浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#105 []
 
「い‥いらっしゃいまし」

思わず声が上擦った

正座をして深く頭を下げる
このまま‥頭を上げたくない
そんな気持ちに駆られる


「可愛らしい方です、ね
頭をお上げくださいな」


あぁ何か落ち着く声‥
この人なら何とか‥

⏰:10/01/28 15:37 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#106 []
 
「ひぃぃぃいいぃぃ!!!!」


頭を上げて驚いて腰を抜かした

なんで‥なんで‥

「い‥壱助さん?!」


紛れもなく
あたしの目の前にいる男は
今朝喧嘩した壱助さんである

「どうして‥こんな所に?!」

⏰:10/01/28 15:39 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#107 []
 
紛れもなく、紛れもなく
この美しさは壱助さん

「おや、おや
どうして‥名前をご存知で?」

この調子も壱助さん

「どうしてって‥香夜ですよ」

「あぁ‥香夜さん
お綺麗になられました、ね」

分かってたくせに‥わざとらしい

⏰:10/01/28 15:43 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#108 []
 
「‥あたしの事
様子、見にきたんですか?」

ふてくされ気味に一応酒を注ぐ

「様子‥
さぁ何の事、でしょうね」

あの怪しい笑みを浮かべて
酒を手に取る


お隣は‥
どうやら"行為"に至ったらしい
色がましい声が耳にへばりつく

⏰:10/01/28 15:47 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#109 []
 
沈黙‥と行きたいとこだけど
お隣の声の"おかげ"‥
"せい"で沈黙が破られる


―‥気まずい。


「香夜さん‥」

やっぱり素直に‥

「本当に‥」

謝ろうかな‥ぁ

⏰:10/01/28 15:50 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#110 []
 
「お綺麗です、ね」


頬に冷たい感覚
あの綺麗な手で頬を包み込まれた

壱助さんの目が
いつもとどこか違う‥


「い‥壱助さん?」

「お美しい‥」

「壱助さん‥?ちょっと‥」

⏰:10/01/28 15:52 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#111 []
 
あっという間に
壱助さんの顔がこちらに迫る
その向こうには天井が見える

壱助さん‥ちょっと待ってよ
たった一杯で酔ってるの?



「壱助さん‥
からかうのは止めてください」

引きつる笑顔を向けても


無駄だった

⏰:10/01/28 15:55 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#112 []
 
やだ‥

「こんなに‥胸元を開けて」

「や‥」

細くて白い指が胸元を這う

「積極的です、ね」

「壱助さん‥」

華奢な手でも力は強かった
上で捕らえられた両腕が
びくともしなかった

⏰:10/01/28 15:59 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#113 []
 
「まだ生娘となれば‥」

「いやぁ‥」

「こちらも力が入ります、ね」

「止めて‥壱助さん」

「そんな顔も、惹かれますねぇ」

首筋にねっとりと這う舌
思わず体が飛び跳ねる

⏰:10/01/28 16:02 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


#114 []
 
最初から‥
このつもりだったの?

最初から‥
喰らうつもりだったの?


ねぇ壱助さん‥
あたし、わかんないよ

せっかく‥せっかく
心が開ける人ができたのに


壱助さん‥
そんな簡単に信じたあたしが
馬鹿だったのかな‥、

⏰:10/01/28 16:04 📱:D905i 🆔:Ad90U/U2


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