浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#948 []



「‥あれ?此処って」

此処はとある旅館
何故旅館かって?
それは‥

「香夜さん‥置いて行きます、よ」

このお方の気まぐれです

⏰:10/03/22 11:49 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#949 []



それはつい昨日の事
夜空を眺めながら彼は言った

『明日は晴れ、ですね』って

空が澄み切っていたのか
神様の声が聞こえたのか
ただの勘なのかわからないけど

『では‥出掛けましょう、か』

⏰:10/03/22 11:49 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#950 []
 
本当に気まぐれよ
晴れていたって
いつもお茶飲んで動かないのに

しかもただの散歩かと思ったら
旅館を予約したとか何とか‥
いつ予約したのよ‥はぁ

あたしは全然構わないけど

⏰:10/03/22 11:50 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#951 []
 
「立派‥ですね」

こんな豪勢な旅館に泊まる
お金は何処から湧いてでてくるの

本当に‥不思議な人


離れ街にあるこの旅館は
場違いなほど立派で
庭園の木々や花はもちろん
丁寧に手が行き届いてて
入り口には大きな門がある

⏰:10/03/22 11:50 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#952 []
 
しっかりとした柱や骨董品が
あたしの目を奪う
廊下は埃一つ見当たらない
床に自分が映ってる‥


「ようこそ、いらっしゃいました」

女将さんらしき人が
三つ指をついて頭を下げた

なんだか緊張する‥

⏰:10/03/22 11:51 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#953 []
 
ぎこちなく頭を下げて
横目で壱助さんを伺えば
手慣れた様子で笑みを浮かべ
綺麗にお辞儀した

指先まで、爪の先まで
美しいのだから
隣にいるのが苦痛です

「さて、と」

色男が顔を上げて呟けば
色を召した仲居さんたちの頬

⏰:10/03/22 11:51 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#954 []
 
壱助さんがいれば
いつだって春が来る
色んな意味で‥ね

「行きます、よ」

春になってもこの手は
ひやり、あたしの手首を冷ます
だけど捕まれるたび
そこからじわり熱を帯びてしまう

いつまで保つかな‥あたしの心臓

⏰:10/03/22 11:52 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#955 []



「ひろっ‥!!」

部屋間違えてないですか?
二人部屋にしては
空間を持て余しすぎ‥

目の前に広がる空間は
とても洗練されていて
それでいて上品な‥

置いてあるもの全てが
とても高価に見える

⏰:10/03/22 11:53 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#956 []
 
この座布団さえ‥
座るのを躊躇ってしまうほど


「ほぉう‥」

興味深そうに
部屋の隅々を見渡し
壁にもたれて外を眺めた
足袋が擦れる音が心地いい

どことなく楽しそうな壱助さん

⏰:10/03/22 11:53 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


#957 []
 
と言うかお花見の日以来
‥ご機嫌な気がする

いつか雷が落ちなきゃいいけど

「壱助さん?
何で急にこんな‥」

「失礼致します。
お茶を‥お持ちしました」

男性の声と共に
襖が丁寧に開けられた

⏰:10/03/22 11:54 📱:D905i 🆔:b7M9uhWk


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