triangle
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#41 [ロー]
「おまえさー」
沈黙を破るように、兄貴がまた話しはじめた。
「やっぱりそのまま高校上がるの?」
「うん。受験めんどーだしな」
「おまえも南高校来たらいいじゃん」
南高校は兄貴が通っている高校だ。地元で1番頭のいい進学校だった。
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:09/12/16 03:18
:SH706iw
:qdFCa2uY
#42 [ロー]
「やだよ。南高サッカー部超弱いじゃん」
「確かに。この弱さはヤバイ」
そう言って兄貴が笑った。兄貴もサッカー部だ。
南高は進学校なので、部活にはあまり力を入れていない。
入学したての兄貴が、よく愚痴っていたのを思い出した。
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:09/12/16 03:25
:SH706iw
:qdFCa2uY
#43 [ロー]
−おまえも南高来たらいいじゃん。
ふと、さっき兄貴が言った『おまえも』という表現が気になった。
「おまえもって?」
一応聞きいてみるが、だいたい想像はつく。
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:09/12/16 03:29
:SH706iw
:qdFCa2uY
#44 [ロー]
「うーん・・・」
兄貴はこっちを見ずに言った。
「みきも来るんだ」
「へえ」
想像通りの答えに、少し戸惑いながらも、さも関心がないという風に言った。
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:09/12/16 03:32
:SH706iw
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#45 [ロー]
そこでふいに、あることを思い出して聞いた。
「みきって南高行けるの?」
みきは決して、頭がいいとは言えない。どちらかと言えば、悪い方に入ると思う。みきが進学校の南高を受けることは、無謀な挑戦にしか思えなかった。
「はは。確かにに厳しいよ?だけど頑張ってる」
兄貴はそう答えながら、目を細め優しい顔をした。
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:09/12/16 03:39
:SH706iw
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#46 [ロー]
この顔だ、と思う。この兄貴がみきを見る時、みきを思う時に見せる、この目を細めて優しい顔、この顔が俺は大嫌いだった。
「塾とか行ってんの?」
「いや、俺が勉強見てる。家庭教師ってやつ」
そう言って、兄貴がまた目を細めた。
「絶対、受からせるよ」
醜く汚いドロドロとした感情が、自分の中に流れるのを感じた。
:09/12/16 04:57
:SH706iw
:qdFCa2uY
#47 [ロー]
そう言い切る、兄貴が憎いと思った。
俺が黙っていると、兄貴がまた話し始また。
「おまえがまたあっちの高校行くって聞いたら、みき淋しがるだろ―」
「そんなわけないじゃん」
兄貴が言い終える前に、俺は兄貴を見ず、冷めた声できっぱりと言い切った。
兄貴はもうそれ以上は、何も言わなかった。
そうだ、そんなはずはない。
俺は自分に言い聞かすように、また心の中で繰り返した。
みきは俺がいなくても、兄貴がいれば淋しいはずがない。
―――いつまでも3人一緒じゃいられない。
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:09/12/16 05:02
:SH706iw
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#48 [ロー]
再び沈黙の時間が流れる。
もう遠くの方に、無駄に明るいコンビニの明かりが見えていた。
「おまえさー」
再び沈黙を破るように、兄貴が口を開いた。
三度目だ、とぼんやり思いながら煙草に火をつけ、続く言葉を待った。
今回は今まで以上に間を空け、兄貴が続けた。
「―――みきのこと好きだろ?」
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:09/12/16 05:03
:SH706iw
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#49 [ロー]
「え?」
びっくりして煙草を落としかけた。急いで兄貴を見る。兄貴はまっすぐ前を向き、こっちを見ていない。
何となく、最初から兄貴は俺にこれが聞きたかったのだ、という気がした。
「そんなわけないだろ?」
俺は何とか冷静さを保ち、笑いながら答えた――つもりだったが、自分でも笑えていないのがわかった。
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:09/12/16 05:05
:SH706iw
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#50 [ロー]
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「俺も好きだよ」
そんな俺を無視し、兄貴がこっちをまっすぐ見て言った。
――そんなことは知っている。兄貴がみきを好きなこと、そして俺に遠慮して告白しないでいることを、俺は知っている。
「――俺、彼女いるし」
俺をまっすぐに見つめる、兄貴の目に全てを見透かされているような気がして、俺は思わず呟いていた。
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:09/12/16 05:07
:SH706iw
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