こちら満腹堂【BL】
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#101 [ひとり]
「お黙り!!!!とにかく俺はまだお前を許しちゃいないんだよ!!!!!」
「・・・・・・・」
「オイ、声に出さなくても"面倒くせぇ"って顔に書いてあんぞ」
「あ、すんません」
「何その思いもしませんでした顔!!!!わざとらしいんですけど!!!!」
・
:09/12/12 19:01 :F01B :ql9Mw/7E
#102 [ひとり]
言って至近距離でメンチを切られた。俺のが頭一つ分くらいデカいもんだから、なんか見上げる形の三田さんはちょっとマヌケだ。
とか今言ったら"火に油"なので、そんなバカはしない。
「すんませんでした。でもまた生えてくるんだから・・」
現にもう三田さんの顎には新しいメンバーが堂々揃い組だ。
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:09/12/12 19:06 :F01B :ql9Mw/7E
#103 [ひとり]
「そういうこっちゃないの!!悪いと思ったら素直に謝る!!!それができるヤツはまだ伸びしろがあるって先生思う!!!!」
「母ちゃんになったり先生になったり、世話しないねあんた」
「このへそ曲がり!!!!」
話しが全然先に進まない。
確かに勝手に許可なく髭を剃ったのは悪かったが、絶対にその方がいいって心底思う俺は素直に謝れないでいた。
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:09/12/12 19:14 :F01B :ql9Mw/7E
#104 [ひとり]
【訂正】
× 世話しない
○ 忙しない
すんませんした
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:09/12/12 19:16 :F01B :ql9Mw/7E
#105 [ひとり]
「じゃーどしたらいんすか?」
途方に暮れる俺と、沸点をかるく突破した三田さんの間
「まぁまぁまぁまぁ」
言いながら入ってきたのは弘さんだ。
「お前熱くなりすぎ。根岸も、一言素直にごめんて言ってやれよ」
・
:09/12/12 19:19 :F01B :ql9Mw/7E
#106 [ひとり]
「"やれ"ってなんだよ!!俺はそんなんで謝られたって嬉しくもなんともねぇし!!!!」
「はいはい」
「流すな!!!!」
仲裁役を買って出てくれた弘さん。なのに俺は
嫉妬してる。
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:09/12/12 19:24 :F01B :ql9Mw/7E
#107 [ひとり]
なんか、弘さんに三田さんを取られたみたいな感覚。上手く言えないけど。
「ひろむも俺の事舐めてんだろ!!」
「舐めてねって」
「ひろむ」って呼ぶ三田さんの声が特別な感じがするのも、
ムカつく。
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:09/12/12 19:28 :F01B :ql9Mw/7E
#108 [ひとり]
嫉妬、疎外感、喪失感、また嫉妬。
気分が悪い。
「もういっすか?俺あがるんで」
早口で言ってバックルームへ向かった。うぜぇ。
・
:09/12/12 19:32 :F01B :ql9Mw/7E
#109 [ひとり]
何がうぜぇかって、こんな気持ちになってる俺自身が一番うぜぇ。
23にもなって、自分の気持ちもコントロールできないなんて。
バックルームのロッカーにゴツと額を打ち付けた。
「カッコ悪・・・・」
・
:09/12/12 19:35 :F01B :ql9Mw/7E
#110 [ひとり]
───
─────
着替えを済ませてホールに出ると、既に二人の姿はなかった。
「鍵・・・・」
しまった、俺は今日鍵を持っていない。閉めらんねぇじゃん。
今日鍵持ってんのは──
キッチンの当番ボードに「鍵」のマグネットが張ってあるスタッフを探すと「三田」「長谷部」とあった。
・
:09/12/12 19:42 :F01B :ql9Mw/7E
#111 [ひとり]
三田さんは気まずいから、長谷部さんに電話する事にする。
ケータイの履歴から、長谷部さんに発信。「呼び出し中」の表示画面をぼんやり見下ろしていると
「おいまだかよー」
声がして、店内に冷気と外の匂いが滑り込んできた。
・
:09/12/12 19:47 :F01B :ql9Mw/7E
#112 [ひとり]
「帰ってなかったんすね」
ケータイ片手に言う俺を
「当たり前だべ、お前鍵ねぇじゃんか」
不機嫌そうに睨む三田さんの顔は、鼻から下がグルグル巻きのマフラーに隠れて見えない。
・
:09/12/12 19:52 :F01B :ql9Mw/7E
#113 [ひとり]
「いいから早よ外でれ」
言われてケータイの液晶に目をやると画面はまだ呼び出し中。俺は素早くそれを切って、三田さんの開放ったドアに向かった。
─────
外には、まばらな人影。
「お前今日チャリは?」
・
:09/12/12 20:06 :F01B :ql9Mw/7E
#114 [ひとり]
「今日雨だったんで」
「したら今日電車?」
「はい」
「ふーん・・・」
さっきの興奮が嘘のような普通の会話。こりゃ弘さんにお灸を据えられたに違いない。
弘さんの言うことを、大概最後は素直に飲み込むっていう三田さんのパターンを知っている俺は、また少しモヤっとした気持ちになる。
・
:09/12/12 20:12 :F01B :ql9Mw/7E
#115 [ひとり]
「したらさぁ、送ってやろっか」
「え?」
突然の申し出だった。
三田さんちは、店からも近い。
「送ってやるよ、バイクあるし」
「・・・ありがとうございます」
・
:09/12/12 20:16 :F01B :ql9Mw/7E
#116 [ひとり]
「うん。てか腹へらね?」
本当にこの人の会話の展開は唐突だ。
「腹ですか、まぁボチボチっすかね」
「うん、じゃ作ってよ」
「はい?」
なにが「うん」なのか、てかなんで俺が飯を?三田さんに?
・
:09/12/12 20:20 :F01B :ql9Mw/7E
#117 [ひとり]
「したらさ、チャラにしてやるよ1206事件の事は」
いつの間にか三田さんの中で俺がしでかしたアレは、「1206事件」と命名されていたらしい。
「材料あるの?」
「あるよ、チャーハン食べたい」
「はい」
それで話しがまとまった俺達は、三田さんちに向かって歩き出した。
・
:09/12/12 20:26 :F01B :ql9Mw/7E
#118 [ひとり]
【休憩】
今晩は、ひとりです。
第五話も完結しました。焼き餅な根岸とよく喋る三田。さてさて三田んちでチャーハン作ることになった根岸ですが──話しは六話に繋がりますです!!
・
:09/12/12 20:29 :F01B :ql9Mw/7E
#119 [りんご]
またまたコメしてしまう
りんごです(´∀`)ノ
根岸と三田さんの
やり取り素敵ですね
根岸がんばー(´∀`)!
あ、感想板とか
つくらないんですか?
なんか話の途中に
コメしちゃうのが
悪い気がして(´Д`)
:09/12/12 20:48 :SH903i :ESdadqyQ
#120 [ひとり]
【第六話/パラパラ黄金炒飯】
「お邪魔します」
「どうぞ」
三田さんちに上がったのは初めてだった。
予想外に小綺麗なマンションの二階。
「取り敢えず洗面所借りていいすか」
「おう、てかキッチンで洗えば?」
「冷えたんでトイレも行きたいし」
「あぁ」
三田さんは「こっち」と言って俺を案内すると、先にリビングにいるからと言って突き当たりの部屋に消えて行った。
・
:09/12/12 20:55 :F01B :ql9Mw/7E
#121 [ひとり]
>>119りんごさん
キャーまたまた来てくれたんすね。う、嬉しくってなんだか視界が霞むぜ(うω;)←
感想板すか〜ひとりみたいなもんがそんなんおこがましくないすかね?
うちはここで書きつつコメ頂ける感じが気に入ってますが´∀`dbヒヒヒ
読む方にしたらやっぱ読みづらいですかね?
・
:09/12/12 21:02 :F01B :ql9Mw/7E
#122 [りんご]
ここにだけは頻繁に
来てますよ(`∀´)にひ
読みづらいと
読んでる方に
申し訳ない気がして
読んでるとついつい
コメしたくなるんです…りんごみたいなやつが厚かましいですね!
ごめんなさいです(´Д`)
:09/12/12 21:11 :SH903i :ESdadqyQ
#123 [ひとり]
セパレートタイプのバストイレ。用を足し、洗面台で手を洗う。視線を手から正面に向けると、鏡の中の自分と目が合った。
これはまた、予期せぬ展開。
「チャーハン食べたいって・・・」
可愛いなチクショー。
・
:09/12/12 21:11 :F01B :ql9Mw/7E
#124 [ひとり]
>>122りんごさん
いゃいゃコメ下さるとひとりかなりテンション上がるんで、これからもちょーだいませヨーアニョハセヨー(意味不)
ぢゃ他にも板別にあったがいいて方がいれば、作るかも・・・・です(´∀`)
・
:09/12/12 21:15 :F01B :ql9Mw/7E
#125 [ひとり]
>>123【つづき】
リビングでは、既に部屋着になってテレビを観る三田さんがいた。若手のお笑い芸人がベタベタの液体を頭から被って笑いをとっている。
「キッチン借ります」
背中に声をかけると、寝転んだ大勢で顔だけこちらに捻って
「お願いねー」
と一言。直ぐにテレビに視線を戻した。
・
:09/12/12 21:22 :F01B :ql9Mw/7E
#126 [ひとり]
「さてっと」
チャーハン作りは手早さと火力が勝負だ。そして冷や飯。これでなくっちゃ始まらない。
冷蔵庫の中味は─卵・人参・玉ねぎと万能ネギ、チャーシューはなかったから代わりにハムでいいか・・・
腕まくりをして、いざっっ!!!!
・
:09/12/12 21:38 :F01B :ql9Mw/7E
#127 [ひとり]
───
────
「うんめぇー!!」
一口ほうばった三田さんは声を上げる。胡座をかいた足をギュッと身体につける様に縮める様。また可愛いなんて思ってしまう。
今日、ノジコさんと話してから。俺は自分の気持ちに整理がついた気がする。整理っつーか、逃げない覚悟、っつーのかな。
・
:09/12/12 21:46 :F01B :ql9Mw/7E
#128 [ひとり]
男の三田さんに、特別な感情を持ってる自分を受け入れるのにもかなりの決心がいったけど、
そっから自分の気持ちを相手に隠さない決意をするのは、更に勇気がいるもんなんだな。
でももう、決めたから。
三田さんにしたら迷惑極まりない決心かもしれないが、一度ビシッと振ってもらわなきゃ俺だってにっちもさっちも行かないんだ。
・
:09/12/12 22:01 :F01B :ql9Mw/7E
#129 [ひとり]
「─ぎし──根岸!!!!」
名前を呼ばれていたらしい。
「はい、なんすか?」
「食えよ、冷めるべ」
「あぁ、うん」
それから暫くはテレビを見ながら無言でチャーハンを食べた。我ながら、上出来。
・
:09/12/12 22:03 :F01B :ql9Mw/7E
#130 [ひとり]
「あ〜酒飲みてぇな〜」
画面を見つめたまま、唐突に三田さんが呟いた。
「いやいや、送ってくれるんでしょ」
「ん〜そうなんだけどさ、美味いもん食ったら酒飲みたいべ?」
「そりゃそうだけど・・」
・
:09/12/12 22:40 :F01B :ql9Mw/7E
#131 [明希゚J゚=アキ]
|ω・`)来ちゃった←
僕、ひとり殿のファンに
なっちゃったみたいです!
あいらぶゆー(う3・`)です!←キモ
:09/12/12 22:44 :W65T :W3gCfKok
#132 [ちずる]
感想板作ったらどうですか(´・ω・`)?
コメがたくさんあって読みいくいです・・・
私もこの小説大好きなんで頑張ってください
:09/12/13 00:29 :SH905i :4PLFFtIA
#133 [ひとり]
:09/12/13 05:05 :F01B :Zg3JWHQc
#134 [ひとり]
:09/12/13 05:10 :F01B :Zg3JWHQc
#135 [ひとり]
>>130【つづき】
「したらもうさ、いくね?」
「はい?何がすか」
「いや、送るとかさ、いくねぇかって話し」
「いや待って下さいよ」
「泊まればいいじゃん、うち」
皿の上、半分くらい食べたチャーハンの山をスプーンで更に切り崩しながら三田さんは言った
・
:09/12/13 05:18 :F01B :Zg3JWHQc
#136 [ひとり]
「俺達もう、お泊まりした仲じゃん」
冗談で言われてるとわかるので
「おっさんが"じゃん"とか、禁止コードすれすれだな」
冗談で返した。
内心は、赤面症じゃなくてよかった。なんて、三田さんの無責任発言にドキドキしている。
・
:09/12/13 05:23 :F01B :Zg3JWHQc
#137 [ひとり]
「一々傷付くなお前の発言は!!」
オーバーに傷つきました顔の三田さんは、言いながらもチャーハンを食べる手を止めない。
「飯粒とんでるし、食うか喋るか、どっちかにして下さい」
いやしんぼな姿に、俺は笑った。
・
:09/12/13 05:30 :F01B :Zg3JWHQc
#138 [ひとり]
それから俺達は、酒をあけた。発泡酒やら、ビールやら、芋焼酎。ワインの栓を開ける頃には、二人ともかなり出来上がっていた。
頭にモヤがかかったような、身体が床から数ミリ浮いてるかのような、浮遊感。気分がいい。
俺達はいろんな話をした。
・
:09/12/13 05:35 :F01B :Zg3JWHQc
#139 [ひとり]
それは高校の修学旅行で夜の薄野(ススキノ)に繰り出して入った店で担任と鉢合わせた話しだったり、小学生の時カンチョウが流行ってやりまくってたら関節が外れた話しだったり、下らない、愉快な話しばかりだった。
気分がいい、本当に。
「つーかお前も話せや、さっきから俺ばっかじゃん」
・
:09/12/13 19:41 :F01B :Zg3JWHQc
#140 [ひとり]
今し方、ひったくりに間違われて70過ぎのばぁさんに町内一周追いかけ回された時の話しを終えた三田さんが言う。
「いや、俺そうゆう面白赤っ恥体験とかないんすよね」
「赤っ恥言うな!!」
「俺はいつでも全力投球なんだよ!!」と言ったあと、思い付いた素振りでニヤッと笑った。
「じゃーさ、根岸は代わりに初恋の話しにしとこう」
「しとこうって、勝手に決めないで下さいよ」
・
:09/12/13 19:41 :F01B :Zg3JWHQc
#141 [ひとり]
「いや決めたから、うん」
「"いや"とか言われてもこっちが"いや"だから」
「いいだろ減るもんじゃなしー聞いてみたいんだよ根岸のそうゆうの」
「・・・・・・三田さん、俺の事知りたいの?」
聞くと直球で返事が返ってくる。
「知りたいさー、お前私生活とか謎過ぎるもんよ」
酔った三田さんは素面の時以上に自由で、素面では考えられない程素直だ。
・
:09/12/13 19:42 :F01B :Zg3JWHQc
#142 [ひとり]
恋バナなんてと思ったが、これはチャンスかもしれない。
「いいけど、今好きな人の話しでもいいすか?」
「ウソ!?!?なんだよお前いるんじゃんかそうゆう人〜!!」
「俺の片思いですけどね」
「マヂでか!!??」
顔全体で驚いている、子供みたいな三田さん。
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:09/12/13 19:43 :F01B :Zg3JWHQc
#143 [ひとり]
「大マヂ」
三田さんの、視線を捉えた。俺は逃げないし、隠さない。
「真剣な表情(カオ)しちゃって〜羨ましいなコノコノ〜」
ただそれがこの人には今一届かないみたいだ。やっぱ、言葉にしなきゃ伝わらない。
俺は話し始めた。どんなにあんたが、好きかってことを。
・
:09/12/13 19:44 :F01B :Zg3JWHQc
#144 [ひとり]
【休憩】
今晩は、ひとりです。
第六話完結〜ですっひっぱりますわょワタクシ(`∀´)ケケケ
第七話も引き続き三田の家で展開されます。あしからず。むしろ根岸の独白で終わるかも!?
定まってなくてすまません;;中味は開けてからのお楽しみって事でご勘弁下さい。
・
:09/12/13 19:49 :F01B :Zg3JWHQc
#145 [ひとり]
【第七話/たこわさはテッパン】
その人は俺より少し年が上で、背は俺の少し下。
好きな事には必死こくくせに、興味ないことはにべもなく捨て置くタイプ。
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:09/12/13 20:14 :F01B :Zg3JWHQc
#146 [ひとり]
その人は自由でいつも元気がよくてよすぎてもう五月蠅いってジャッジに片足突っ込んでて。
勝手きままに見えて実は気い遣いなのにそれがわかりづらいちょっと損な人で。
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:09/12/13 20:15 :F01B :Zg3JWHQc
#147 [ひとり]
強がりの意地っ張りですぐつっかかってくるけど寝顔はガキみたいに幼くて。
酒が好きで飲むとすげぇ素直になって可愛い。
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:09/12/13 20:17 :F01B :Zg3JWHQc
#148 [ひとり]
芯の一本通った感じの考えや言動がまたギャップでたまにドキッとさせられて。
とにかく俺にないものを山ほど持っていて、いつも俺を惹きつける人。
そんな人。
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:09/12/13 20:21 :F01B :Zg3JWHQc
#149 [ひとり]
「そんな人です」
ぐだぐだとまとまりなく思った事、思い付いた順に口にした。
ふざけた合いの手の一つも入れられるかと思ったら、予想外に真剣な顔で俺の話に耳を傾けている。
「で、片思いしてます。以上」
言い切ってしまうと肩の辺りがフッと軽くなった気がした。
・
:09/12/13 20:26 :F01B :Zg3JWHQc
#150 [ひとり]
三田さんは前のめりだった上体を後ろに傾け、両手で支えた。足も、フローリングに投げ出されている。
「そっかー・・根岸も恋しちゃってんのかー」
言って俯いた。その口元が、笑っているのが見える。俺は思い切って聞いてみた。
「その人に、心当たりとかないすか?」
・
:09/12/13 20:31 :F01B :Zg3JWHQc
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