浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#98 []
 
引き下がってたまるか‥!!



「経験‥あります!!」


色がましい声をかき消すように
顔にかかった煙を吹き飛ばす様に


大声で言ってしまった

⏰:10/01/28 15:13 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#99 []
 
"ほぉう"と言って
目を細めて赤い唇を吊り上げた

「それなら‥
今晩から早速、仕事だよ」




げ‥いきなり今晩から?

辺りはもう急かすかのように
夕日色に染まっていた

⏰:10/01/28 15:17 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#100 []




「んふ‥もう‥、
あぁん‥まだ駄目よぉ」

「まだ駄目なのかい?
此処はこんなに‥」



‥‥‥早くも、


消 え た い !!

⏰:10/01/28 15:20 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#101 []
 
襖の向こうから聞こえる声
耳を塞いでも聞こえてくる

「声で・か・す・ぎ!!」

小声なりに強めに
襖に向かって叫んでみた

「えーっと‥
まずは、お客さんにお酒注いで
それからー‥笑顔を忘れない
初めてのお客さんには
積極的に詰め寄る‥

って、
あたしも初めてなんだけど」

⏰:10/01/28 15:24 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#102 []
 
初めてって痛いって聞くけど‥
まぁ‥そうは言ってもねぇ?

そーんなに、
泣くほど痛いはず‥ない


「‥よね、」

ごくりと唾を飲み込み
手汗を着物で拭う

⏰:10/01/28 15:26 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#103 []
 
鏡に映る自分の姿

いつもとは違う
あたしじゃないみたい‥

真っ赤な着物に山吹色の帯
真っ赤な紅に綺麗なかんざし


「初めて抱かれるって‥
どんな感じ、なのかなぁ」

鏡の向こうの自分に投げかける

初めてくらい愛する人に‥
捧げたかったなぁ

⏰:10/01/28 15:29 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#104 []
 
「香夜、お客様がいらしたよ」

さっきとは打って変わって
商売様の笑顔の京さん

声は一段、いや二段くらい
高くなっている

"香夜は、今日からなんですよ
手加減してやってくださいな"

にやりと笑って襖を閉めた


ついに‥来てしまった

⏰:10/01/28 15:33 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#105 []
 
「い‥いらっしゃいまし」

思わず声が上擦った

正座をして深く頭を下げる
このまま‥頭を上げたくない
そんな気持ちに駆られる


「可愛らしい方です、ね
頭をお上げくださいな」


あぁ何か落ち着く声‥
この人なら何とか‥

⏰:10/01/28 15:37 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#106 []
 
「ひぃぃぃいいぃぃ!!!!」


頭を上げて驚いて腰を抜かした

なんで‥なんで‥

「い‥壱助さん?!」


紛れもなく
あたしの目の前にいる男は
今朝喧嘩した壱助さんである

「どうして‥こんな所に?!」

⏰:10/01/28 15:39 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#107 []
 
紛れもなく、紛れもなく
この美しさは壱助さん

「おや、おや
どうして‥名前をご存知で?」

この調子も壱助さん

「どうしてって‥香夜ですよ」

「あぁ‥香夜さん
お綺麗になられました、ね」

分かってたくせに‥わざとらしい

⏰:10/01/28 15:43 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


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