記憶を売る本屋さん
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#317 [我輩は匿名である]
「…おかえり、今日子」
薫の声が震えている。
あの日、仕事を早く終わらせて帰ったが、今日子は家にいなかった。
警察から「奥様と思われる方が亡くなった」と連絡が入ったのは、優也が帰ってきた1時間後の事だった。
優也はそれまでずっと、今日子の帰りを待っていたのだ。
響子はその一言に、思わず椅子から立ち上がって薫を強く抱き締めた。
「…うん、…ただいま」
肩や左胸に痛みが走る。が、薫はそんな事はもうどうでも良かった。
:10/04/05 21:55
:N08A3
:W6VDeUwI
#318 [我輩は匿名である]
薫も右手を響子の背中に添える。
やっと、帰ってきてくれた。
薫の目から、一筋の涙が流れ落ちた。
:10/04/05 21:56
:N08A3
:W6VDeUwI
#319 [我輩は匿名である]
:10/04/05 22:05
:D905i
:fxbTxKTM
#320 [ま]
よかったのぅ(;_;)

:10/04/05 23:23
:P04A
:EQ1YcyFU
#321 [我輩は匿名である]
>>319さん
アンカーありがとうございます

>>320さん
薫ちゃんやっと報われましたね(*´∇`)
薫編(?)はこれで一段落です


:10/04/06 08:15
:N08A3
:Q2X/nrjY
#322 [我輩は匿名である]
直人は病室の前で、何となく入りづらくて悩んでいた。
結局あの後、救急車のついでに警察までやってきて、いろいろと状況を説明され、
まるで事件のようになってしまい(まぁ事件は事件なのだが)、
怜奈も警察に連れて行かれて、その後どうなったのか知らない。
今日の朝刊に小さく『女子高生が同級生を階段から突き落とす』と載っていた。
補導なり逮捕なりされたのだろうが、怜奈がどうなったのかはどうでも良かった。
「…何してんの?」
背後で声がした。
振り向くと、一緒に事の始終を目撃したあの女子が立っている。
:10/04/06 11:22
:N08A3
:Q2X/nrjY
#323 [我輩は匿名である]
「な、何って…」
「…はぁー、そりゃ入りにくいよね」
女子はわかりきったような口調で言い、ニヤリとする。
「は?」
「そりゃ今頃抱き合ったりチューしたりしてそうだもんね、感極まって」
「…お前そーゆーの鋭いよな、無駄に」
「無駄はないでしょ、無駄は」
女子はムスッとする。
「ちょっとだけ様子見て帰ろっか」
:10/04/06 11:22
:N08A3
:Q2X/nrjY
#324 [我輩は匿名である]
「え、お前も見舞いに来たの?」
「当たり前でしょ!?じゃなきゃ来ないわよ」
そりゃそうだな。直人は「まぁ…」と頷く。
その間に、女子はさっさと部屋に足を踏み入れる。
「(…はやっ)」
女子の行動の速さに直人が呆れていると、女子がこっちを向く。
「香月さん、いないよ」
「はぁ?」
2人はこそこそと小声で話ながら部屋を見渡す。
直人も見てみるが、枕元に「香月響子様」と書かれたベッドが空っぽだ。
:10/04/06 11:23
:N08A3
:Q2X/nrjY
#325 [我輩は匿名である]
一方、薫がいるらしいベッドのカーテンは閉めきってある。
「(もしかして、本当に2人であんな事やこんな事まで…?
いやいやいやいや、薫に限ってそんな事はありえない!)」
「こっちかな?」
直人がいやらしい想像をしている間に、女子が薫のカーテンの前に立つ。
「えっ、ちょっ…」
直人が止める前に、女子はカーテンの端を少し開けて中を見た。
中の様子を見て、女子がこっちを向く。
「香月さん、いないよ」
女子はさっきと全く同じ事を言う。
:10/04/06 12:13
:N08A3
:Q2X/nrjY
#326 [我輩は匿名である]
「…はぁん?」
直人は「何だそれ」と思いつつ、一緒に中を見る。
そこでは、薫が1人、ベッドですーすーと寝息を立てているだけだった。
「…結構怪我してるね、大丈夫かな?」
「うーん…まぁ寝てるとこ見たら大丈夫なんじゃないか?」
「あなたたち」
2人の後ろで声がする。
恐る恐るそろって振り向くと、怖い顔をした看護師がこっちを睨んでいた。
:10/04/06 12:13
:N08A3
:Q2X/nrjY
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