浮 き 世 の 諸 事 情 。
最新 最初 全
#216 [笹]
「お願いします、ね」
そう言うと今度は
お婆さんに手を引かれて
襖の奥へ
「ちょ‥壱助さん?!」
壱助さんは
こちらに来る様子もなく
側にあった椅子に腰を掛けた
:10/01/30 20:05 :D905i :weUwJGLs
#217 [笹]
次の瞬間壱助さんの姿が消え
ばんっと襖が現れた
‥な、何でぇえ?
「あの‥何を‥」
またこの人も
あたしの存在無視ですか‥?
:10/01/30 20:05 :D905i :weUwJGLs
#218 [笹]
お婆さんは物差し片手に
あたしを睨み付ける
それはもう‥殺されそうなくらい
「あんた‥年は?」
しゃがれ声が沈黙を破る
「じゅ‥十八‥です」
:10/01/30 20:06 :D905i :weUwJGLs
#219 [笹]
"へぇ"と無関心な声を出し
日焼けした黒い手が
こちらに物差しをあてがう
こっちが喋ろうもんなら
キッと睨み付けられる
一体何なんですか?
:10/01/30 20:06 :D905i :weUwJGLs
#220 [笹]
「きゃっ‥何するんですか?!」
突然胸を鷲掴みにする
小さな骨張った手
「‥中の下だね」
壱助さんと同じ捨て台詞。
反論する間もなく
お婆さんは何か書き留め
算盤をはじき出した
:10/01/30 20:07 :D905i :weUwJGLs
#221 [笹]
"こんなもんかねぇ"と呟くと
「壱助!!ちょっと来な!!」
壱助さんを呼び捨て‥
どんな関係‥?
すると壱助さんが
襖の向こうから現れ
あたしに目もくれずに
お婆さんの元へ
:10/01/30 20:08 :D905i :weUwJGLs
#222 [笹]
「こんなもんでどうかねぇ?」
さっきの紙を壱助さんに渡す
少し顔をしかめて
こしょこしょと耳打ち
「まぁ、色男の言うことにゃあ
聞かない訳には‥」
こしょこしょ
こしょこしょ
:10/01/30 20:08 :D905i :weUwJGLs
#223 [笹]
「これは、有り難い」
「2、3日したらまた来な」
話は終わったのか
あたしは一切事情を知ることなく
また手を引かれる
:10/01/30 20:09 :D905i :weUwJGLs
#224 [笹]
顔色一つ変えない壱助さんに
あたしは事情を聞かなかった
そうじゃない。
‥聞けなかったんだ
:10/01/30 20:10 :D905i :weUwJGLs
#225 [笹]
あの耳打ちから漏れた言葉
確かに聞こえたのは
"お金"のやり取り
:10/01/30 20:11 :D905i :weUwJGLs
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194