記憶を売る本屋 2
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#455 [我輩は匿名である]
だから要の死に耐えられなかった。
しかし、今は少し違う。
「(……響子に…相談してみようかな…)」
飛鳥はぼんやりと考えて、ゆっくりと目を閉じた。
:10/07/10 10:17
:N08A3
:ZSYtSBPY
#456 [我輩は匿名である]
「…………何?」
しかし次の日、響子は朝から良介に絡まれていた。
良介は響子の机に手をついて、彼女を見下ろしている。
「響子ちゃんが言ってた都市伝説、調べてみたんだ」
珍しく真剣な良介に、響子も黙っている。
「あれ、他人が見ても全く魅力を感じないね」
「…そう?」
「僕はね。だから思ったんだ。
君は…例の本をもらった人じゃないか、って」
:10/07/10 10:18
:N08A3
:ZSYtSBPY
#457 [我輩は匿名である]
あながちハズレではない。直接もらってはないが、同じ事だ。
響子はふうっと息をつく。
「もしそうだとしても、それがどうしたの?」
「あいつもそれを知ってるのか?」
あいつ、とは、おそらく薫のことだろう。
響子は少し考え込む。
薫とは前世で夫婦であった事。優也と交わした約束。
それをはっきり言ってしまえば、諦めてくれるかもしれない。
:10/07/10 10:18
:N08A3
:ZSYtSBPY
#458 [我輩は匿名である]
「…まぁ」
良介は机から手を離す。
「前世がどうであれ、僕はまだ諦めないから」
そう言って小さく笑い、自分の席に戻っていった。
「(…諦めてよ…)」
彼の後ろ姿を見た後、響子は思い悩んだ顔で外の景色に目を向けた。
「(…響子も何か大変そうだなぁ…)」
教室の外から一部始終を見ていた飛鳥は、がっくりと肩を落とす。
これでは安心して頼れる人がいない。
飛鳥も響子のように悩みながら、自分の教室に帰った。
:10/07/10 10:19
:N08A3
:ZSYtSBPY
#459 [なみ]
:10/07/10 12:50
:PC
:PPJ.LCPg
#460 [我輩は匿名である]
飛鳥達が喧嘩してから、2週間が過ぎた。
直人は授業中でありながら、腕を組んで考え込む。
「どうやったら仲直りさせれるだろうなー?」
直人の考えている事を弁明するかのように、声が言う。
この声の主が誰なのか、まだわかっていない。
それを考えている場合ではないのだ。
「…口に出さなくても分かんのかよ」
直人はかなり小声で言い返す。
「考えてる事は大体筒抜けだよ」
:10/07/22 08:58
:N08A3
:wAtNqTXQ
#461 [我輩は匿名である]
「(何だよこいつー)」
「何だよこいつーって思っただろ」
「(…やっぱわかんのか)」
「わかるんだってば」
「(じゃあいちいち喋らなくていいんだな)」
「そうだね。喋りたかったら喋っていいけど」
「(いいよ、変な奴だと思われるし)」
直人は机に肘をつく。
「でもさぁ、お前がどうこうする事じゃないんじゃないか?」
:10/07/22 08:58
:N08A3
:wAtNqTXQ
#462 [我輩は匿名である]
悩む彼に、声が言う。
「(…でも神崎は、今までまともに友達出来た事もないし、
だからもちろん、どうすれば仲直り出来るのかもよく知らないし…)」
「それはそうだけど…」
声は、飛鳥の事もよく知っているようだった。
「でもお前が何でもしてやれば、あの子が何も出来ない子になるんじゃないか?」
声が言う事は正しかった。
直人は少し、何も考えずに黙り込む。
:10/07/22 08:59
:N08A3
:wAtNqTXQ
#463 [我輩は匿名である]
「(お前誰だか知らねぇけど、俺の考えてること、全部わかっちゃうのか?)」
「聞いてほしくなかったら聞かないよ」
「(じゃあしばらく聞かないでくれるか?)」
「いいよ」
声は快く言って、それ以降何も言わなくなった。
本当かどうかわからなかったが、直人はまた考え始めた。
「(確かに…俺が世話焼く事じゃねぇのかもなぁ…。
自分の事、何でも自分で解決できないと、晶みたいになっちまうかもしれねぇし…)」
自然と、「うーん…」と声が漏れる。
:10/07/22 08:59
:N08A3
:wAtNqTXQ
#464 [我輩は匿名である]
「(……しばらくは、様子を見た方がいいかな…?)」
何だかモヤモヤするが、これも飛鳥の為だ。
直人はあまり腑に落ちない顔で、自分に言い聞かせた。
「(…おい、幽霊)」
気持ちに一区切りつけて、直人は声に呼びかける。
「俺の事?」
声はすぐに答えた。
「(お前以外に誰がいるんだよ)」
「…まぁ、幽霊って言われると否定は出来ないけど」
:10/07/22 08:59
:N08A3
:wAtNqTXQ
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