浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#844 []
 
「―‥、」

久々に煙管に手を伸ばし
全てを洗い流そうと
煙を体に取り込んで


‥帰ってこない、と来りゃぁ

"やられっちまった"‥か


得体の知れない感情を
煙に混ぜて満月を隠した

⏰:10/03/11 13:42 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#845 []
 
一番に恨んでいるのは
‥己の身、ですがね

空中分解したそれを
未だ直視できないでいる


「貴女を‥
濁らせたく、ない故に」


どうにもこうにも

‥気付いてはならぬ思いが先回り

⏰:10/03/11 13:44 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#846 []
第二八章 【煙に、染めて】
>>831-845
*。*。*。*。*
壱助さんが自分を見失ってます
どこまでも冷静だけど
感情的になるべきとこでも
冷静なのがもどかしい(゚-゚)

好いてる方には
簡単に手を出さない主義です、よ
bbs1.ryne.jp/r.php/novel/4676/

⏰:10/03/11 13:49 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#847 []


「あの‥
ご迷惑をお掛けしてしまい
本当に申し訳ありませんでした」

額を畳にこすりつけ
深々とお詫びをした


しかし此処は
男性の住まいらしき所

‥やっぱりそんな
一筋縄ではいかないかな?

⏰:10/03/11 13:50 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#848 []
 
壱助さんが
あんな破廉恥なこと言わなければ


はぁ‥。

頭に浮かぶ貴方の隣に
あの娘さんが寄り添って
少し‥不愉快なのです

⏰:10/03/11 13:51 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#849 []
 
「頭を御上げください
そんな、お気になさらず‥」

見た目通り優しい方で
暖かくて柔らかい

目尻に出来た笑い皺が
人の良さを引き立てた


「本当に‥
あたしのこの性格のせいで」

⏰:10/03/11 13:52 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#850 []
 
お詫びしようにも
壱助さんがそばにいないあたしは
無能で一銭も持ってない

ただ頭を下げるしかできないのだ


「これも何かの縁ですから‥」

初めて会った気がしない
其れほどの安心感

⏰:10/03/11 13:52 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#851 []
 
「あたし‥香夜と申します!!
お金もないし、色気もないけど
お裁縫は得意なので‥
お着物の解れなど有りましたら
‥な、何なりと!!」

案の定
男性からはクスッと笑い声


本当にあたしって役立たず
俯き指で畳の網目をなぞった

⏰:10/03/11 13:53 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#852 []
 
「自分は"幸太郎"と申します
年は‥香夜さんより
一回りくらい上です、たぶん
不器用なもんで‥
裁縫は苦手ですね」

柔らかい笑顔を浮かべた

一回りくらい上なら
お父さんと同じくらいかな‥
生きてたら‥、
幸太郎さんと同じくらい

⏰:10/03/11 13:53 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


#853 []
 
催眠術にかかったように
頭の中がぽーっとした

もう与えられることのない
父からの愛情を‥
今目の前に見てしまう


「今は、一人暮らしですが‥
自分には妻と娘が居ました。」

何故かその時胸が泣いた

⏰:10/03/11 13:54 📱:D905i 🆔:dGcWPyzM


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