浮き世の諸事情｡

　
｢でも‥でも壱助さん
あたしを‥売るんでしょう？!｣

そういい終わる前に
"馬､鹿"と口元を緩ませて
それをあたしに差し出した

｢一ヶ月､経ったので‥
"所有物"から昇格､ですよ｣

　
｢‥壱助さん
あたしのために‥？｣

睫毛を伏せただけで
返事はなかった

だけどわかったよ
"早く着てくだせぇ"と
頭をぽんと撫でてくれた

一ヶ月たてば変わりますか？
壱助さんの声が
柔らかく感じたの

：
：

｢丁度良い‥ようですね｣

その着物は袖の長さも
丈の長さも胸周りも腰周りも
全部がぴったりで

そこでやっと
"あぁそう言うことか"って
あのお婆さんを思い出す

と同時に
壱助さんを疑った自分を恥じる

　
｢壱助さん‥
あ､ありがとう‥ございます｣

これでもかと言うくらい
頭を深く下げた

｢本当に‥疑い深い人です､よ｣

そしてまたお茶を啜る
いつもの壱助さん

　
｢‥ごめんなさい｣

｢何故､謝る｣

この人は大人だと思う
あたしの知ってる大人なんかより
ずっとずっと大人だ｡

｢‥ごめんなさい｡｣

｢売り飛ばされたいです､か｣

｢‥い､嫌です｣

　
｢壱助さんっあたし‥!!｣

何処までも貴方は
期待を裏切りやしない｡

｢‥約束しましょう｡｣

何処までも貴方は優しくて

｢貴女を独りにしない､と｣

頭があがらないのです｡

第九章【守られて】

＊｡＊｡＊｡＊
ちょっぴり甘い話←
ちょっぴり甘い壱助さん

"所有物"から昇格した香夜ちゃん
何に昇格したのかは謎ですがｗ
壱助さんの偉大さが身に滲みます

甘壱助さん
どんな気持ちで言ったんだか(笑)
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

　
嫉妬‥､
私は餓鬼に‥興味はないです､よ

強いて言うなら
‥"保護者"ですか､ね

"親の心､子知らず"

　
｢いやぁあぁあああ!!｣

どんなに暴れても
壱助さんの力に勝てるはずもなく

｢少し黙ってくれや､しやせんか｣

ぐいっと片手であたしの両腕を掴み
せっせとそれを帯で縛り上げる

前の帯がもういらないからって
そんな事に使わなくても‥