ相当キテると思う。


⏰:09/12/07 20:11 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#10 [ひとり]
俺の気なんか知らずに、
まぁ知られちゃ大変まずいんだが。二人の会話は展開されていく。

ますます俺は黙るしかない。




このもやもやを、どうしてくれようか。


⏰:09/12/07 20:19 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#11 [ひとり]
【休憩】


今晩は、ひとりです。


とりあえずここまでをプロローグとさせて戴きます。初心者なもんで文章力なんてからきしはなくそですが、読んでやんよという暖かいお心の方がいましたら、どうぞお付き合い下さいまし。

でわでわ、更新していきますん。

⏰:09/12/07 20:29 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#12 [ひとり]
【第一話/お通しカットとか認めない】




「根岸ーもうそっち終わりー?」

「はい」

「こっちもバッチよ、んぢゃ閉めますかー」

「おーお疲れお疲れー」

「あーマヂ腰いかれた」


野郎の声が飛び交う
閉店後のここは満腹堂。


⏰:09/12/07 20:37 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#13 [ひとり]
ここは男子率が非常に高い店だ。

経営責任者の弘さん
店長の三田さん
キッチンチーフの滝さん
ホールチーフの長谷部さん

と、バイトが三名
俺こと根岸と
大学生の津久井
それに紅一点、ノジコさん

⏰:09/12/07 20:44 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#14 [ひとり]
「根岸ー今からべぇやんちで飲むかんなーバックレんなよ」

とはノジコさん。紅一点のはずの彼女は、本物の男以上に男気に溢れた姐さんだ。

因みにべぇやんとは長谷部さんのこと。

⏰:09/12/07 20:51 📱:F01B 🆔:phl4pJ/M


#15 [海斗っち]
とってもおもしろです
更新頑張ってくださいね
応援してます

⏰:09/12/07 23:25 📱:SH905i 🆔:1.n4fm7U


#16 [ひとり]
【お返事】

>>15

海斗っちさん

ありがとうございます^^
今日もカタツムリほどのスピードですが、更新予定なんで、よろしくです(´_ゝ`)ぽよーん

⏰:09/12/08 19:35 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#17 [ひとり]
>>14

「いや、俺明日ちょっと用が・・」

ダウンのフードを被りながら語尾を濁す。
明日はダチとライブがあるから、昼過ぎからリハなんだ。

「用とか言ってどうせ女だろ!?却下却下!!!!」

三田さんがオーバーに手を降って言う。
俺の首に腕を巻きつけ、グッと距離が近くなる。

「店長命令だから、うん。」


⏰:09/12/08 21:09 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#18 [ひとり]
別に明日は女とどうこうあるわけじゃなければ、
三田さんがそんなつもりで言ってるんじゃない事もわかってる。

わかってるのに、

女より自分を優先しろと言われてるように錯覚して、勝手に嬉しくなって、だから、

「ちょ、わかりましたから、首苦しい」

俺は面倒くさそうなふりで了承してしまう。

⏰:09/12/08 21:58 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#19 [ひとり]
それから結局、長谷部さんちに満腹堂スタッフ一同が集結。


畳のそこかしこに転がる空き缶と、誰がいつつけたのかジブリのアニメがBGM替わりに流れる部屋で、折り重なるようにして雑魚寝を決め込む野郎共。ノジコさんはちゃっかり長谷部さんの布団を占領している。

⏰:09/12/08 22:09 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#20 [ひとり]
壁の時計は深夜2時を少し過ぎたところ。

俺は佳境に入ったアニメを観るともなしに眺めた。女の子と男の子が早朝の坂道をチャリで2ケツしている。

「マヂこれ好きだわ〜」

俺の横に胡座をかいた三田さんは、発泡酒片手に感動しているよう。声が上擦っている。

⏰:09/12/08 23:03 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#21 [ひとり]
恐らくこのアニメを流した張本人はこの人に違いない。

「お前好き?みみすま」

「はい?」

聞き慣れない単語に俺は聞き返した。

「なんすか、それ」

「みみすまだって、み・み・す・ま!!」

別に聞こえなかった訳じゃないのに、三田さんはもう一度謎の単語を繰り返した。顔が真っ赤だ。

⏰:09/12/08 23:08 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#22 [ひとり]
「いや、知らないんで」

「いや知らないとかじゃなくてさ〜、好きかどうかって話しさ」

「はぁ・・・」

そう言われても知らないものを好きか嫌いかなんて答えられる訳がない。曖昧に返事をする俺を余所に、三田さんは勝手に喋り続けた。

⏰:09/12/08 23:13 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#23 [ひとり]
「いいよな〜青いよ〜春だよ〜駆け抜けてるよこれ〜」

「・・・・はぁ」

「お前も覚えがあるだろ根岸、進路に悩み、恋に悩み、ってさ」

「・・・・いや、俺は特には」

実際俺は進路で悩んだ事も、色恋に悩んだ事もなかった。
何となく進学して、何となく彼女をつくり、何となく別れた。

「ないわけねーだろよオイ」

⏰:09/12/08 23:20 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#24 [ひとり]
そう言い切れるほど、あんたは俺の何を知ってるんだ。

「俺、基本なんとなくでここまで来てるんで」

「嘘つけカッコつけ〜可愛いあの娘にメロメロドキュンで悩んだ日々があっただろ?」

「いや、来るもの拒まずですから」

⏰:09/12/08 23:33 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#25 [ひとり]
実際そうだった。
付き合ってくれと言われるから付き合ったし、別れようと言われるから別れた。

「でたよっ!!モテ男発言!!!!」

三田さんが顔をしかめて俺を指差す、その指を払って聞き返した。

「そういう三田さんは経験あるんすか?」

⏰:09/12/08 23:44 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#26 [ひとり]
「俺?」

聞かれた三田さんは一瞬動きを止めて、それからヘラッとだらしなく笑った。

「そりゃあるべよ、好きだけど好きって気持ちが恥ずかしくってさ、無駄にチョッカイかけて嫌われたりね〜」

「ふーん」

「ふーんておま、聞いといて素っ気なさすぎじゃね?その態度」

⏰:09/12/08 23:53 📱:F01B 🆔:QWJBQQ5c


#27 [ひとり]
「いや、マヂ俺そういう経験ないんで」

ウソをついた。
本当は、まさに今がそうだ、今の俺が。

「嫌みなヤツだなーお前は」

三田さんが好きで、悩んで、ちょっかいかけて、そっけなくして。
全部が、独りよがりで。

「根岸も一度くらい経験したらわかるよ」

もうわかってる。

「いいぞ〜そういう甘酸っぱいのも」

全然よくねぇよ、苦しいんだよチクショー。

⏰:09/12/09 00:03 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#28 [ひとり]
「俺、明日マヂ用あるんで帰ります。」

遣り場のない気持ちを目の前のこの人にぶつけてしまいそうで、俺はそそくさと腰をあげた。

「え、なした急に?」

突然の行動に、俺を見上げる三田さんはポカン顔だ。

「いや、用事があるから、帰って寝ないと」

「ここで寝てきゃいいべ」

「風呂も入りたいんで、荷物もあるし」

「今2時過ぎよ?」

「チャリあるし」

⏰:09/12/09 00:15 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#29 [ひとり]
「いいから今日はここで寝てけって、俺が朝起こしてやっから」

腕を捕られた。

「いや、本当、帰ります」

「いや、本当ムリだし」

意味がわからない。

顔真っ赤で完全に酔っ払いだし、俺より5つも年が上のアラサーおやじだし、なのになんか帰るなとか腕掴んで上目遣いされて俺心臓バクバクいってんだけど。マヂで、

意味がわからない。

⏰:09/12/09 00:25 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#30 [ひとり]
三田さんの無意識の行動に、一々ムダな考えを巡らせては一喜一憂する。

帰るなと言われて喜んでいる俺と、何も知らずに無責任な事言うなと憤る俺が混在して、ぐちゃぐちゃだ。

いっそ今ここで言ってしまおうか。

あんたが好きだ

って。

⏰:09/12/09 09:19 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#31 [ひとり]
長谷部さんちの、酒の匂いが充満して換気もされてないこの部屋で。
みんなが横で寝ているこの部屋で。
『みみすま』とやらのエンディングロールが流れるこの部屋で。

あんたが好きなんだ

って。





そんなん

⏰:09/12/09 09:24 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#32 [ひとり]
「言えるわけねぇし・・・」

「ん?」

「いや、とにかく帰るんで離して下さい」

「店長の俺がこんなに言ってんのにお前は帰んのかよ根岸ー」

「帰ります」

「そっけなー」

三田さんは言いながら掴んでいた俺の腕を放るようにして離した。

⏰:09/12/09 09:30 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#33 [ひとり]
「じゃ、お疲れした」

俺が言って後ろの扉へ向かおうとすると

「おぅ、待てコラ」

「なに?」

「なにじゃなくて、送るし」

三田さんはふらふらと立ち上がった

「うぁ゙!!足痺れた気持ち悪りぃー」

それから痺れたらしい足にできるだけ刺激を与えないように、変な歩き方で俺に近付いてきた。

「ホレ、帰るんだろ?」

⏰:09/12/09 09:38 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#34 [ひとり]
「送るってあんた、俺チャリなんだってば」

「だからその辺までだよ、俺も風に当たりてぇし、付き合え」

そして俺より先に部屋を出ていってしまった。

「・・・・・・勝手だなぁ」

仕方なしに後に続く。

⏰:09/12/09 09:42 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#35 [ひとり]
「ちべ(冷)てぇー」

「もう12月っすからね」

「12月かよー1年早えーなオイ」

「その発言、かなりおっさんじみてますよ」

「ほっとけ!!」

俺達はチャリを挟んで横並びで歩いた。
二人分の白い息が、尖った冬の空気に溶けて消える。

⏰:09/12/09 09:48 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#36 [ひとり]
「今年のクリスマスも、このままじゃクソスマスで終わりそうだなー」

「三田さん彼女作んないんすか?」

「お前はっ倒されたいの?作んないんじゃねーよできねんだよ!!」

「ふーん」

「はい出た!!根岸の"ふーん"返し!!!!」

「あんた声デカいって」

⏰:09/12/09 09:55 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#37 [ひとり]
もう既に三時になろうかというところ、寝静まった家々。俺達以外誰もいない道に三田さんの声はよく響いた。

「つぅかあんたそろそろ戻らないと」

「え?」

「いやだって、あんま行くと帰り面倒いでしょ」

「あ〜〜〜・・・・うん」

「・・・・・・・あんた」

「そうだね、帰り道がね、うん」

そっかそっかと頷く姿に、嫌な予感がよぎる。

「あんた俺を"送ってる"ってこと忘れてたでしょ」

現にもう一駅分は歩いてきてしまっている。

⏰:09/12/09 10:17 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#38 [ひとり]
「店長にあんたとか言わないのー」

「話し逸らさないで下さい」

「んー・・・・うん、まぁアレだよ、つまり」

目が右へ左へ泳ぎに泳ぎまくっている。
俺の予感は確信に変わった。

「根岸んち泊め「嫌です」

最後まで言わせずに遮ると、口をものっそい勢いでへの字に曲げた。

⏰:09/12/09 15:06 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#39 [ひとり]
「お前言わせろよそこは」

「だって嫌っすもん」

「送ってやった俺の優しさをそんなぞんざいに蹴っていいのか」

「"やった"っつーかムリと付いてきただけでしょーが」

「んなッッ!!!!元も子もない事言うなよ!!!!」

「事実でしょーが!!!!」

立ち止まり、向き合った俺達は言い合いになる。正面から見た三田さんの顔はもう酔いが引いたようで白っぽく、闇にぼんやり浮かび上がっている。その中にあって、鼻の頭と少し覗いた耳だけが赤い。

⏰:09/12/09 19:43 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#40 [ひとり]
「泊めろ!!」

「嫌です!!」

「泊めろって!!」

「嫌ですってば!!」

頼むから大人しく帰ってくれ。俺はこのもやもやを、密室に二人きりで隠し通せる自信がなかった。

「頑なかっっ!!!!」

「そりゃあんたでしょ!!!!」

⏰:09/12/09 19:51 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#41 [ひとり]
「うるせぇな!!!!!」

「「!!!???」」

突然頭上から浴びせられた怒鳴り声に、ハッとそちらを仰ぎ見れば

「テメェら今何時だと思ってんだっっ!!!!とっとと帰ってクソして寝ろっっっ!!!!」

道路沿いのボロなアパートの一室から、冬場にも関わらずランニングシャツ一丁のおっさんが俺達を睨み下ろしている。

「「すんませーん」」

俺達は駆け足でその場を後にした。

⏰:09/12/09 19:58 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#42 [ひとり]
───
──────
─────────

「おじゃましまーすよっ」

「・・・・・・」


結局、三田さんは俺んちまで付いて来た。
鼻歌まじりに履き潰したティンバーのブーツを脱ぎ捨てる三田さん。

「お前んち何かいい匂いすんな」

「・・・・あぁ、アロマたいてるんで」

「うっわ〜恥ずかしいヤツだな〜」

「意味わかんねぇし」

⏰:09/12/09 20:04 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#43 [ひとり]
今だ赤みを帯びた鼻をひくひくさせて部屋の匂いを無遠慮に嗅ぎまくっている。

「いいから早く中入って下さい」

「へいへい、あ、便所貸して〜」

「・・・・嫌です」

「よし、じゃーここで「そこ、左側です」

「あいよー」

言ってトイレに駆け込んだ。

⏰:09/12/09 20:11 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#44 [ひとり]
「・・・・・ふぅ」

俺はフードを脱いで、その場にへたり込んだ。

「どうすんだよコレ・・」

マヂで途方に暮れた。密室に、好きな人と二人。これはかなり宜しくない展開だ。

とにかくアレだ、変な気が起きる前に寝てしまおう。

⏰:09/12/09 20:16 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#45 [ひとり]
そうと決まれば善は急げだ。ダウンとデニムは脱ぎ捨てて、とにかく着替えとバスタオルをひっ掴み風呂場へ向かう。と、

「・・・何やってんすか」

「いや、風呂借りようかと思って」

「したら先に一言あるでしょーよ」

「あ、借りまーす」

「遅せぇし・・・コレ、使って下さい」

「おぅ、さんきゅ」

⏰:09/12/09 21:10 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#46 [ひとり]
俺は自分のために持ってきたタオルと部屋着を脱衣所に置いて、ひとまずリビングへ退散。ベッドに倒れ込んだ。

「本当に勘弁してくれよ」

思わず声が漏れた。

俺んちの脱衣所で、勝手に風呂借りようとした三田さん。勝手に服脱いでた三田さん。

「身体・・・・」

見てしまった、あんな不意打ちで。まぁ、上裸だけだけど。

⏰:09/12/09 21:18 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#47 [ひとり]
でも、バッチリ目に焼き付けてる俺。しっかり反応してる俺。ボクサー一丁だったから、バレないように腰を引き気味にして退散した俺。






重傷だ。

⏰:09/12/09 21:22 📱:F01B 🆔:vju6tYo2


#48 [ひとり]
寝床はこのシングルベッドが一台。

三田さんにはここで寝てもらって、俺はカーペットで雑魚寝だな。

できるだけあの人に近づかないように、見ないようにしよう。

そうしよう。

頭ん中でシュミレーションしながら、身体がズンと重たくなるのを感じた──

⏰:09/12/10 20:28 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#49 [ひとり]
──
────

程よくスプリングの効いたベッドの上、ふかふかと柔らかく肌に馴染む布団の中で。ブラインドの隙間から差す陽に瞼を灼かれ目が覚めた。

いつもの部屋で迎える、いつも通りの朝。

背を反らすように、ゆっくりと伸びをする。

⏰:09/12/10 20:29 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#50 [ひとり]
その際横に張った肘の右側に、布団とも壁ともつかない感触。まだ薄らぼんやりした頭でもわかる違和感にそちらを向いて、


「!!??!!??」


寝起きドッキリ。冗談ぬきに息が止まった。鼻がつきそうな至近距離に、寝息をたてるおっさんが一匹。

「三田さん・・」

どうやらあのまま寝てしまったらしい俺の横で、壁に背をつけて狭さもお構いなしに爆睡している。

⏰:09/12/10 20:29 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#51 [ひとり]
その表情(カオ)は普段の三田さんが嘘のように幼い。

普段はギャーギャー騒がしく、おっさんキャラを全面に押し出してるこの人は、実はかなり造りが繊細だったりする。線も細く、飯食ってんのかよと思うほどだ。

そんな新鮮な様を堪能してハッと我に返れば、リハの時間が迫っている。

「やっべ」

俺は慌ててベッドから飛び出した。

⏰:09/12/10 20:30 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#52 [ひとり]
【休憩】

今晩は、ひとりです。

第一話はこれで完結です。中途半端ですんませんが、それも含めてだらだらなひとりスタイルとゆーことで、ご容赦くだせぇ。

二話目は三田目線で書くつもりですので、宜しく。

意見や感想頂けると小躍りして喜びます。

ぴよーん

⏰:09/12/10 20:35 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#53 [ひとり]
【第二話/女子は必ずサラダを頼む】



ガキん時の俺は凄げぇ女顔で、チビだった。挙げ句泣き虫のヘナチョコだった。だからクラスの男子にはからかわれ、女子には「可愛い」を日々連呼された。

言っとくけどさ、思春期の童貞男に「可愛い」とか吐くのは「死ね」と同義だかんね。マヂ男のプライドずたぼろだかんね。

⏰:09/12/10 21:10 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#54 [ひとり]
それでもヘナチョコな俺は当然自分の力だけでその窮地を打開できるはずもなく。

悩みに悩み、考えに考え抜いて一つの結論に達した。




そうだ、ヤンキーになろう。

⏰:09/12/10 21:14 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#55 [ひとり]
ちょうどいいところに幼なじみで二こ上のひろむがいた。当時高校一年生だったアイツは、既にそっちの街道を爆進中で、今見たら腹筋痙攣、100バー爆笑もんだけど、パンチに短ランがトレードマークだった。

俺は訴えた。ヤンキーになりたいんだと。ヤンキーになって誰からも舐められない男になりたいんだと。

⏰:09/12/10 21:27 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#56 [ひとり]
ひろむのつてで念願かなってヤンキーの仲間入りを果たした俺は、荒れに荒れた。中二の夏。我ながら駆け抜けてたと思うよ、うん。

全然泣かなくなったしね、喧嘩だって拳平らになるくらいやったしね、女子にもモテたしね、ケバいヤン女にばっかだけどね、うん。

⏰:09/12/10 21:38 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#57 [ひとり]
まぁまぁ前置きが長くなったけど、とにかくそんな感じで俺は舐められたくない一心で背伸びしてきたわけです。

社会に出てからも舐められないようにって一心で髭とか生やしてみて今日に至るわけです。

それが




「アレ?お前髭どしたよ」

⏰:09/12/10 21:47 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#58 [ひとり]
「──」

「あん?」

「起きたらなくなってたんだよ!!!!」

「意味わかんね」


俺だって「意味わかんね」っての。

朝、満腹飲みして根岸んちに泊まった朝。気付くと俺の顎髭が、俺の鎧と言っても過言じゃあない顎髭が、




忽然と消えた。

⏰:09/12/10 21:54 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#59 [ひとり]
根岸の姿もそこには無く、色気も素っ気もない書き置きが一枚。


三田さんへ

鍵はポストに入れといて

根岸




いやいやいやいや

⏰:09/12/10 21:57 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#60 [ひとり]
その前に言うことがあるでしょーよ!!

俺の髭に何してくれてんだあの野郎!!!!


「お前顎ツルツルだとやっぱ若く見えるなー」

呑気に無神経なこと抜かす滝をねめつける。

「デリケートな部分だからあんまそこツッコまないで!!!!」

⏰:09/12/10 22:01 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#61 [りんご]
実ゎ…☆
最初のときからずっと
読んでました´ω`笑
思いきって
コメしちゃいますー..
BLあんまり
好きじゃなかったのに
これはすごーく
おもしろいです´ω`☆
文の感じも素敵です
更新楽しみにしてます
頑張ってください

⏰:09/12/10 22:26 📱:SH903i 🆔:gCSWCqa.


#62 [ひとり]
>>61

りんごさん

コメありがとございますヒーハーヾ(´ω`)ノ喜

BLあんま得意でないんですね〜
そんなりんごさんにも気軽に読んでもらえるよなゆるーい感じで書き進めてきますんで、今後ともご贔屓に(´ω`)ペコペコ

いやぁコメ貰えるとひとりマヂ鼻息荒く頑張れます!!あざしたぁー

⏰:09/12/10 23:27 📱:F01B 🆔:CoaqmSpo


#63 [りんご]
BLって分かるようでやっぱ馴染みない世界なんで
んー(゚∀゚)?って
感じだったんです
でもこれは好きです

どんな内容であれ最後まで読みますよ
ひとりさんのお好きなようにお話展開させちゃってください☆!これからがとっても楽しみー
ハラハラドキドキさせてくださいね

何度もすみません
ヒーハー(´∀`)ノ

⏰:09/12/10 23:49 📱:SH903i 🆔:gCSWCqa.


#64 [ひとり]
>>63

りんごさん

ハラハラドキドキですか、努力します!多分ひとりにはムリな高等技術ですが(゚∀゚)ケラケラ

ではでは〜今からまた更新、ちょっぴですがしていきますよーぃ(゚∀゚)ケラケラ

⏰:09/12/11 00:18 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#65 [ひとり]
「んな騒ぐなや髭くらいでー」

「"くらい"じゃない!髭のない俺の顎なんて、チンコ丸出しの下半身みたいなもんなの!!!!」

「猥褻物かぁーそりゃいかんなぁ」

「いかんですよ!!いかんにも程がありますよ!!!!」

滝を相手に開店前の満腹堂でわめき散らす俺の頭に突如衝撃が走る。

「痛っ!!!?」

「仮にも飲食店なんだからあんまでけぇ声でチンコとか言うでないよ」

とっさに頭を庇った両手はそのままに、振り向くとひろむが呆れた顔で俺を見下ろしている。

⏰:09/12/11 00:30 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#66 [ひとり]
「外まで聞こえてんぞ」

「だってひろむ見てくれよコレ〜」

情けない声を出しながら、無防備な己の顎を突き出して見せる。

「お、髭剃ったのか」

「だから剃ったんじゃねぇ!!!剃られたんだ!!!!」


犯人は奴しかいない。
おのれ根岸っ覚えていやがれ。

⏰:09/12/11 00:35 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#67 [ひとり]
【休憩】

またまた今晩は、ひとりです。

短いですが第二話完結です。只単に、髭をそられた可哀想な三田が書きたかっただけですごめんなさい←

あと一話二話ときてお気づきでしょうが、タイトルはまるきりからきしの無意味です。気分です。

ではでは眠くなるまでもう少し、再び根岸目線に戻って更新させていただきますん。らんらんるー

⏰:09/12/11 00:45 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#68 [ひとり]
【第三話/居酒屋のお絞りの消毒臭さが好き】


ライブが無事終わり、ダチとの打ち上げも解散した俺が最寄り駅に降り立ったのは午前零時ジャスト。

今日が"昨日"になり、明日が新しい"今日"になるこの瞬間が、結構好きだったりする。目には見えなくても確かにそこに在るという安心感が、いい。


空気に触れる身体表面は確実に冷たいのに、一枚隔てた皮膚の下では、未だアルコールが冷めることなく力を発揮している。

⏰:09/12/11 01:03 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#69 [ひとり]
そして一人になってふっと思うのはあの人の事だ。

予期せぬ展開から一夜を共にした・・エロな意味でなく。そして不意打ちの寝顔。あれは反則だった。

思わずその可愛い寝顔には不釣り合いだと、髭を剃り落としてしまったが三田さん──


「怒ってんだろうなぁ」

なんて他人事のように呟いてみる。

⏰:09/12/11 01:09 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#70 [明希゚J゚=アキ]
 
更新されてるのが、
嬉しいです―ツ!
「ゆっくり更新して下さい…」
と言いたいんですが、
正直言うと早く読みたい!
て思っちゃいます…;;
でも、めちゃくちゃ応援してまつ!

⏰:09/12/11 05:40 📱:W65T 🆔:I1xxthB2


#71 [ひとり]
空には月。
欠けて頼りなげに、青白くそこに在る月。細っこい、酒の抜けた後のあの人の顔みたいだ。

なんて、気色悪い。売れないポエマーみたいな事を一瞬考えて鳥肌がたった。寒さとかそんなんじゃない鳥肌が。

疲れてるんだろう。早く家に帰ってディフューザーをつけよう。それから熱いシャワーを浴びよう。

⏰:09/12/11 09:15 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#72 [ひとり]
そんで寝る前には読みかけの本も読もう。

疲れてるんだ。
ぐっすり寝て、朝を待とう。

目が覚めればきっと疲れもとれて、ポエマーな俺なんか消えていなくなる筈だから。跡形もなく。

⏰:09/12/11 09:16 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#73 [ひとり]
考えていると、一人暮らしの我が家についた。

築十三年、どこにでもある平凡なボロアパートだが、いい具合に煤(スス)けた外壁に蔦(ツタ)が絡む様なんかは、貫禄があって結構気に入ってたりする。



帰宅後すぐに予定通りアロマをたき、シャワーを浴びた。ジンジャーティーも飲み、飲みながら丁寧に本も読んだ。

俺だけが作る、俺だけの空間、時間、ペース。

⏰:09/12/11 09:19 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#74 [ひとり]
なのに

「あ゙〜〜〜駄目だ」


チラつく。何をしててもあの人がチラついて仕方ない。俺の空間も、時間も、ペースも、全てをかき混ぜてぐちゃぐちゃにする。

丁寧に時間をかけて読んだ筈の本の内容だって、実際は一文字も頭に入ってこないし。紅茶だって本当はカモミールにしようとしてたのに間違えてジンジャーティー入れちまうし。


「こりゃもう限界か・・・・」

俺は観念したように静かに呟いて目を閉じた。

⏰:09/12/11 09:20 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#75 [ひとり]
>>70

明希さん

応援ありがとござい松ヾ(´∀`)ノ

期待に応えられるよに、できるだけ頑張ります!!!!が、多分むりなんで許して下さい(ぇ

ゆるーいとろーい更新でも、見捨てないで下さいましね(´;ω;`)テヘ

⏰:09/12/11 21:49 📱:F01B 🆔:4z3oIw1g


#76 [明希゚J゚=アキ]
 
待ってますよ!
ゆる〜リ更新して下さい!
 

⏰:09/12/11 22:15 📱:W65T 🆔:I1xxthB2


#77 [ひとり]
>>76

明希さん

そぉ言ってもらえるとひとりめっちゃやりやすいっす´∀`あざーす

でわでわ、今からまたぽっちりぽっちり更新しもすん。

⏰:09/12/12 08:07 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#78 [ひとり]
>>74
【つづき】


───
─────

翌日は雨だった。
いつもはチャリで向かう店まで、今日は電車で。

満腹堂は平日ランチもやっているので、早番の俺は午前中から店に向かう。

店の手前に来た所で三田さんの姿を見つけた。
傘を腕と首でひっかけて、両手でシャッターを上げようとしている。

⏰:09/12/12 09:12 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#79 [ひとり]
しゃがんだ足元が不安定に揺れていて、見ていられずに駆け寄り声をかけた。

「俺やりますよ、これ持ってて」

三田さんの胸に無理やり自分の傘を押し付け、ふんとシャッターを持ち上げた。建て付けが悪いのか初めこそ力が必要だが、一度動き出すとあとはガタガタとでかい音をたてながら素直に収まるところへ収まっていく。

⏰:09/12/12 09:49 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#80 [ひとり]
そして傘を受け取ろうと振り返れば

「根岸、テメェ・・・」

俺の上に傘を差し出した姿で、三田さんはドスの効いた声を出す。あ、やっぱり

「やっぱり怒ってます?」

「当たり前だ好き勝手しやがってコノヤロー」

⏰:09/12/12 09:58 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#81 [ひとり]
「勝手とか言うならあんたの行動だって勝手放題でしょ」

「余所は余所!うちはうち!!!!」

「母ちゃんかよ」

「オマケ付きのお菓子勝手にカゴに入れんじゃないの!戻してきなっ!!」

「入れてねーよ母ちゃん」

「あんたみたいな悪い子うちの子じゃないからね!うちに上げてやらないからねっ!!」

「いや寒みぃしそれはマヂ勘弁」

⏰:09/12/12 10:42 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#82 [ひとり]
俺が素で寒そうにしてるのがわかったのか、三田さんは舌打ちしながらも鍵を開けてくれる。


暖房のまだ効いていない室内でも、外に比べると随分暖かく感じた。

狭っちいバックルームで着替えを済ませホールに出ると、三田さんはカウンターで一服している。
暖房をつけたらしい。業務用エアコンからブーンと低い稼働音と一緒に、生暖かい風が強力に流れ込み、店内を満たしている。

⏰:09/12/12 11:24 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#83 [ひとり]
耳が寂しくて、レジ下のデッキに自分のiPodを繋ぎ曲を選ぶ。どれにしようか

「お前さー」

「なんすかー」

片手間に返事を返す。久々にユニコーンでもかけようか・・

「なして不意打ちに俺の髭ったんよ」

それとも午前中だし静かめの何かコンピでも・・・

「なぁおい根岸ー」

三田さんはカウンターから声をよこす。

「いやー綺麗な顔がもったいなーと思・・・・」

⏰:09/12/12 11:41 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#84 [ひとり]
言いかけてからハッとして口を噤んだ。俺今、何言った?

"綺麗な顔"とか。
おいおいちょっと待ってくれ自分。

恐る恐るレジ下から顔を出して様子を伺うと、三田さんとバッチリ目が合う。

⏰:09/12/12 11:51 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#85 [ひとり]
それから

「お前なぁ」

ヤバい、今の発言は完全にアウトだろ。一度合ってしまった視線をそらせずにいる。と、

「もちっとマシなジョーク言えないのかよー、センスねぇなぁ」

三田さんは呆れ顔。やれやれと煙草を灰皿に押し付けてスツールを降りると「着替えてこよ」と言ってバックへ消えていってしまった。

バレて・・・・・ない。

⏰:09/12/12 11:57 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#86 [ひとり]
ないけど、

「これはこれで、キツいな」

バレたら困るとか思ってたくせに、ああいう返しをされると何だかシャクに触る。

知ってほしいのか、本当は。いっそバレたらいいとでも、思ってるのか俺は。

⏰:09/12/12 12:23 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#87 [ひとり]
わからなくなってしまった。

でも確かに、バレたらいっそ楽になれるのかな、と思わなくもない。

気持ちを隠して接することが、日ごと苦しくなっている。そのせいか、日々あの人について考える時間が増えているのも事実だ。

きっかけさえあれば、もう気持ちを打ち明けてしまいそうだ。
そうなったら、あの人はどんな顔するんだろう。
今みたいに「センスねぇなぁ」なんて言って呆れるんだろうか。

⏰:09/12/12 12:32 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#88 [ひとり]
【休憩】

今日は、ひとりです。

第三話はこれにて完結です。言いたい、言えない、揺れる根岸でした。チャンチャン
そしてまるきり気付かない三田でした。そりゃそーだ、三田はノンケだもの。まぁ、根岸も基本はノンケだけど。そんな設定ですた。はい。

⏰:09/12/12 12:57 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#89 [りんご]
更新されてるー☆
わーい\(^∀^)/
おもしろいです!

⏰:09/12/12 13:36 📱:SH903i 🆔:ESdadqyQ


#90 [ひとり]
>>89

りんごさん

りんごさんだーヾ(゚∀゚)ノヒャーイ
またまたコメ嬉しすでっす(>∀<)

今からまたちょと更新しますねぇ

⏰:09/12/12 15:55 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#91 [ひとり]
【第四話/だし巻き卵のおいしさよ】


ランチと夜の営業の合間。
雨の上がった満腹堂裏のベンチで軽く一服。店内で火照った身体に、冬の風が心地いい。

「横いい?」

声がして視線を向けるとノジコさんがいた。

「お疲れさまです」

「お疲れ」

スキニーで脚線美が強調された長い足を組むと、俺の横で煙草に火をつける。
旨そうに、ゆっくりと深く煙を吸った。

⏰:09/12/12 15:56 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#92 [ひとり]
それから徐にノジコさんは口を開く。

「根岸さー何かあった?」

「え、なんすか急に」

こういう勘が鋭いとこ、ドキッとする。しかも聞き方がストレート。回りくどい事が嫌いな彼女らしい。

「いや急っつーか結構前から気になってたんだわ」

「・・・・・・・」

「・・言いたくなきゃムリと聞くような野暮なことはしないよ」

「安心して」と軽く笑ったノジコさん。俺はその言葉に本当に安心して、気づけばとんでもない質問をしていた。

「ノジコさんは、女の人好きになったりしますか?」

⏰:09/12/12 15:57 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#93 [ひとり]
予期せぬ俺の質問に固まったノジコさんは、そのまま鼻から煙をフスーっと吹き出した。

「すんません、息なり変な事聞いて」

気まずくなって謝る俺。

「何で謝るの?」

「いや、だって」

「全然変な事じゃないじゃん」

⏰:09/12/12 15:57 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#94 [ひとり]
「・・・・」

「あたし両刀だし」

「りょ!?・・それって」

「バイだよ」


思わぬカミングアウトに、今度は俺が固まった。

「驚きすぎだから」

何でもないように、実際ノジコさんにすればそれは当たり前の事なのかもしれないが、ケラケラと笑った。ノジコさん、よく笑う人。

⏰:09/12/12 15:58 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#95 [ひとり]
「マヂすか」

「マヂっす、引いた?」

「いや、全然。悩んだり、なかったんすか?」

「ん〜・・・ないといえば嘘になる・・かなぁ」


少し遠くを見るようにしてノジコさんは続けた。

「でも好きになったらさぁ、もう手遅れなんだよねぇ」

⏰:09/12/12 15:59 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#96 [ひとり]
今の俺に、 その台詞はズシンと響いた。

「俺もそう、思います」

「だろ?」

俺の顔を見て、満足そうに言った彼女は、また旨そうに煙草を吸う。

「はい」

俺もそれに習って短くなった残りに口をつけた。

再び見上げた雨上がりの空。雲間から一筋、光がさしている。

⏰:09/12/12 16:02 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#97 [ひとり]
【休憩】

第四話、完結でーす。
ひとりの書く話し、一話一話が短いんで読みごたえないかもですがすんません。

ノジコさんはなんとバイでありました。色んな人がいるんです。"みんな違って、みんないい"です。

シュワッチ!!

⏰:09/12/12 16:16 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#98 [明希゚J゚=アキ]
 
(゚A゚;)更新されとる!
三田さんと根岸の
コンビネーション……
最高っす(*´д`)ハァハァ

頑張って「ひとり」殿(゚-゚) 

⏰:09/12/12 17:31 📱:W65T 🆔:W3gCfKok


#99 [ひとり]
>>98

明希さん

更新しちゃったよ、ムハハ(´∀`)できるだけ砕けた感じの会話を心がけていきたいと思っとりますんで、宜しくです(´_ゝ`)

明希さんいぱい来てくれて感謝いたしております(土下座)

⏰:09/12/12 18:46 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


#100 [ひとり]
【第五話/居酒屋でハメ外し過ぎる奴らは大概スーツ】


「コルァ根岸先黒コルァ!!!!」

「三田さんそうゆう品のない絡み止めてもらえますか」

「うっせバカコルァ!!俺はまだお前の大罪を放免したつもりはないんじゃコルァ!!!!」


閉店後の三田さんはやけに巻き舌で絡んできた。

「つうか俺まだ剥けてもないんで」

「嘘つけコルァこのヤリチンインテリア気取りコルァ!!!!」

「・・・それは俺が家具みたいなヤツって事すか?それともインテリ気取りって言いたかったんすか?」

「・・・・・・・・コルァ!!!!!」

「"インテリ"って言いたかったんすね」

⏰:09/12/12 18:56 📱:F01B 🆔:ql9Mw/7E


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