天使と悪魔の暇潰し
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#122 [匿名]
「だから…」
「うるせぇ!」
ターゲットが話そうとしたとき、また彼は怒鳴った。
「悪いけど、人が死ぬ事には慣れてる。てめぇが目の前で飛び降りた所で俺は笑うだけだ!」
「僕を止めようとしても無駄だよ?」
「は?笑わせんな。俺はてめぇみてーな奴が大嫌いなんだよ!早く死んでほしくてわざわざ此処まで来てやったんだ!」
ターゲットはふふっと下を向き笑った。
「そっか。よかった。僕は意志が弱いから、君みたいに後押しをしてくれる人がいると心強いよ。」
:10/11/13 15:02 :F06B :☆☆☆
#123 [匿名]
するとターゲットは手すりに手をかけ、ゆっくりとまたぐ。そして柵の向こう側へと出た。
今までのターゲットの性格が嘘のように、落ち着き払っている。
ターゲットは死ぬ気だ。死ぬ事すら出来ない人間だったのに、もうここまで成長してしまった。
まずい、と思ったとほぼ同時に、その気持ちはなくなった。
「待って!!」
ターゲットの自殺を止める事が出来る、唯一の女性。
:10/11/14 12:04 :F06B :☆☆☆
#124 [匿名]
間に合った。
昨日女性には、ターゲットの会社の場所を教えていた。
行くのも行かないのも、あなたの自由です、とだけ伝えて。
よく屋上にいるとわかったもんだ。僕はほっと一安心した。
「待って!!死ぬなんてやめてください!!」
女性は今にも泣き出しそうな形相で、必死に言葉を出している。
:10/11/14 12:09 :F06B :☆☆☆
#125 [匿名]
「…あ、あなたは!どうしてここに?」
ターゲットは驚いた顔をしている。
「私、あなたに謝らなければならない。ごめんなさい!あんなに酷い事を言ってしまって。ずっと後悔してたんです。あなたを信じてあげなかった自分を恨みました。」
とうとう女性は泣き出してしまった。
「あなたは悪くありません!泣かないでください。」
ターゲットは柵に手をかけ、女性を心配している。
:10/11/14 12:16 :F06B :☆☆☆
#126 [匿名]
「もう一度私とデートしていただけませんか?」
「え?」
聞き取れなかった訳ではないだろう。
「もう一度私とデートをしてください。」
女性は必死だった。
ターゲットも泣き出しそうだ。目は真っ赤で涙が溜まっている。
「こんな僕とですか?…僕、たった今首になっちゃったんです。いらない人間なんです。誰からも必要とされない、邪魔な人間なんです!こんな僕があなたとデートだなんて…」
:10/11/14 12:22 :F06B :☆☆☆
#127 [匿名]
「邪魔なんかじゃない!」
女性は叫んだ。
「邪魔なんかじゃないです。必要なんです。私には、あなたが必要なんです!あなたに合わない会社なんて辞めればいい!私が支えますから、一緒に頑張りましょう?そして私を支えてください。」
ターゲットは泣いた。子供のように声をあげて。
足が震えている。やっと死ぬ事への恐怖が、戻ってきたみたいだ。
:10/11/14 12:28 :F06B :☆☆☆
#128 [匿名]
「また俺の負けかよ。」
彼はいつの間にか、僕の隣に戻って来ていた。
「でも今回は、今まで以上に手こずったよ。彼女が来なかったら僕は負けてた。」
「来るって分かってたんだろ?」
ああ、わかっていた。必ず来ると思っていた。だけど僕は、いや、と否定しておいた。
:10/11/14 12:32 :F06B :☆☆☆
#129 [匿名]
その後、ターゲットはあの女性と結婚をした。
不景気らしいが会社も決まり、以前とは見違えるように働いている。
お腹の肉は一回り余計についたようだ。きっと女性の料理が美味しいのだろう。
幸せそうに笑っているターゲットを見ると、少しだけ嬉しくなった。
いつまでも続いて欲しいものだ。
:10/11/14 12:41 :F06B :☆☆☆
#130 [匿名]
3
僕は、かれこれ何百人ものターゲットを決めて暇潰しをしてきた。
初めての彼との暇潰しは、僕の圧勝だった。彼は自分が悪魔である事を忘れてしまっていたから。
:10/11/14 12:46 :F06B :☆☆☆
#131 [匿名]
一日目
「暇潰しって知ってるか?」
企んだ顔をして、彼は近寄ってきた。
暇潰し、僕も早くやりたいと思っていた。子供の天使と悪魔は、暇潰しの遊びはやってはいけない事になっている。
産まれてから何千年とたった。もう子供ではないので、暇潰しをしても何も言われなくなる。
:10/11/15 10:42 :F06B :☆☆☆
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