浮 き 世 の 諸 事 情 。
最新 最初 全
#580 [笹]
いけないことに
気がついてしまった気がして
もう一緒に居られないって
‥そう思ったの
できるならこんなこと
したくなかった‥
離れたくなかった
:10/02/14 22:38 :D905i :AHFqEp8k
#581 [笹]
意地悪だけど根は優しいし
あたしを認めてくれたから
あたしを助けてくれたから
「はぁ‥」
もう泣きそうだ
家出てから
泣かないって決めたのに‥
壱助さんといたら
すぐ泣いちゃう
‥居心地いいんだよね、それだけ
:10/02/14 22:39 :D905i :AHFqEp8k
#582 [笹]
「猫ぉ‥
これからどうしよう」
野良猫がすり寄ってきた
そんなに可哀想に見えたかな
「‥行くあてがないや」
飢え死にするかも‥
んう‥壱助さぁん
「ミャァウ」
真っ黒な瞳が
こちらを覗き込む
:10/02/14 22:40 :D905i :AHFqEp8k
#583 [笹]
「お前も‥独りかぁ」
思いっきり撫でてやる
毛の下から伝わる暖かさに
何故か胸が苦しくなった
‥また遊女屋かなぁ
:10/02/14 22:40 :D905i :AHFqEp8k
#584 [笹]
「‥香夜ちゃん?」
「‥伊代さぁああぁん!」
:10/02/14 22:41 :D905i :AHFqEp8k
#585 [笹]
:
:
「でもさぁ香夜ちゃん?
壱助さん心配するだろう?」
不安そうな顔で
伊代さんはお茶を差し出した
「でも‥
去るのもあたし次第だって
壱助さん言ってたし‥」
「んん‥まぁねぇ
あの人も‥」
そう言って眉を下げて
緩く微笑んだ
:10/02/14 22:41 :D905i :AHFqEp8k
#586 [笹]
「‥?」
「香夜ちゃんと"同じ"さぁ」
「同じ?」
意味深な言葉を残し
頬杖を尽きながら団子を食らう
伊代さんはいつも幸せそう
:10/02/14 22:42 :D905i :AHFqEp8k
#587 [笹]
湯飲みの中をぼうっと覗き込む
深い緑色の奥に
自分のみっともない顔が
ぼやけて映し出された
お茶‥まだ大丈夫だよね
この前買ってきたばかりだし
「‥はぁ」
体に染み付いた習慣が
余計虚しくさせて、ため息
:10/02/14 22:42 :D905i :AHFqEp8k
#588 [笹]
「でも、どうするんだい?
これから一人じゃあ‥」
「んー‥」
出された団子に目もくれず
緑色をじっと見つめる
「あたしんちでよけりゃあ‥
汚いけど、使うかい?」
「え?!いいんですかっ?」
:10/02/14 22:43 :D905i :AHFqEp8k
#589 [笹]
思わず身を乗り出した
しかしすぐさま冷静になり
この朗報の穴に気づく
「でも‥壱助さん
来ますよね‥此処」
見つかっては
合わせる顔がないの
もう会わない
迷惑かけないって決めたから
:10/02/14 22:43 :D905i :AHFqEp8k
★コメント★
←次 | 前→
トピック
C-BoX E194.194