天使と悪魔の暇潰し
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#167 [匿名]
「…ありがとう。じゃあ、さやの所に行ってあげてくれる?あの子、暇してると思うから。」
最後に笑みを見せると、慣れた足取りで歩いていく。
僕はターゲットの元へは行かずに、上へ戻って来た。医者とお母さんの話を聞こうと思ったからだ。
彼はいない。
:10/12/04 21:09 :F06B :☆☆☆
#168 [匿名]
四日目
今日は彼が、ターゲットのやり残した事一つ、叶えてあげる日。
これまでと同じ時間、同じ場所に、彼は向かう。
そこにはやっぱり、もうターゲットはいて、笑顔で彼を迎える。
「決まったか?」
彼はターゲットの座るベンチに腰を下ろすと、一言目にそう聞いた。
「うん。でも、まずはおはよう!って挨拶してよ!」
頬を膨らませて、ターゲットは彼に言った。
「はぁ?どうでもいいだろ!」
「どうでもよくないよ!」
「…おはよ。」
彼は面倒くさそうに呟いたが、ターゲットはそれで満足みたいだ。
「で、決まったのかよ。」
彼はもう一度聞く。
:10/12/04 21:21 :F06B :☆☆☆
#169 [匿名]
「キス。」
「ん?」
「キスがしたい。」
「誰と?」
「…誰でもいい。」
「じゃああそこにいる…」
「おじさんは嫌!」
「じゃああの…」
「子供も嫌!」
:10/12/04 21:26 :F06B :☆☆☆
#170 [匿名]
「誰でもよくねぇじゃねぇかよ!」
多分、ターゲットは決まっている。キスは、好きになった人としたいものだ。人間はそういうものだ。
「何で分かんないの!」
ターゲットはまた頬を膨らます。
「わからないの?って何だよ!分からねぇよ。」
:10/12/04 21:35 :F06B :☆☆☆
#171 [匿名]
彼がターゲットの方に顔を向けた。
一瞬だった。
ターゲットが彼にキスをした。
「本当は私からしたくなかったのに。」
ターゲットは前に向き直った。下を向いて、赤くなった顔を隠している。
:10/12/04 21:42 :F06B :☆☆☆
#172 [匿名]
彼は立ち上がり、ターゲットの前に立ち、
「立て!」
と命令をした。
「え?なんで?」
ターゲットの疑問は、彼によってかきけされた。彼はターゲットの腕を掴むと、無理矢理立たせる。
:10/12/04 21:51 :F06B :☆☆☆
#173 [匿名]
一瞬だった。
一瞬だけ、彼はターゲットの肩を抱きながら、キスをした。
「お前のやり残した事は、叶ったか?」
「…うん。」
下を向いたのは二人ともで、目を合わせようとしなかったのも二人ともだった。
:10/12/04 21:57 :F06B :☆☆☆
#174 [匿名]
人間の恋人同士を見ているようで、心が温かくなる。でも実際は違う。
人間と悪魔。
一緒に過ごす事は出来ない。
彼は、ターゲットのやりの残した事を、叶えてあげただけだ!と言い張るが、本心には聞こえなかった。
その日は1日中、彼の様子がおかしかった。
:10/12/06 15:04 :F06B :☆☆☆
#175 [匿名]
五日目 最終日
あれから、彼はターゲットの様子を見る事なく、ボーッとしたり、あたふたしたりの繰り返しで、忙しそうに過ごしていた。
僕は下に降りるタイミングを計っていたが、なかなか掴めず、見舞いに来たお母さんが、ターゲットのいる病室に着いてしまった。
今日も目が腫れている。
:10/12/06 15:10 :F06B :☆☆☆
#176 [匿名]
大切な話がある、とお母さんはターゲットをどこかへ連れて行った。
そして結局、下に降りる事なく、四日目が終わってしまった。
そして今日、最終日。
僕は下に行く必要はなかった。もうターゲットの気持ちは固まっているに違いない。
僕が何をしても、きっと何も変わらない。変える必要もない。
彼には何も言わず、二人を上から眺める事にした。
:10/12/06 15:15 :F06B :☆☆☆
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