記憶を売る本屋さん
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#167 [我輩は匿名である]
なんかレスするごとに大変な事に…(´Д`)
>>166さん
長いのに一気に読んでいただいてありがとうございます


頑張るので、ぼちぼち読んで下さい

:10/03/28 20:15
:N08A3
:iQI8B8Nc
#168 [我輩は匿名である]
一方、薫はベッドの上で、何かを深く考えているような顔で寝転がっていた。
不意に、枕元に置いていた携帯電話のバイブが鳴る。
手にとって見てみると、響子から電話がかかってきている。
「もしもし」
「あ、月城くん?ごめんね、いきなり電話しちゃって。今…時間大丈夫?」
「あぁ、大丈夫。…どうかした?」
「うん…」
響子は少し悩んでいるようだった。
その声を聞いて、薫も不安を抱く。
:10/03/28 20:17
:N08A3
:iQI8B8Nc
#169 [我輩は匿名である]
「この間、私に『霜月優也って聞いたことないか』って聞いたでしょ?」
「…あぁ、聞いた」
薫の表情が変わる。
「…何か知ってるのか?」
「…気のせいだと思ってたんだけどね」
響子が話しだす。
「この間から私、たまに頭痛くなるでしょ?その頭痛くなった日に、寝ると必ず夢を見るようになって…」
「どんな夢?」
響子が少し言葉を区切ったのを感じ、薫が尋ねる。
:10/03/28 20:18
:N08A3
:iQI8B8Nc
#170 [我輩は匿名である]
「…1番最初は、私がどこかで洗濯物を干してたら、誰かが手伝ってくれた。…たったそれだけ。
そして次は、病院のような所でもう1回会って、名前を教えてもらうの。
その時教えてもらった名前が、“霜月優也”だった。名刺に書いてあったから、間違いないと思う。
そして、今日昼寝してたらまた見たの。今日は、私とその人が食事に行ってた。
その人が誘ってくれたんだと思う。…今まで見たのは、そこまで」
薫はまた「そうか」とだけ返事をした。
“そこまで”という事は、その続きがある事をわかっているのかもしれない。
そう思った。
:10/03/29 11:40
:N08A3
:P5Rp3vxg
#171 [我輩は匿名である]
「でもね、1つだけ、変なのよ」
響子が補足する。
「何が?」
「その人の顔だけ、どうしても思い出せないんだ」
その言葉に、薫は眉をひそめる。
「…全くか?」
「…うん、全然。それに、私の名前も、香月響子じゃなかった。…何だったかな…」
「…長谷部 今日子」
薫は静かに呟く。
響子もそれを聞き逃さなかった。
:10/03/29 11:41
:N08A3
:P5Rp3vxg
#172 [我輩は匿名である]
「…そう、そんな名前だった」
「…やっぱりそうか」
薫はそれだけ言ってしばらく黙り込んだ。
「(…やっぱり…今日子だったんだな…)」
両方の目尻から、大粒の涙がこぼれ落ちる。
「…月城くん?」
響子の声を聞いて、薫は肘でゴシゴシと涙を吹く。
「ん?」
「月城くん…何か知ってるよね?…私の夢の事とか」
響子に聞かれて、薫はしばらく考えてから「あぁ、知ってる」と答えた。
:10/03/29 11:50
:N08A3
:P5Rp3vxg
#173 [我輩は匿名である]
「…教えて。あの夢は一体何?“私”はどうなるの?」
響子は薫に尋ねる。
彼女も気になっているのだろう。
薫はしばらく考え込む。
そして答えた。
「…教える事は出来ない」と。
「俺の口から教えれる事は、俺が知ってる事だけだ。
長谷部今日子が見た事、耳にした事、感じた事…それは夢を辿っていくしか知る事が出来ない。
…だから、本当に全てを知りたいなら、俺から話すべきではないと思う」
:10/03/29 14:26
:N08A3
:P5Rp3vxg
#174 [我輩は匿名である]
言い終わってから、薫は呆れたように笑う。
薫は本当は、全て話したくてしかたがなかった。
自分が霜月優也だという事、霜月優也と長谷部今日子は夫婦だった事…他にもたくさんある。
全て話せば、どれだけ気が楽になるだろう。
それだけじゃない。
自分の口から話せば、自分の事を良く言う事も出来るのに。
自分のばか正直さにため息が出る。
「…そっか」
響子は少しがっかりしたように言った。
:10/03/29 14:27
:N08A3
:P5Rp3vxg
#175 [我輩は匿名である]
「…悪い。でも、その方がきっと、香月のためになる。…俺や霜月優也、長谷部今日子のためにも」
「…そう。…なら、私が自分で進めなきゃダメだね」
「ごめん。…ただ、最後にはかなり辛い事が待ってると思う。俺はそうだった。
だから、最後までたどり着く自信がなければ、それ以上は止めた方が良い」
薫の話に、響子は小さく笑う。
「…進まないと、みんなの為にならないでしょ?」
「自分の為にならない事もある」
「大丈夫。どうにかなるよ」
響子は明るく言った。
:10/03/29 14:27
:N08A3
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#176 [我輩は匿名である]
薫も少し笑う。昔とちっとも変わらないな、と。
「ごめんね、いろいろ聞いちゃって」
「いや。…ほとんど役には立たなかったと思うけど」
「そんな事ないよ、…ありがとう。じゃあ、また明日ね」
「あぁ、おやすみ」
薫は静かに携帯電話を閉じる。
スッキリしたような、モヤモヤしたような複雑な気分で、薫はその夜、なかなか眠れなかった。
:10/03/29 14:43
:N08A3
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