浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#837 []
 
欲しいものなど‥
ないんですが、ね


「"あの子"のこと‥
慕っていらっしゃるの?」

さぁ‥
今まで出逢った方々と

違いますからね、香夜さんは

⏰:10/03/11 13:37 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#838 []
 
「さぁ、ね」

「それなら‥」


随分と積極的だ‥

華奢な手が此方の手を捕らえ
自らの胸元に添えた

「おや、おや」

「私を‥見て頂けます?」

⏰:10/03/11 13:38 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#839 []
 
そのようにされても
何も‥

私の心は何処へやら
つまらぬ話です、よ


「そうです、ね
今夜は‥そうしましょう、か」

_

⏰:10/03/11 13:38 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#840 []
 
空になった体が
娘の小さな体に覆い被さる

嬉しそうにそして恥じらい
睫を伏せて身を任せ
素直に倒れた朱色の着物


「ずっと‥夢でしたの」

この笑みは
私に向けられたものなのか

⏰:10/03/11 13:39 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#841 []
 
はたまた‥
香夜さん、
貴女に勝ったという
嫌らしいもの‥なのか

何だか‥わかりゃしない

仕込んできたかと言うくらい
緩く結ばれた帯を
するりと解く
手慣れた自らの指に

この上ない嫌悪感を抱いた

⏰:10/03/11 13:40 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#842 []
 

欲しいものなど
‥ないんですが、ね


触れた肌、濡れた吐息

何を頼りにすれば‥良いのか


強請る声、汚れた水音

貴女の透明感が身に沁みる

⏰:10/03/11 13:40 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#843 []


今宵は満月

隣で寝息を立てる娘に
伸ばした腕をするりと抜き

そのまま布団を抜け出した


雑に浴衣を羽織り
力強く帯を締める

体に染み着いたような香りを
かき消すかのように
背中を夜風に当てた

⏰:10/03/11 13:41 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#844 []
 
「―‥、」

久々に煙管に手を伸ばし
全てを洗い流そうと
煙を体に取り込んで


‥帰ってこない、と来りゃぁ

"やられっちまった"‥か


得体の知れない感情を
煙に混ぜて満月を隠した

⏰:10/03/11 13:42 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#845 []
 
一番に恨んでいるのは
‥己の身、ですがね

空中分解したそれを
未だ直視できないでいる


「貴女を‥
濁らせたく、ない故に」


どうにもこうにも

‥気付いてはならぬ思いが先回り

⏰:10/03/11 13:44 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#846 []
第二八章 【煙に、染めて】
>>831-845
*。*。*。*。*
壱助さんが自分を見失ってます
どこまでも冷静だけど
感情的になるべきとこでも
冷静なのがもどかしい(゚-゚)

好いてる方には
簡単に手を出さない主義です、よ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/03/11 13:49 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


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