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#37 [ロー]
「寒っ」

コンビニまでの道を二人並んで歩きながら、兄貴が呟いた。

家からコンビニまでは自転車で10分、歩いたら30分くらいはかかる。
俺たちは何となく歩いくことにした。



「おまえさー」
寒そうにポケットに両手をつっこみ、目を細めて俺の足から頭のてっぺんまで眺めるようにして見て、兄貴が言った。
「背、伸びたよね」
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⏰:09/12/14 03:52 📱:SH706iw 🆔:KGTJhD/I


#38 [ロー]
「そうか?」

「今何センチあんの?」

「176」

「まぢ?去年は172って言ったぜ」

「そーだっけ?」

「うん。・・・そういえば、一年ぶりだよな!おまえ帰って来なさすぎだから!」

「部活あったしな・・・中々帰ってこれねえんだよ」

―これは嘘だ。

確かに部活は厳しくて毎日練習だ。だけど春休みや夏休みには3日くらいの休みはあった。帰って来よう思えば帰ってこれた。
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⏰:09/12/14 04:50 📱:SH706iw 🆔:KGTJhD/I


#39 [ロー]
「でもおまえ、もう引退しただろ?」

「したよ。だけど受験ないし、上あがるだけだから、高校もサッカー部入る奴は、練習強制なんだよね」


俺の学校は中学、高校、大学とエスカレーター式に、試験なしで進める。勿論、よっぽど成績が悪くなければの話だけど、そんな奴はまずいない。

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⏰:09/12/14 05:00 📱:SH706iw 🆔:KGTJhD/I


#40 [ロー]
少し間を空け、兄貴が聞いた。
「じゃあ、今回もすぐあっち帰るの?」

「ああ。3日から練習始まるし、年が明けたらすぐ帰るよ」

「まじかー」




また沈黙。
辺りは真っ暗で10メートルごとに、均一に並ぶ街灯の灯かりだけを頼りに歩いていた。
もう半分くらいは来ていた。

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⏰:09/12/16 03:13 📱:SH706iw 🆔:qdFCa2uY


#41 [ロー]
「おまえさー」
沈黙を破るように、兄貴がまた話しはじめた。
「やっぱりそのまま高校上がるの?」

「うん。受験めんどーだしな」

「おまえも南高校来たらいいじゃん」


南高校は兄貴が通っている高校だ。地元で1番頭のいい進学校だった。
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⏰:09/12/16 03:18 📱:SH706iw 🆔:qdFCa2uY


#42 [ロー]
「やだよ。南高サッカー部超弱いじゃん」

「確かに。この弱さはヤバイ」

そう言って兄貴が笑った。兄貴もサッカー部だ。
南高は進学校なので、部活にはあまり力を入れていない。
入学したての兄貴が、よく愚痴っていたのを思い出した。

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⏰:09/12/16 03:25 📱:SH706iw 🆔:qdFCa2uY


#43 [ロー]
−おまえも南高来たらいいじゃん。

ふと、さっき兄貴が言った『おまえも』という表現が気になった。

「おまえもって?」


一応聞きいてみるが、だいたい想像はつく。

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⏰:09/12/16 03:29 📱:SH706iw 🆔:qdFCa2uY


#44 [ロー]
「うーん・・・」
兄貴はこっちを見ずに言った。
「みきも来るんだ」





「へえ」

想像通りの答えに、少し戸惑いながらも、さも関心がないという風に言った。
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⏰:09/12/16 03:32 📱:SH706iw 🆔:qdFCa2uY


#45 [ロー]
そこでふいに、あることを思い出して聞いた。
「みきって南高行けるの?」

みきは決して、頭がいいとは言えない。どちらかと言えば、悪い方に入ると思う。みきが進学校の南高を受けることは、無謀な挑戦にしか思えなかった。

「はは。確かにに厳しいよ?だけど頑張ってる」

兄貴はそう答えながら、目を細め優しい顔をした。
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⏰:09/12/16 03:39 📱:SH706iw 🆔:qdFCa2uY


#46 [ロー]
この顔だ、と思う。この兄貴がみきを見る時、みきを思う時に見せる、この目を細めて優しい顔、この顔が俺は大嫌いだった。

「塾とか行ってんの?」

「いや、俺が勉強見てる。家庭教師ってやつ」
そう言って、兄貴がまた目を細めた。
「絶対、受からせるよ」


醜く汚いドロドロとした感情が、自分の中に流れるのを感じた。

⏰:09/12/16 04:57 📱:SH706iw 🆔:qdFCa2uY


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