記憶を売る本屋さん
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#314 [我輩は匿名である]
「それに、私は優也のせいで死んだんじゃないよ。
逆に、私は優也の作る晩ご飯すごく楽しみだったし、買い物中も晩ご飯の事しか考えてなかったし…。
なのに、何で最後の最後まで私に謝って死ぬの?
私が、優也のせいで死んだって思ってると思ってた?」
「…キョウコ」
「『何もしてやれなかった』って、何でそんな事ばっかり言うの?
私は優也と一緒にいて、それだけで良かった。
横にいてくれるだけで良かったの…!
なのに、そんなに謝らないでよバカ…!」
:10/04/05 21:54
:N08A3
:W6VDeUwI
#315 [我輩は匿名である]
響子は、夢の中で感じた想いを全て薫にぶつける。
薫も黙ったまま、泣いている響子を見つめていた。
「…香月、おいで」
しばらくして、薫は右手で手招きした。
カーテンの所に立ちっぱなしだった響子は、そう言われてやっと、ベッドの傍の椅子に腰を下ろす。
それでもまだ泣き止まない響子に薫は呆れたように笑う。
「…本当によく泣くよな、昔から」
そう言った彼の顔は、優也の呆れ笑いそのものだった。
「…だって…」
それを見て、響子も笑みをこぼす。
:10/04/05 21:54
:N08A3
:W6VDeUwI
#316 [我輩は匿名である]
「1回泣くと止まらないんだもん、…昔から」
大きく息を吐きながら、響子は涙を拭く。
もうすでに、右手の袖がかなり濡れている。
「…悪かったよ。でも俺は…お前に謝らないと、どうしても気が済まなかった」
薫は響子から視線を外して言った。
「今日子がそんな事で怒らない性格も、俺を責めないだろうって事も、ちょっとわかってた。
でもどうしても、『俺があんな事言わなければ』って思っちゃってさ…」
薫は小さくため息をつく。
その後、もう1度視線を響子に戻した。
:10/04/05 21:55
:N08A3
:W6VDeUwI
#317 [我輩は匿名である]
「…おかえり、今日子」
薫の声が震えている。
あの日、仕事を早く終わらせて帰ったが、今日子は家にいなかった。
警察から「奥様と思われる方が亡くなった」と連絡が入ったのは、優也が帰ってきた1時間後の事だった。
優也はそれまでずっと、今日子の帰りを待っていたのだ。
響子はその一言に、思わず椅子から立ち上がって薫を強く抱き締めた。
「…うん、…ただいま」
肩や左胸に痛みが走る。が、薫はそんな事はもうどうでも良かった。
:10/04/05 21:55
:N08A3
:W6VDeUwI
#318 [我輩は匿名である]
薫も右手を響子の背中に添える。
やっと、帰ってきてくれた。
薫の目から、一筋の涙が流れ落ちた。
:10/04/05 21:56
:N08A3
:W6VDeUwI
#319 [我輩は匿名である]
:10/04/05 22:05
:D905i
:fxbTxKTM
#320 [ま]
よかったのぅ(;_;)

:10/04/05 23:23
:P04A
:EQ1YcyFU
#321 [我輩は匿名である]
>>319さん
アンカーありがとうございます

>>320さん
薫ちゃんやっと報われましたね(*´∇`)
薫編(?)はこれで一段落です


:10/04/06 08:15
:N08A3
:Q2X/nrjY
#322 [我輩は匿名である]
直人は病室の前で、何となく入りづらくて悩んでいた。
結局あの後、救急車のついでに警察までやってきて、いろいろと状況を説明され、
まるで事件のようになってしまい(まぁ事件は事件なのだが)、
怜奈も警察に連れて行かれて、その後どうなったのか知らない。
今日の朝刊に小さく『女子高生が同級生を階段から突き落とす』と載っていた。
補導なり逮捕なりされたのだろうが、怜奈がどうなったのかはどうでも良かった。
「…何してんの?」
背後で声がした。
振り向くと、一緒に事の始終を目撃したあの女子が立っている。
:10/04/06 11:22
:N08A3
:Q2X/nrjY
#323 [我輩は匿名である]
「な、何って…」
「…はぁー、そりゃ入りにくいよね」
女子はわかりきったような口調で言い、ニヤリとする。
「は?」
「そりゃ今頃抱き合ったりチューしたりしてそうだもんね、感極まって」
「…お前そーゆーの鋭いよな、無駄に」
「無駄はないでしょ、無駄は」
女子はムスッとする。
「ちょっとだけ様子見て帰ろっか」
:10/04/06 11:22
:N08A3
:Q2X/nrjY
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