浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#640 []
 
「香夜さん‥あんただけだ」

「へ‥?」

顔を首元に埋め
低い声が体に響いた

ぎゅうっと力を込めて
少し苦しいくらいに
強く抱きしめられて

今までにないくらい
こんなに誰かに求められたのは
初めてなのかもしれない

⏰:10/02/15 21:05 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


#641 []
 
目の奥が熱くなる


この言葉の意味が
あたしの思う意味じゃなくても
がっかりしない

むしろ気にならない

言葉以上に伝わる温もりを
あたしは信じたいです

⏰:10/02/15 21:06 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


#642 []



しばらく動かず何も言わず
聞こえるのは
整った壱助さんの呼吸と
自分の忙しない鼓動

どうしたらその呼吸が
乱れるますか?
どうしたら頬を赤く染めますか?

仕様もないことばかり
最近では考えてしまうの

⏰:10/02/15 21:06 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


#643 []
 
「壱助さん‥?」

もしかしたら
寝ているのかもしれない

‥それくらい静かで

「あの、
壱助さん‥あたしの事‥」

「香夜さん‥」

「は‥はい」

⏰:10/02/15 21:07 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


#644 []
 
さっきから
まともに会話ができていない

全てが何処かぎこちないの


「あんただけだ‥」

「壱助さん‥それは‥」

「こんなに、
子供じみた事をするのは‥」

「子供っ‥?」

⏰:10/02/15 21:08 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


#645 []
 
やっぱり
あたしの予想通りにはいかない

ぐいぐいと力が強まれば
いつの間にか
呼吸を乱す原因になり


「壱助さ‥くる、苦ひいっ」

「本当に貴女と言う人は‥」

⏰:10/02/15 21:08 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


#646 []
 
その内背骨が
粉々になりそうなほど

「痛い‥いたっ‥
今ぼきって!ぼきっていった!!」

「"所有物"と言う分際で‥
此方が緩く扱いだしたのを
良いことに‥ねぇ」

「壱助さん!!ぐぇっ
本当に‥本当に砕け‥っう」

⏰:10/02/15 21:09 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


#647 []
 
めりめりと
背中からひしめく音

今回ばかりは
やっぱり一本くらい犠牲に‥


「随分と、度胸がお有りで‥」


それなのに
耳元で囁く色っぽい声に
全身が熱を帯びてしまう

⏰:10/02/15 21:09 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


#648 []
 
「本当に‥ごめんなさ‥うぃ
もう‥こんなっ‥んぐ!!」

この勢いに乗って
内蔵が破裂しそうな気もしてくる

「それとも何ですか‥
余程、自虐行為がお好みで?」

何故でしょう壱助さん
人を戒めてる時でさえ
冷静さは保ちつつ
それでいて色めいて

⏰:10/02/15 21:10 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


#649 []
 
もはやその冷静さは‥冷酷。


「もう二度と‥離れませんーっ!!
だから許してくだ‥」


すると呆気ないほどに
するりと手放され
みっともなくそのまま
倒れ込んだ

多少背中が痛むものの
‥背骨さん健在です!!

⏰:10/02/15 21:10 📱:D905i 🆔:4vzAUNjI


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