浮 き 世 の 諸 事 情 。
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#156 []
 
一番気にかかる
一番疑問に思うのは

「どうして‥お父さんの頼みを?」


たった一晩共に飲んだだけだ

よくわからない男の
わけのわからない頼みを
どうして受け入れた?

⏰:10/05/17 13:22 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#157 []
 
嘘かもしれない
酔った勢いかもしれない

何を根拠に、何を理由に
あたしの傍に‥貴方は‥


「何となく‥ですか、ね」

「‥んえ?」

予想もしていなかった
曖昧な宙に浮いたような返事に
気の抜けた声が漏れた

⏰:10/05/17 13:22 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#158 []
 
「何となく‥ですよ」

「何となくで人を見殺しにして
何となくで‥あたしを?」

妙な憤り
何か正確な理由を
予想していたわけではないけど

ちゃんとした理由が欲しかった
このもどかしさを
埋めてほしかった

⏰:10/05/17 13:23 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#159 []
 
そしたら何故か
気持ちに整理が付きそうで‥


「あるじゃあないですか‥
根拠は無くとも‥ねぇ」

「じゃあ‥どうして
お父さんを助けて‥」

「よく魘されたもんです、よ
あの生々しい残虐さ‥」

⏰:10/05/17 13:23 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#160 []
 
被せられた声は
遠くを見つめているような
それでいてまだ
生々しさを保ったままで

飛び散った褐色の液体
へばりつくような呻き声
鼓膜を突き破る悲鳴

あの光景を
貴方は同じように見てた

⏰:10/05/17 13:23 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#161 []
 
「眠りにつくたびに
襲われるものですから‥
単純に‥寝るのを止めましたが」

とんだ冷酷人間だ
そう思っていたけれど


もしかしたら
あたしなんかより
重い恐怖を背負っていたのかも

⏰:10/05/17 13:24 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#162 []
 
「香夜さんと父上‥
両方を救うことなど
‥容易い事でした。」

「‥壱助さん」

「しかし‥
私には、その先が見えず
‥助けた所で
お二方が幸福かどうかなど
わかりゃしなかった。」

⏰:10/05/17 13:24 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#163 []
 
少年が母親に
傷つけられていたあの時
壱助さんはあたしに
同じ様なことを言った

『助けた所で
貴女は少年を養えますか?
それが彼にとって
幸せだとは限らない。』


救い出すだけが勇気じゃない
見過ごす勇気は絶大だ

⏰:10/05/17 13:24 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#164 []
 
「死を覚悟することは
そう‥容易いことではない」

壱助さんを
いつも遠くに感じた

すぐ近くにいるのに
どこか遠くて


壱助さんは
いつも真っ直ぐ先を見つめてた

⏰:10/05/17 13:25 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


#165 []
 
あまり笑わないし
いつだって冷静で

だけど本当は
誰よりも感情豊かで
それをただ胸の内に秘めて
常に一番正しい道を
選んできたんだ



‥何も知らなかった
明かされた鋼鉄の真実

⏰:10/05/17 13:25 📱:D905i 🆔:u/aJ89Bs


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