浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#489 []
 
「彼を助けて、その後
貴女が養うとでも‥?」

「それは‥」

「見知らぬ土地に放されても
‥彼は死に至るでしょう。
貴女は、彼の家庭の事情を
全てご存知なんですかい?
彼はあんな母親でも、
慕っているかも‥しれない」

何も言い返せない自分に
腹が立った

⏰:10/02/08 20:21 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#490 []
 
「中途半端に
情に流されて動いては‥
却って苦しめることになる。」

だけど‥だけど
あの子死んじゃうよ‥

「今此処で
あの母親に何か言えば
‥彼は本当に殺されます、よ」

うずくまる少年が
ちらりとこちらを向いた

⏰:10/02/08 20:21 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#491 []
 
助けを求めるでもない
憎しみも悲しみも
何も訴えてこない
曇った目をしていた。



恐怖をも覚えるほど

一番辛くさせる眼差しだった

⏰:10/02/08 20:22 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#492 []



‥雨は止まない

さっきの少年の目が
頭に焼き付いて離れない

あたしには
何もできないと言う悔しさ
一方的に押しつけてしまった
自分の感情。


もうわからないよ‥壱助さん

⏰:10/02/08 20:23 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#493 []
 
「死んじゃったら‥
死んじゃったら‥どうしよう」

ぶわっと泣き出し
顔を両手でふさいだ

これは不安よりも恐怖で
自分の無力さへの
憤りでもあった

たくさんの思いが
複雑に絡みうめき
涙になって流れてゆく

⏰:10/02/08 20:23 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#494 []
 
「香夜さん‥」

畳を擦ってこちらに寄り添い
後ろから優しく
壱助さんが抱きしめた

「‥あたし‥もう」

濡れた体を
優しく撫でるように
手拭いをあてがう

⏰:10/02/08 20:23 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#495 []
 
「もう、何も見なくていい‥
何も考えなくていいんです、よ」


いつもより暖かい
壱助さんの手が
あたしの目を覆った。

⏰:10/02/08 20:24 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#496 []
 
「何も‥。

しかし、あの目を
一生忘れてはいけません、ぜ
あの目を忘れた瞬間‥

貴女は彼を‥
見殺しにした事となる。」

⏰:10/02/08 20:25 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#497 []
 
人は本当に無力で
結局は願うことしかできない。

そのもどかしさが
絡みついてうめき声を上げる


それでもこの願いが
少しでも、たった一瞬でも
誰かを救えると言うのなら

あたしは一生
願うことをやめないでしょう

⏰:10/02/08 20:25 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


#498 []
 

―‥そして
"生きることを諦めない"と
心に誓うのです。


_

⏰:10/02/08 20:26 📱:D905i 🆔:hMEINdHE


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